2006年12月21日
ソニーマーケティング株式会社は、大学生を中心とする学生ボランティアのグループ活動に対して助成を行う
『第6回ソニーマーケティング学生ボランティアファンド』の助成対象となるグループ活動を全国公募し、応募59件の中から審査により26件を対象として決定しました。
■審査員:
・鵜殿 博喜(明治学院大学 副学長)
・田中 晴規(ソニーマーケティング株式会社 取締役常務)
・原田 勝広(日本経済新聞社 編集委員)
・宮下 次衛(ソニーマーケティング株式会社 代表取締役社長)
・若林 之矩(学校法人 明治学院 理事長)
■講評 審査委員長 原田勝広
市民社会が日本でもようやく根付き始めた感があるが、こうした動きと歩調を合わせるように学生のボランティア活動も年々活発化し、社会的にも当然のこととして定着したことは喜ばしいことである。
応募件数59件の活動分野は国際支援、子ども、ボランティア振興、環境、教育と多方面にわたっており、内容も、学生らしい新鮮な発想、着眼点のものが多く、創造的で社会的にもインパクトが大きいと思われるものが目立った。
特筆すべきは、これまで、首都圏、関西、名古屋のいわゆる大都市圏に集中する傾向があった応募が、今回は全国に分散、3大都市圏以外が36%にも及んだことである。
これは、本ファンドに対する関心の広がりを示すものとして歓迎したい。ただ、応募件数そのものは、2005年の62件に比べ減少している。背景として、量より質を目指す傾向が強く、複数大学が協力してひとつの案件に取り組むものが多いことなどがあるものと思われる。
しかし、本ファンドの存在をソニーのHPやWEBで知ったという学生が多いことを考えると、今後のPR法を少し工夫して、もっと多くの学生に知ってもらえば、希少価値のある学生向けファンドであるだけに応募もさらに増加するものと期待される。
なお、今回からボランティア活動を新しく立ち上げる学生向けなど用にBコースを設けたが、こちらにも積極的な応募があったのは、学生の意欲の現われという点からみてうれしいことだと思う。
全体的に評価できるものが多いが、よりよい活動に向けていくつかのサジェッションをしたい。まず、継続してファンドの応募をしてきた案件が半数以上を占めた。このこと自体問題はない。
しかし、案件の中には、ファンドが認められないと即中止に追い込まれそうなものもある。活動内容が多様で一概に言えないものの、例えば支援のためのハーブ栽培、村おこしのための小麦生産など、工夫次第では、生産品の販売で資金循環を生み出し、ファンドがなくても持続可能性のある案件も存在する。ファンドに頼りきりではなく、ファンドを元に、継続性のあるプロジェクトとして自立するものも出てきてほしいと思う。
次に、ストリートチルドレン、障害者など弱者支援については、一過性の援助にとどまらす、将来的な自立を常に念頭においてほしい。そのためには職業訓練などが欠かせない。自分達の活動がそこまで及ばない場合は、そういう専門性のある団体の協力を仰ぐことも含め、相手の立場を配慮した支援が欠かせないと肝に銘じてほしい。
最後に、広い視野を持っていただきたい。国連や世界各国がミレニアム開発目標(MDGs)を掲げて世界の貧困削減に取り組み、NGOも独自の立場から開発で協力している。企業も企業の社会的責任(CSR)を意識して、環境、人権、労働などの社会的課題に取り組もうとしている。学生の皆さんは、そういう人たちと補完し合うことができる。自らのボランティア活動を世界的な視点から相対化し、その使命と役割をしっかり自覚することで、自らの活動がより個性的で効果的
なものになることが期待できるのではないだろうか。
助成対象グループ活動(Aコース:助成金 上限25万円) | *五十音順 |
グループ名 | 医療系学生による国際協力隊 euphoria |
代表者在校大学 | 慶応義塾大学 |
活動企画名称 | インドネシア−日本 医療・福祉ワークキャンプ |
活動概要 | インドネシアの路上生活者や売春宿街にて、子供たちの健康診断を行い健康意識の改善と正しい知識の普及、活動を通して、学生の国際医療協力に対する、関心を喚起する。 |
グループ名 | Internashokunal |
代表者在校大学 | 大阪外国語大学 |
活動企画名称 | 食の視点から考える、イベントを通した多文化共生への啓発事業 |
活動概要 | 宗教やアレルギーに配慮するため、屋台料理の原材料表示を推進し、食のバリアフリー・多文化共生を目指す。具体的には、原材料表示ノウハウをまとめた「多文化推進キット」を作成する。 |
グループ名 | AIC JAPAN |
代表者在校大学 | 早稲田大学 |
活動企画名称 | ストリートチルドレンの学校教育サポートプログラム |
活動概要 | 学校教育を受ける機会のないインドのストリートチルドレンを対象に、補習の機会を設けるとともに健康診断・指導を行う。 |
グループ名 | ACC Young Hopes |
代表者在校大学 | 上智大学 |
活動企画名称 | 異文化・多世代の心をつなぐ交流プログラム 風の船 2007−もうひとつの小さな家− |
活動概要 | コソボ難民高齢者に伝統の手編みセーターを編んでもらい、難民孤児に「家」はコミュニティの中にも在ることを伝え、精神面のサポートを行う。 |
グループ名 | enjoy science time(EST)実行委員会 |
代表者在校大学 | 奈良教育大学 |
活動企画名称 | 大学に小中学生を招くことにより、新しい「学びの空間」の創造を目指す |
活動概要 | 中学生を大学に招き「課題解決」をテーマとした課外授業を開催。試行錯誤を繰り返すプロセスから課題を解決する力を育成する。 |
グループ名 | NPO法人 山科醍醐子どものひろば グループ自由帳 |
代表者在校大学 | 京都造形芸術大学 |
活動企画名称 | 子どもと共に創る活動を通し、個性・表現力を引き出すサポート活動 〜子どもと取り組む映画制作〜 |
活動概要 | 小学校高学年から高校生までに対し、子どもの持つ表現力や個性を引き出すため、映画を制作する。 |
グループ名 | 沖国大 学生ボランティアセンター ゆいてぃあ/Hearing Support |
代表者在校大学 | 沖縄国際大学 |
活動企画名称 | 福祉教材プロジェクト(聴覚障がい部門) |
活動概要 | 聴覚障がい学生への理解と支援方法の周知。ボランティア募集のため、 「聴覚障がいとは?コミュニケーションのとり方、要約筆記とは?」というDVDを作成し、大学をはじめ、各種学校へ貸し出し啓蒙活動を行う。 |
グループ名 | 花鳥風月2 |
代表者在校大学 | 法政大学 |
活動企画名称 | CoMusication 〜音による世代を越えた相互交流〜 |
活動概要 | 音楽を通じて、高齢者と保育園児の交流を図る。保育園では楽器の演奏に親しんでもらい、高齢者施設では楽器の創作に取り組んで、最終的に両者が楽しめるよう音楽会を実施。 |
グループ名 | 黒森もりもり倶楽部 |
代表者在校大学 | 東京農工大学 |
活動企画名称 | 遊休農地を活用した小麦栽培の農作業体験 |
活動概要 | 高齢化・遊休地増加の山梨県の集落で、都市住民から参加者を募り小麦作りを体験。地元住民には農作業の指導役として活躍してもらい、集落を活性化。 |
グループ名 | こども環境学会学生部 Cotona |
代表者在校大学 | 慶応義塾大学 |
活動企画名称 | 遊びの選択肢を広げよう! |
活動概要 | TVゲーム世代の子供たちに遊びの選択肢を提供し、新しい遊びの時間・空間作りを体験させる活動を展開。 |
グループ名 | JUNKO Association ミャンマープロジェクト |
代表者在校大学 | 明治学院大学 |
活動企画名称 | ミャンマー・レパダンでの図書館建築 |
活動概要 | レパダンの孤児院に図書館を建て子どもに知識を養ってもらうとともに、周辺地域住民にも開放する。ミャンマー語以外に英語教材も置き、英語学習に役立ててもらう。 |
グループ名 | 震災ガーディアンズ |
代表者在校大学 | 名城大学 |
活動企画名称 | 新たな防災教育のツールの活用と普及 |
活動概要 | 地震の疑似体験が可能な震災シミュレーションゲームを活用し、地域での防災イベントを行うなど、防災への啓発を行う。 |
グループ名 | スマイルキッズ |
代表者在校大学 | 桃山学院大学 |
活動企画名称 | 「子育てマッププロジェクト」 ※地域における子育てマップの作成 |
活動概要 | 子供人口増加中のニュータウンにて、子どもたちが安心して遊べる場所、赤ちゃんなどを 連れて気軽に入れる店等の情報を掲載する生活便利帳「子育てマップ」を、子供たちと一緒に作成する。 |
グループ名 | 特定非営利活動法人 cotton rings |
代表者在校大学 | 文京学院大学 |
活動企画名称 | 障がい児地域支援事業 きらきら |
活動概要 | 障がい児を対象に、月1回の余暇支援、夏の宿泊キャンプを実施。障がい児が地域生活で自立するとともに、親がその間休めるようにする。 |
グループ名 | Pax IV Hyper |
代表者在校大学 | 明治大学 |
活動企画名称 | ネパール国内の自然環境保全及びゴミ問題の改善 |
活動概要 | これまでネパールの森林伐採による環境悪化対策に取り組んできたノウハウを生かし、現地のゴミ問題に取り組む。 |
グループ名 | fromHUS |
代表者在校大学 | 大阪大学 |
活動企画名称 | 中越地震仮設住宅における「集える場」づくりの活動 |
活動概要 | 中越地震に遭い仮設住宅住まいの被災者に対して、コミュニティ作りの手助けを行う。お茶のみ・足湯マッサージを通して語り合い、被災者の 不安・孤独感を軽減する。 |
グループ名 | 法政大学高齢者ボランティアサークル ごまちゃん |
代表者在校大学 | 法政大学 |
活動企画名称 | 雪かきボランティア 地域間交流の架け橋 |
活動概要 | 秋田県の高齢者の多い農村での雪かきボランティアを通して、老人と地域社会との接点作り。今年は、新たに都内の老人と現地の老人との手紙や手作り品の交換による交流を図る。 |
グループ名 | Mi casa, tu casa |
代表者在校大学 | 神奈川大学 |
活動企画名称 | 中南米出身の子供たちへの学習支援と相互理解 |
活動概要 | 『子供たちに選択肢を、子供たちから笑顔を』を理念とし、日本語の話せない中南米出身の子供たちへの学習支援による、日本での学校教育への参加をサポート。また、互いの社会・文化への相互理解を促進。 |
グループ名 | Mongolia Project 2007 |
代表者在校大学 | 早稲田大学 |
活動企画名称 | モンゴルにおける環境問題の改善 |
活動概要 | 増加する母子家庭支援のため、廃油による石鹸作りをサポートする。また、非電化地域に風力発電機を設置し、地域住民の生活に貢献する。 |
グループ名 | 洛西クラブ |
代表者在校大学 | 立命館大学 |
活動企画名称 | 春合宿−自然と子どもと学生と− |
活動概要 | 知覚障がいを持つ子供たちへの社会参加支援と、子供の親の休日の提供。 合宿を通して、「親と離れて生活する自立」「集団行動」などを目指す。 |
グループ名 | 立命館アジア太平洋大学 学生NGO団体『PRENGO』 |
代表者在校大学 | 立命館アジア太平洋大学 |
活動企画名称 | 2007年タイ王国 現地支援隊 |
活動概要 | 『地域住民主体の教育機会創出』を目標に、疫病予防、ハーブ栽培、民族衣装・石鹸製作、生ゴミを利用した肥料作り等を指導し、所得向上・生活環境改善を図る。 |
助成対象グループ活動(Bコース:助成金 上限10万円) | *五十音順 |
グループ名 | すだち |
代表者在校大学 | 神戸大学 |
活動企画名称 | 自閉症等の障がいを持つ子どもの託児ボランティア |
活動概要 | 自閉症、ダウン症等の子どもを持つ母親を援助するため、月2回プールで遊ぶ ほか、遠足・キャンプなどを実施、親と離れてさまざまな体験を提供する。 |
グループ名 | Social Students Union |
代表者在校大学 | 東京大学 |
活動企画名称 | 『学生と国際協力団体』交流プロジェクト |
活動概要 | 国際協力に関心はあるものの何をしたらよいかわからないという学生が、手軽に国際協力を手がけられるようサポートする。 |
グループ名 | 匠民 −TAKUMIN− |
代表者在校大学 | 東北福祉大学 |
活動企画名称 | こどもの体験活動充実プロジェクト−市民から「匠民」へ− |
活動概要 | こどもたちが安心して体験活動ができる場づくり。ものづくりを通し、次代を担うこどもたちの「チャレンジ精神」「生きる力」を育む。 |
グループ名 | 福岡子ども守り隊「守るんジャー」 |
代表者在校大学 | 北九州市立大学 |
活動企画名称 | 小学生の下校時における通学路での見守り |
活動概要 | 子どもが被害者となる事件の芽を少しでも摘み取れるよう、「子どもたちに安心して下校してもらう」「自分の暮らすまちの人と交流を 深める」という目標を持って日々の見守り活動を行う。 |
グループ名 | BRIDGE |
代表者在校大学 | 法政大学 |
活動企画名称 | 〜活かしてみない?ウチらのパワー☆〜 社会とつながるきっかけをプロデュース |
活動概要 | ボランティア活動の大切さを多くの学生に伝える。学生にボランティア活動の機会を提供する「ボランティアセンター」を学内に設立。 |
■今後の予定:対象グループ活動の活動報告会を、2007年6月に開催する予定です。