2007年4月25日
新商品
ソニーは、フルHD(High Definition)の4倍を超える885万画素の超高精細“4K”映像を、内蔵サーバーから最大20メートル幅の劇場スクリーンに投影可能な 『“CineAlta 4K”デジタルシネマ上映用 トータルシステムパッケージ』 を発売します。 本機は「4K SXRD」 デジタルシネマプロジェクター「SRX-R220/210」、メディアブロック「LMT-100」、スクリーンマネジメントシステム 「LSM-100」を中心に、RAIDストレージ、SMSサーバー、コントローラー、無停電電源装置などで構成されています。
本機の導入により映画館は、フィルムの埃や傷による画質劣化がない安定した高画質・高音質で、サーバーから柔軟な作品編成によりデジタル上映することが可能です。 また配給面においても、DCI仕様※2準拠のコンテンツ保護に対応、海賊版製造を回避する工夫が施されると同時に、フィルムコピー制作費の削減、高速回線や衛星通信による劇場への上映データ配信にも対応可能です。
型名 | 発売日 | 希望小売価格 |
“CineAlta 4K” デジタルシネマ上映用 トータルシステムパッケージ |
2007年5月1日 受注開始 | システム価格※3 |
※1
DCI仕様準拠で“4K”上映可能なトータルシステムの商品化・市販は日本国内初。(2007年4月25日現在・ソニー調べ)
※2
ハリウッド映画・7大スタジオが構成する業界団体DCI(Digital Cinema Initiative)が定めたデジタルシネマの要求仕様書。
※3
システム価格は約1,500万円から、構成により別途お見積り。
導入には劇場のシステムに応じた周辺設計、設置、調整、運用トレーニングなども一括でご提案予定。
独自開発の超高精細反射型液晶ディスプレイデバイス「4K SXRD (Silicon X-tal Reflective Display・写真)」の搭載により、フルHDの207万画素(横1920画素・縦1080画素)の4倍超・885万画素(横4096画素・縦2160画素)での上映を実現。 映像の基本3原色RGB(赤・緑・青色)毎に同デバイスを使用、豊かな色再現性共に、2000:1以上の高コントラストを実現しています。
SRX-R220
・最大20m幅のスクリーンで、14ft-Lの輝度を実現(4.2kWのXenonランプ使用)。
SRX-R210
・最大17m幅のスクリーンで、14ft-Lの輝度を実現(3.0kWのXenonランプ使用)。
・最大14m幅のスクリーンで、14ft-Lの輝度を実現(2.0kWのXenonランプ使用)。
※
ft-L(フット・ランバート)とは… 輝度の単位、1ft-Lは3.426cd/u。
※
2.39:1シネマスコープサイズスクリーンの画面中央測定、スクリーンゲイン:1.8、100%ランプパワー時。
ランプパワーの調整は、50%〜100%まで1%刻みで可能です。
1.35倍から7倍の投射距離をカバーする豊富なレンズラインナップを用意。 ズーム・フォーカスメモリ対応のレンズは、ビスタ/シネスコなどのイメージサイズに合わせた設定を簡単に呼び出し、切り替え可能。 また、キーストンマスク機能により、投影角度により生じた台形を見せなくさせることで、フレキシブルな上映に対応します。
アンチタンパー(不正取り出し検知)センサーを搭載したネジのない外筐など、DCIのセキュリティ規定SPB-2をクリアし、デジタルシネマ時代の重要課題であるコンテンツ保護に対応。 プロジェクター本体下部に、メディアブロック、SMSサーバー、RAID、UPS等を実装、一体化したデジタルシネマ上映システムを構築可能。 また、フィルム映写機と同様の8インチの排気ダクトを標準装備しているので、劇場内の現用の空調システムからも排気が可能です。
DCIの上映フォーマットであるDCP(Digital Cinema Package)を再生することが可能です。 メディアブロック内で、DCPのMXF(Material Exchange Format)ファイルの展開、米国標準暗号方式であるAESの暗号解除、JPEG2000圧縮のデコードを実現し、プロジェクターに4096×2160あるいは2048×1080の高画質な映像信号を送出します。
DCPに含まれているXML或いはPNG形式の字幕データを元に、メディアブロック内で、字幕を生成し、オーバーレイ(多重化)することが可能です。
DCPに含まれているWAVオーディオデータを、AES/EBUデジタルオーディオへ変換・出力。 また、映像データとのリップシンク(同調)を取るため、ディレイ(遅延処理)を設定することも可能です。
4K/2Kの各イメージサイズに対応。 また、ビスタ/シネスコなどのイメージサイズを自動認識し、画像のない部分に黒帯を生成させ、4K/2Kのフルサイズとして、プロジェクターに出力します。 加えて、オプションボードの使用により、2K以下の外部入力にも対応しており、入力素材をプロジェクターに直接出力することができます。
主にSMSサーバー、SMSコントローラー(PC)との組み合わせで動作するソフトウェア“スクリーンマネジメントシステム”が、デジタルシネマ上映をサポートします。 映写室用にタッチパネル式の簡易コントローラーをシステムアップすることで、基本的な日常作業と監視が可能になります。
DCPのインジェスト・登録・管理、プレイリストの作成・管理・実行、スケジュールの作成、KDM(電子鍵)の登録・管理システム機器のセットアップと状態監視等の機能で、DCP作品の管理と上映の基幹動作をサポートします。
デジタルシネマ上映システムのセキュリティ保護の為、プロジェクター筐体のセンサーを監視し、開錠操作の設定、ログの記録が可能となります。
システム内にあるプロジェクター、メディアブロック等の機器電源のオン・オフ、スタンバイ等の動作を、各機器を別々に操作することなく、一元管理・コントロール可能(PSM)。 また機器の状態を、筐体の上に装着したステータスライトに点灯させることで、簡易監視も可能です。
SRX-R220 |
SRX-R210 |
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投影方式 | 3SXRDパネル1レンズ投影方式 | |
LCDパネル | 1.55インチSXRDパネル 8,847,360×3 (R・G・B)画素 |
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ランプ | 4.2KW キセノンランプ | 3.0KW キセノンランプ もしくは 2.0KW キセノンランプ |
明るさ | 14 ft-L (最大20mスクリーン幅時) |
14 ft-L (最大17mスクリーン幅、3.0KWランプ時) (最大14mスクリーン幅、2.0KWランプ時) |
コントラスト比 | 2000:1 以上 | |
入力 | Input A: DVI×1、AUX×1 |
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Input B: BNC×4、 入力×2、ループ・スルー×2) SMTPE-372M Dual-link HD-SDI(4:4:4)、SMPTE-292M HD-SDI(4:2:2)、 DC-SDI(R・G・B 4:4:4 / Y・Pb・Pr 4:2:2)、12bit/XYZ |
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Input C: Channel A:SRLV×1(メディアブロック接続用) Channel B:SRLV×1(メディアブロック接続用) |
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消費電力 | ランプ電源部:約5.0KW 回路部:約1.2KW |
ランプ電源部:約3.0KW 回路部:約1.2KW |
電源電圧 | ランプ電源部:200〜208V AC / 380〜415V AC、3相(AC切り替え式)、50/60Hz 回路部:100〜240V AC 単相、50/60 Hz |
ランプ電源部:200〜208V AC / 380〜415V AC、3相(AC切り替え式)、50/60Hz 回路部:100〜240V AC 単相、50/60 Hz |
定格入力電流 | ランプ電源部:21A / 11A 回路部:11〜5A |
ランプ電源部:13.5A / 7A 回路部:11〜5A |
外形寸法 | 幅 約740×高さ 約1535×奥行 約1395mm | |
質量 | 約 300 kg |
LMT-100 |
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電源 | AC 100〜240 V、50/60 Hz |
外形寸法 | 幅 424 × 高さ 221 × 奥行 455 mm (突起部含まず) |
質量 | 約17.5 kg |
1.35〜1.98倍ズームレンズ (SRX-R220/210専用) 『LKRL-Z114C』
1.5〜2.29倍ズームレンズ (SRX-R220/210専用) 『LKRL-Z116C』
ソニーは、映画産業の中心地・ハリウッドなどからの要望に応えて2000年、世界に先駆けてHD1080/24P映像制作に対応する機器を実用化、その商品群を映画の“Cinema”とイタリア語で最高を意味する“Alta”から、“CineAlta”(シネアルタ)と名づけました。
世界初の完全デジタルHD化を遂げた2002年公開のジョージ・ルーカス監督作品「スターウォーズ エピソード2/クローンの攻撃」の全編撮影に採用されて以降、全世界で9,200式を超える機器を出荷、数多くの映画や、CM制作などに使用されています。
“CineAlta”は、最高画質を求められる映画制作・上映のデジタル化を推進し、デジタルシネマ市場およびハイエンドの映像制作市場を牽引するソニーの商品群です。
その中でも “CineAlta 4K”は、超高精細の“4K”映像に対応した商品の総称として用いています。
ソニーは今後も、“CineAlta”“CineAlta 4K”を進化させ続け、映像制作のプロフェッショナルの期待に応えてまいります。
2007年4月16日、TOHOシネマズ六本木ヒルズ・SCREEN 7にて行われた『スパイダーマン3・ワールドプレミア』は、本システム「“CineAlta 4K” デジタルシネマ上映用トータルシステムパッケージ」によって“4K”デジタル上映されました。 同劇場サイズ(20.2m幅スクリーン・644席)での“4K”上映に国内で初めて成功、その高画質が世界各国からの来場者に高い評価を受けました。