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ソニーの“αレンズ”群には50mm F2.8 Macroと100mm F2.8 Macroの2本のマクロレンズが用意されている。マクロレンズは別名、接写用レンズとも言い、小さなものを大きく撮るのを得意とするレンズのこと。その昔は学術研究や文献複写など、特殊用途にしか使われなかったレンズだが、花の愛好家たちを中心に火がつき、いまや写真を趣味とする人には欠かせない人気レンズになっている。 |
しかしながら、接写は標準ズームでも撮れる、と思っている人も多いだろう。確かにDT18-70mm F3.5-5.6やDT18-200mm F3.5-6.3があれば、ちょっと楽しむには十分な画像が得られる。けれども接写に特化した設計が施されているマクロ専用レンズともなれば、視覚からかけ離れた更に上を行く描写が得られる。 |
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ふだん何気なく使っているグラスも、マクロレンズを通すと魅力的に見えてくる。 |
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接写能力を示す値として「最大撮影倍率」というスペックがある。これは「被写体の長さ」と「撮影された像の長さ」を比率で表したもので、倍率が「1.0倍」であれば等倍となり、最大撮影時には、撮影したもの(被写体)の大きさをそのまま撮像素子上に写したことを表している。最大撮影倍率「0.25倍」のレンズだとすれば、被写体が撮像素子上に1/4のサイズで写ったことになる。
まずは左の写真を見て欲しい。これは50mm F1.4の最大撮影倍率で撮影した写真。レンズの明るさに重点を置いた製品だけに暗いシーンには強いが、接写性能はマクロレンズには及ばず、最大撮影倍率は「0.15倍」に留まる。対して、右の写真は50mm F2.8 Macroの最大撮影倍率「1.0倍」で撮影したものだ。同じ焦点距離のレンズであっても用途が違うので、ここでは50mm F2.8 Macroが優位な結果となった。 |
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両者のいちばん大きく撮れる状態である、最大撮影倍率で撮影。その違いは一目瞭然。
同じ焦点距離のレンズでも特長が違うと写りも変わる。これが交換レンズのおもしろさでもある。 |
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マクロレンズは接写に重点を置いた設計により、一般的なレンズに比べて、接写時ほど画質に優れているのも特長。気持ち良い描写には欠かせないボケに関しても他の多くのソニーレンズ同様に、円形絞りが採用されているため、自然なボケ描写を堪能できる。風景など一般撮影にも常用できるので、標準レンズとして愛用者も多い。
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接写するほど、ピントを合わせた前後がたくさんぼける特性がある。さらにソニーレンズでは円形絞りの採用により、真円に近い美しいボケ描写が得られる。 |
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等倍にて撮影。マクロレンズを覗くと凝視したかのような光景が画面一杯に広がる。PCやテレビの画面に映してみると、さらにその迫力は倍増する。 |
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それでは50mm F2.8 Macroと100mm F2.8 Macroの違いについて説明しよう。50mm F2.8 Macro、100mm F2.8 Macroは共に最大撮影倍率「1.0倍」で、大きく写す性能は同じ。残念ながら望遠だからと言って、100mmが大きく写せる訳ではない。では、何が違うのかと言えば、望遠、すなわち100mmの方が同じ大きさで撮影するなら、被写体に近づかなくても撮れるという特長がある。これを「ワーキングディスタンス」といって、レンズ先端から被写体までの距離のことを指す。 |
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たとえばワーキングディスタンスが長い方が、花壇の柵越しに花を撮影したいときなどに重宝する。もちろんワーキングディスタンスが短くても、ハンドリングの良さや手軽さ、パースペクティブ(遠近感)から、50mm Macroの魅力も捨てがたく、まずはお好みでチョイスして欲しい。
なお使用時の注意として、接写は望遠撮影と同様にカメラのわずかな揺れでもブレが目立ちやすい。αには手ブレ補正機能が内蔵されているが、しっかりカメラを固定して手ブレには注意して欲しい。 |
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日常の空いた時間にちょっと楽しめるのも魅力。身近にあるものを、ゆっくりと眺めてみるのもいい。 |
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