デジタルサラウンドヘッドホンシステム、MDR-HW700DSが新たにリリースされる。このMDR-HW700DSは、世界初(※1)の9.1ch 3D VPT(※2)によって、立体的かつ圧倒的なサラウンド音場を再現するヘッドホン。このMDR-HW700DSを、ドライビング・ゲームの決定版として知られる『グランツーリスモ6』(12月5日発売)のサウンドチームが体験した。リアルなシミュレーションによってその臨場感、操作感を実現したそのサウンドスタッフは、このヘッドホンをどう聴くか。ソニー・コンピュータエンタテインメント ワールドワイド・スタジオ インターナルデベロップメント部サウンド&ビデオグループ チーフの木村雅男氏と(株)ポリフォニー・デジタル サウンド担当プログラマーの竹内大祐氏に話を訊いた。
木村(以下K): サウンドデザイナーとして、『グランツーリスモ6』の、操作音、効果音、音楽をはじめとするすべての「音」のデザインを担当しています。
竹内(以下T): 私はサウンドプログラマーとして、音をどのように再生するかという部分を担当しています。ゲーム内で、どのタイミングで、どのような条件によって音を再生するのか、ということですね。
K: 左右のサラウンド感はもちろんですが、音の包囲感が自然で、すごくクリアに再現されていることに驚きましたね。ミッドシップ・リアエンジンの車を選ぶとエンジン音がきちんと後ろから響き、スキール音(タイヤと道路が擦れ合う音)は下から響き、外の音は前から、排気音は後ろから来るというように、車に乗ったときの音環境が立体的に表現されている。
T: 臨場感があるというか、本当に音が「来る」、という感じを持ちましたね。音の再生を担当した人間としては、その意図がしっかり再現されているように思えて嬉しかったです。
K: ゲームで臨場感をつくりだす上において、「音」の役割はとても大きいんです。ヴィジュアルとサウンドだけで、天候や路上の状態、タイヤの違い、車の状況といったあらゆる環境をプレイヤーに伝えなければならないので。
T: 実車の経験を、ヴィジュアルとサウンドだけで再構築する感じですね。
K: 最もハイエンドな環境であってもそうでなくとも、出来うる限り最高のパフォーマンスを発揮できるようにはしているつもりです。日本のTVの場合はステレオ環境が多いですし、サラウンドも5.1chが主流ですから。ただ、やはり音を作る人間としては、最高の環境で体験してもらえると嬉しいですよね。
T: 再生環境が多彩になってきたことで、いろいろと出来ることも増えてきました。実は、このデジタルサラウンドヘッドホンシステムは、実際の開発の現場でも音の確認用として使用されているんです。
インタビュアー:あ、そうなんですか。ということは……。
T: 相性バッチリだといいな、と(笑)。
K: リアルな音の体験を求めていくと、開発の側も、進化する再生環境に遅れをとることのないよう進化していく必要がありますから。
K: あらゆる部分で進化させています。ただ僕個人としては、スキール音を変えたことが一番大きいかな。ドライバーに車の状態を最もリアルに伝える音なんですが、これがすごく奥深いものなんです。
T: そうですね、タイヤの接地状態をもとに、サウンドを変化させていく感じですね。クルマの挙動シミュレーションが大きく進化して、サウンドに現れる情報量も増えています。音は運転のインフォメーションとして重要なものなので、より分かりやすくなるよう調整しています。
K: 単にリアルな音を再生するだけでは、ゲームの体験としてはリアルなものにはならないんですよ。
T: プレイヤーの立場からの「リアルさ」を再構築する感じですね。
K: 音楽もきちんと作っているし、排気音、低音の迫力、プレイ中の音、ミッドエンジン……。
T: ほとんど全部ですね(笑)。
K: リプレイ画面の音と絵のすごさもぜひ体験してほしいですね。フォトステージもすごいです。本当に世界各国に行けると思います。
T: 3D 計算によって再現された、リプレイやデモでの立体感、距離感、ダイナミックレンジの表現に注目してほしいと思います。
K: 音はもちろん、本当に、あらゆる面でいろいろな工夫が詰まっていますので。ぜひ、MDR-HW700DSのリアルなサラウンドで『グランツーリスモ6』全体を体験していただければと思いますね。