写真家 三好和義 with α77 これまで数々の世界遺産を撮り続けてきた、写真家・三好和義氏。今回デジタル一眼カメラ“α77”と共に、夏の知床半島を訪れた。ファインダーの向こうに、いままで撮れなかった知床の風景が見えてきた。

そこには、あり得ない数の星が写っていました。

知床の流星群
16mm F2.8 Fisheye・30秒・F2.8・ISO1600・WBマニュアル 3000K(M7)・クリエイティブスタイル スタンダード

北国の夏が終わる季節。流星群が見えると聞いた三好氏は知床を訪れた。撮影に使用した“α77”について語ってもらった。「北海道の東端に位置する知床は夜明けが早く、4時ぐらいに日が昇る。夜中の2時頃にはもう空が明るくなるので、ほんとうに寝る間を惜しんで撮りました」。その流星の写真を見ながら、「有効約2430万画素に画素数が上がったことで、肉眼では見えないあり得ないほどの星の数が写っていましたね。それに、これまで夜明け前の撮影では、光学ファインダーでは暗くて見えないことが多かったので、このくらいかなという感じでシャッターを押してからピントを確認していました。この“α77”のファインダーなら暗い被写体もくっきり見えるので、星にピントが合っているか改めて確認する作業が必要ありませんでした」。無数の星が瞬くその写真は、その描写力を十分に感じさせる一枚だった。

夜景の撮影で気になるノイズについても、「画像数が上がったからといって、ノイズが気になるようなことはありませんでした。ISO感度を上げた撮影でも問題なく使えていました。ここまで感度を上げてもいいんだと驚きましたね」。2430万画素という画素数と高感度、XGA有機ELファインダー、この高い性能が夜景撮影の表現領域も広げてくれるという。

肉眼で見るより、ファインダーの方がくっきり見える。

星空の下に広がる雲海
16mm F2.8 Fisheye・30秒・F4・ISO400・WBマニュアル 3700K(G4)・クリエイティブスタイル スタンダード

今回初めて搭載されたXGA有機ELファインダーについて、さらに詳しく聞いてみると、「肉眼だと雲の向こうに漁船がぼんやりとしか見えないのですが、このXGA有機ELファインダーを通してくっきり見えましたね。光学ファインダーとはかなりの違いを感じました」。その違いとは何か。「ファインダー表示がすごく緻密できれいですね。ピントを合わせたい部分にワンタッチで拡大できて、ピント確認も容易です。暗所でのピント合わせや構図確認がとても楽なうえに、発色がいい。『これくらい写るんだ』とファインダー上で仕上がりを実感できますね」。XGA有機ELファインダーなら、クリエイティブスタイルの設定や色温度の調整などをすぐに反映可能だ。「まるで新しい感覚で、新しい被写体が見えてくるような感じ」だと三好氏は言う。

一瞬で構図を決め、そのままシャッターが切れる。

東雲(しののめ)
70-200mm F2.8 G・1/1.6秒・F9・ISO100・WBマニュアル 4900K(A3・M5)・クリエイティブスタイル ビビッド

撮影期間中、三好氏は雲海を撮るために毎朝山を登り続けたそうだ。「何日目かにやっと雲海が現れて、見る見るうちに色を変えていく雲海の様子を、すかさずとらえました。特に朝は一瞬で光の色が変わるので、光がきたら構図を決めてぱっと撮れるレスポンスが重要。“α77”なら、構図を決めながらシャッターが切れるし、ピントも合わせられるのは驚きですね。また、ホワイトバランスも簡単に微調整ができるので、ちょっとマゼンタを入れてみたり、色温度を変えてみたり、画面で確認しながら撮れるので、しっかり撮れた実感があり、すぐに次の被写体を探せる。ミラーアップもないので、スローシャッターでもブレないから安心して撮れましたね」。無限の色彩ともいえそうな幻想的な雲海が眼下に広がる。

どんどん違ったアングルを試したくなる。

雲海のシルエット
DT 16-50mm F2.8 SSM・1/640秒・F5・ISO100・WBマニュアル 3900K(A5・M7)・クリエイティブスタイル ビビッド

朝日の中に、羅臼(らうす)独特の木立のシルエットが浮かび上がる。「この写真は、3軸チルト可動式液晶モニターで、いろいろな構図やアングルを探しながら撮りました。この液晶モニターだと、手持ちでも三脚でも自由にアングルが変えられるので、どんどん違ったアングルを撮ってみたくなります。ライブビュー撮影で連写もできて、オートフォーカスも働くし、この液晶モニターを使ってしまうと、ほかのカメラが不便に感じてしまいますね」。ファインダーと液晶モニターをどのように使い分けているか聞くと、「緊張感のある構図をつくりたいときには液晶モニターで撮ったり、被写体に集中したいときにはファインダーで撮ったり、被写体によって自然と使い分けていますね」。

写真家 三好 和義

1958年生まれ。東海大学文学部広報学科卒業。同年、株式会社「楽園」設立。13歳の時に沖縄を訪ねて以来、タヒチ、モルディブ、サハラ、ヒマラヤ、南極など世界各地で「楽園」をテーマに撮影を続けている。27歳の時、写真集『RAKUEN』で木村伊兵衛賞を受賞。最近は故郷吉野川を始め、富士山、屋久島など国内での撮影にも力を入れている。作品はニューヨーク・ジョージ・イーストマンハウス国際写真博物館に永久保存されている。