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多くのアナログ方式のパワーアンプでは、信号波形の上下に2つの増幅素子(トランジスターなど)を使い、上半分と下半分の波形を中央でつなげてトータルの出力を得ています。このため、つなぎ目にあたるゼロボルト付近でクロスオーバーひずみが発生し、音質を害しています。一般にこのひずみは発熱によるひずみなどとともに、フィードバック制御で抑圧されます。しかし、増幅率の小さくなる高域では、完全に補正することは困難です。また、抑圧の結果、別のひずみが発生することも知られています。もちろん、アナログ方式のパワーアンプでも、上下のデバイスを常に動作させるAクラス動作によって、クロスオーバーひずみを解消することは可能です。しかし、発熱が大きく電力効率も下がるため、チャンネル数の多いホームシアター用パワーアンプには適しません。
これに対して、S-Masterでは、出力デバイスはオンまたはオフの動作のみを行い、オーディオ波形はパルスの疎密が決定。このようなパルス出力では、クロスオーバー付近がほかの部分と差がないため、原理的にクロスオーバーひずみが発生しません。さらに、素子の増幅率の変化などの影響も受けにくくなります。このため、微少信号から大出力まですべての信号の表現がきわめて自然で豊かになります。
■アナログアンプとS-Masterの出力波形の違い