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2005年12月22日 審査員代表:原田勝広
第5回「ソニーマーケティング学生ボランティアファンド」では、全部で62件の応募がありました。大学別には、国立大学18大学・公立大学24大学・私立大学10大学、合計42の大学から応募がありました。
大学でのNPOやボランティアに関する学科、講座が増えていることもあり、ボランティアに対する大学、学士の総合的な取り組みが定着してきた。また、それが、社会の中で、大学のひとつのあり方、学生の取り組むべき活動として、社会的評価が高くなっているといえる。応募作を見て、プロジェクトのユニークさ、包括的、継続性の面から感心するものが多かったが、そういう背景から生まれてきたのではないかとの印象を強くした。21世紀は市民社会の時代といわれるが、そういう「時代の風」に触れた思いがする。
応募は22分野と幅広い。グローバル化する世界にあって、若い人の視野が広がっている。従来から多い国際協力だけでなく、社会的課題とされる在日外国人支援、高齢者、不登校・引きこもりと幅広く網羅していることは、学生諸君の社会的関心の高さと、課題解決への意欲を明確に表しており、歓迎したい。
応募の量が減った反面、質的には極めて高いものが目に付いた。学生の域を超えて、一般のNPO活動と比べて遜色(そんしょく)がないものもある。とりわけ、その専門性を生かしたもの、社会から孤立した活動ではなく、むしろ、企業や地域と積極的に連携しようとする意欲が見られる点は評価したい。活動の社会的な広がり、成果の波及という面だけでなく、CSRを意識した企業、地域の課題に取り組むコミュニティの立場を理解するうえでも意義は大きい。
反面心配もある。ミッション(使命)や熱い思いがあるということはわかるのだが、具体性や工夫が足りないプロジェクトもあった。ミッションや思いを、どう具体化するか知恵をもっとしぼってほしい。大人にないフレッシュな発想を期待した。また、NPOが社会に定着してくると、行政や既存NPOの側から学生をうまく利用したいという思惑が働く場合もある。連携は必要だが、その中でいかに学生らしさ、自立性を保っているかという観点からの審査、評価も大事にしたい。
NPO、ボランティアのあり方として、昨今、マネジメントの重要性が指摘されることが多い。正しい指摘である。しかし、基本となるのは、「こころ」であることもまた、確かだと思う。とりわけ、金銭というよりは、その精神で、社会にかかわろうとする学生の場合は、この点が極めて重要だ。ボランティアの原点である使命観、無償性、奉仕の精神を忘れないようにしてほしい。そういう心のある提案をもっともっと待ちたいと思う。