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ソニーマーケティング学生ボランティアファンド

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講評

全体的な応募の状況

第9回「ソニーマーケティング学生ボランティアファンド」では、全部で99件の応募がありました。大学別には、国立大学 12大学・公立大学 5大学・私立大学 47大学、合計 64の大学から応募がありました。

審査方法

予備審査、次いで本審査を経て、対象団体活動Aコース(25万円を上限)15件、Bコース(10万円を上限)6件、合計21件を決定しました。

<予備審査>

 次の3つの評価基準に基づき書類審査を行い、対象を絞りました。


  1)応募要項の「応募資格」に合致しているか
  2)応募要項の「応募活動」の活動実施期日、報告会への参加条件を満たしているか
  3)費用明細が記されているか、また明細が適切か


<本審査>

 予備審査で選出された団体につき、今回、次の6つの項目を評価基準とし、A=3点、B=2点、C=1点で採点しました。5名の審査員による評価合計点を基準に、総合的な評価を加え21団体の活動をファンドの対象として決定しました。


  1)学生ならではの企画であるか
  2)企画が自己満足に終わっていないか、プログラムに社会性はあるか
  3)活動のユニークさ、チャレンジ性
  4)企画内容に計画性はあるか
  5)これまでにないような新規性はあるか
  6)ファンドが有効に生かされるか

応募企画に関する講評

このファンドも第9回目を迎え、全国の大学、学生の間にすっかり定着してきた感がある。その証左として、ことしの応募件数は昨年の69件から99件(Aコース77件、Bコース22件)と大幅に増えている。これで今まで一度も応募がない県は、福井、和歌山、島根の3県を残すのみとなった。

 活動地域を詳しく分析しよう。国内82件に対し、海外15件となっており、海外は大半が東南アジアで、カンボジア、ミャンマー、フィリピン、バングラデシュなどが多い。分野別では、地域コミュニティが一番多く、ボランティア活動が地域など身近で根付いてきたことをうかがわせる。ボランティア振興・啓発、子ども、障害者支援、教育も多かったが、在日外国人支援も目立った。日系ブラジル人、フィリピンやインドネシアからの福祉関係者の来日などが背景にあるようだ。少子高齢化の中で日本自体多くの課題を抱えているが、こうした人たちへの支援を通して、学生が社会とのかかわりを深めていくことは日本の将来を考えた時、大きな意味を持つに違いない。

最近、こんな「いい話」に出合った。横浜にあすなろ学校という聴覚不自由者のために聴導犬を育成する学校がある。ここの生徒は引きこもりやニートから自立を目指す若者だ。私が知り合った若い女性も受験に失敗して自信をなくし、3年間も引きこもっていた。その子が担当した子犬も、虐待された後遺症を持った犬だった。玄関でピーンポーンとドアホンが鳴った時や、目覚ましが鳴った時、知らせるようにする訓練は大変だったが、根気よく教えたことで、その犬は聴導犬として自立した。同時に、彼女も自分に自信を持ち、ペットシッターの会社に就職するまでに成長した。彼女の言葉が印象的であった。「犬といっしょに人生をやりなおしたんですよ」。あすなろ学校は日本補助犬協会が運営し、韓国企業が支援している。

豊かではあるが生きにくい時代である。ひとりひとりが自己実現を目指して彷徨している。外に目を向ければ貧困があり、紛争がある。地球環境も深刻である。ひとつひとつを自分の身近な問題として意識し、できる範囲内で解決に貢献していく。そのために行政や企業とネットワークをつくっていく。今、わたしたちに求められているのはそんな社会である。

ボランティア活動、またそれを支えるボランティア精神というのは、その基礎になるものだと思う。そして学生時代だけではなく、社会人になっても、各自の持ち場で、いつまでも持ち続けてほしい「志」である。厳しい経済状況が続いているが、わたしたちは学生の皆さんのその心を、揺るぎない信念で支援していきたいと考えている。

2009年12月24日 審査委員長 原田勝広

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