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第13回「ソニーマーケティング学生ボランティアファンド」では、全部で67件の応募がありました。大学別には、国立大学 12大学・公立大学 4大学・私立大学 33大学、合計 49の大学から応募がありました。
景気にいくらか明るさが見え始めたとはいえ、少子高齢化が進む日本の将来は極めて厳しい。そういう中で一番の希望は若者の存在です。特に社会の課題に関心を持ち、その解決のために挑戦する若者、ボランティア精神にあふれた若者は日本の宝といっていいでしょう。そういう人たちこそが、日本の未来を切り開いていくのです。といっても、ボランティアをするのに、その資金を他人に頼ってばかりいては、活動の規模や継続性に限界があります。そういう意味で、今回から「ソーシャル・ビジネス・コース」が新設されたことは歓迎すべきことだろうと思います。
環境保護や障がい者支援、まちづくりにいたるまで、社会には多くの課題が山積しています。そのなかには、自然災害や国際的な緊急人道支援のように見返りのない一方的な活動がある一方で、そのニーズに対し、ビジネスの手法をうまく活用すれば、課題を解決しながら資金循環を生み出す活動もあるはずです。
こうしたソーシャル・ビジネスのモデルを構築に取り組む学生団体を支援しようというのが、新たなコースを設けた狙いといえます。
今回、ソーシャル・ビジネスを対象にした「Sコース」の応募は11件と比較的少なかったのですが、「メイド・イン・カンボジア 農村発のエコロジーバイク」という興味深い提案がありました。カンボジアに生えている竹、これを使って竹自転車を製造、販売しようというもので、学校の数が少なく、長時間、歩いて通う子供たちの苦労を少しでも減らそうという試みです。現地の人を訓練して技術を習得してもらい、とりあえず10台を製造。一台、30ドルくらいの安価で販売できれば、かなりの売り上げが見込めるといいます。これまで、ボランティアといえば、外部から支援してもらうことしか考えていなかった学生が多いなかで、こうしたビジネスのアイデアが出てきたことはすばらしいことです。事業の成功に期待がかかります。来年度も、このコースへの応募を心待ちにしています。
さて、今回の応募総数は昨年の83件から減少して67件(Sコース11件、Aコース46件、Bコース10件)でした。来年度はSコースへの応募が増えることを期待しています。
応募の多い地区は東京(28)への一極集中が顕著で、京都(5)、以下、神奈川、大阪、埼玉、愛知が(3)で続いています。過疎化、少子高齢化、衰退する農林業など地方の課題は山積しているはずです。地方の学生さん、なんとか奮起してください。これまで一度も応募がなかったのは、全国で福井、和歌山両県を残すのみとなっていましたが、今回、ついに和歌山県から初めての応募がありました。残るは福井県だけです。福井の学生さん、頑張ってください。
大学別では、早稲田、法政、明治、上智、明治学院の順でした。数にそれほどの差は見られず、バランスのよい広がり方になっています。
分野別では、一昨年、昨年と「東日本大震災」が1位でしたが、今年は「地域コミュニティ」が1位となりました。2位が「国際支援」、3位は「こども・青少年」で、東日本大震災を含む「災害」が、4位となっています。活動地域別では、国内が53件、海外が14件と、国内が多くなっています。海外は国別の支援先としては、カンボジア(4)、フィリピン(3)、ネパール(2)が上位を占めていますが、ルワンダやソマリアが各1件など、遠くアフリカにまで学生が目を向け始めていることがうかがえます。
昨年同様、新規立ち上げ案件よりも継続案件が多いのが今年の特徴ですが、ややマンネリ化の傾向にあり、継続案件の扱い見直しが必要な情勢になっています。
内容についてコメントをしたいと思います。まず、安易に交通費を申請する団体が減ったことは歓迎したいと思います。そのため、企画、アイデアに知恵を絞った応募が目に着きました。音楽療法、難民のこどもの学習支援、カンボジアでの歩行者用の橋の建設など高い評価を得ました。こうした傾向は審査員にとってもうれしいものでした。
予想に反してというか、東日本大震災への支援のボランティアがまだまだ多いことにほっとしました。2014年春で地震発生から3年、人々の記憶も徐々に風化してきています。しかし、現地では支援のニーズがあります。新しいニーズをいかに汲み取り、それに対応しているのか正念場です。そういう意味では、産業復興やこどものケアなど学生らしい取り組みは、すばらしいと思いました。
阪神大震災や能登半島沖地震から10年以上たっていますが、そうした地で高齢化した被災者に寄り添う団体もあり、これには、われわれも驚かされました。若い感性に拍手を送りたい気分です。日本が抱える社会的課題がもっとも先鋭な形で現れている地域であり、ここでの支援は将来の日本に役立つことは間違いありません。「もう一度、東北に目を」と学生さんに呼び掛けたいと思います。
2013年12月26日
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