コンポーネントオーディオ

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マルチチャンネルAVレシーバー

STR-AN1000

音質の更なる向上を目指したビルドクオリティ

デジタル系回路基板を刷新

STR-AN1000ではデジタル系回路基板を刷新しました。これまで複数のDSPチップで行っていた音声信号処理のすべてを1チップで行う「SOC(System on Chip)」を搭載。高度なDSP処理を実現するとともに、信号経路長を極限まで短縮しています。また、HDMIも8K入出力対応として、デバイス・回路も変更されています。さらに、放熱用のヒートシンクの形状を見直しました。フィンの長さを不均等にすることで、より共振しにくい構造を採用し、ヒートシンクの鳴きによる、音の濁りを低減させています。

32 bit プロセッシング

32bitで処理されたDSP出力をそのまま32bitでDA変換します。音声信号処理の全てを1チップで行う「SOC(System on Chip)」により「D.C.A.C. IX」「イコライザー」「各種サウンドフィールド」など高度なDSP技術により、各機能すべての音質がグレードアップしました。デジタル入力されたPCM信号は32ビット信号処理され、DACでアナログ信号に変換されます。DSD信号はDSD NAITVE ON設定時にはDACまでDSD信号のままで入力されアナログ信号に変換されます。

デジタル系電源回路の見直し

デジタル系回路基板の刷新により、デジタル系電源回路には高音質面実装電解コンデンサを開発しDAC電源も強化。また、厳選した大容量ボルテージレギュレータICを採用しました。さらに、周辺回路や基板のパターニングにも配慮し高解像度を実現しています。

高音質を支える回路設計

「ジッタ・エリミネーション」回路を搭載

HDMIやデジタル音声信号のマスタークロックに原理的に含まれるジッタを排除する「ジッタ・エリミネーション」回路を搭載。ESシリーズに採用したこの技術により、高いS/N感と美しい音色を再現できます。ブルーレイディスクのフォーマット音声のみならず、リニアPCMや従来の圧縮音声を用いるDVDにも有効で、HDオーディオ時代にふさわしい音質の向上を実現しています。

「リニア広帯域パワーアンプ」を搭載

広帯域かつローノイズを実現した「リニア広帯域パワーアンプ」。パワーアンプ基板にガラスエポキシ樹脂を採用したことで音質と安定性を向上させます。入力から出力までのアナログ信号経路を全て同一基板上に配置するなどの回路パターンの最適配置による信号経路の短縮や電源供給ラインの大型ジャンパーワイヤーの追加による低インピーダンス化を図ることでスピード感、パワー感を生み出すとともに豊かな低音、より澄んだボーカル、自然な空間表現や音色を再現します。また、プリドライバーステージを大型抵抗で強化するなど電源ノイズの除去率を向上させ、従来比1/10以下に低減しています。さらにヒートシンクには、一枚のアルミ版にアーチ形状を持たせるように折り曲げ加工をほどこしてから、厚み4ミリのアルミベースに装置した高音質「ラウンドコルゲート」ヒートシンクを採用しました。フィンにラウンドアーチを持たせ、フィンの枚数を共鳴しにくい適性な数にすることや圧着部分を改善するなど、不要振動を低減します。スピーカーの音圧に起因するフィンの分割振動が少ないので、音の色付けが少なく、きわめて良好なフォーカス感、エア感を再現します。

パワーアンプのグラウンドの低インピーダンス化

ハイレゾ音源はCD音源に比べて立ち上がりが速く、また極めて微小な音楽成分が含まれている特長があります。ハイレゾ音源をより高純度に再生するためには、音量調整や小信号成分の増幅を行うプリアンプ回路の性能が音質的に重要です。STR-AN1000では定評のあるプリアンプICを採用し、さらにグラウンドを強化することで、より高解像度な信号増幅を実現しています。STR-AN1000ではESシリーズから採用しているワンポイントアース方式を継承し専用IC「CXD90035」も搭載していますが、さらに音質を進化させるために、プリアンプとパワーアンプとのグラウンドを強化するため直径1.6mmの無酸素銅製バスバーで配線しました。その結果、グラウンドのインピーダンスが下がりパワーアンプ初段の動作を安定させる事が出来、信号に忠実なサウンドを実現しています。

バッファーアンプの刷新

DACからプリアンプICへのアナログ信号経路を改善するために従来はオペアンプのみで構成されていた回路にJ-FETを追加し、新たな回路を開発しました。その効能として、周波数帯域を拡大し、位相回転をより高い周波数にシフトが可能になりハイレゾなどの帯域の広い音源に対して、よりにじみの無い音を実現します。また、バッファーアンプ刷新の効果を最大化するため、コンデサの容量を大幅に増大させ、各チャンネルを電源からほぼ等距離に配置し、電源の安定化とチャンネル間の相互間の干渉を受けにくくしました。

高精度プリアンプ専用IC「CXD90035」

高精度プリアンプ専用IC「CXD90035」を搭載

1. 高速応答性

アンプの最大立ち上がり速度であるスルーレートを従来に比べて2倍以上に高め、高速なハイレゾ信号の立ち上がりに対する速度余裕を一段と高めます。

2. 高S/N比

回路ノイズの発生を、特に低周波領域で1/30に低減しています。

3. 熱干渉除去

チップ上では、搭載されているアンプの出力回路から音楽信号に応じて変動する熱が発生します。この熱による不要成分の発生を排除する「熱変調防止型回路」を採用。不要な熱を排除し、熱的安定性を向上させることで、豊かな低音再生とフォーカス感の良い音質を実現しました。

4. IC内グラウンド分離方式

プリアンプIC内の各ステージのすべてのグラウンドをIC外に引き出し、ディスクリート構成と同じようにアンプとしてグラウンド処理を行う新しい方式を採用。音楽は残響感、空気感が自然で、細部までよく焦点が合います。

5. チップ内電源分離配線

IC内部の電源回路からアンプへの配線を、各回路ごとに配線する独立電源配線方式を採用。アンプ回路の内部干渉が大幅に低減され、音の分離が良くなります。

6.金ボンディングワイヤ採用

ボンディングワイヤは通常、銅線、アルミ線、金線が使われますが、その中でも音質のよい金線を採用しています。

高速応答性

通常プリアンプをICで構成する場合、その最大応答速度を示すのがスルーレートです。図2、3は高域成分を含んだ打楽器の音のCD音源とハイレゾ音源の波形です。ハイレゾ音源には立ち上がり速度が早い波形が含まれていることがわかります。このような早い立ち上がり、立下りを含むハイレゾ音源の再生には、これまで以上の高速な応答性が求められます。「CXD90035」のスルーレートは従来モデルの2倍以上の値で、オーディオ用オペアンプをも凌駕(りょうが)する性能を実現しました。これはハイレゾ音源(192kHz/24bit)が求めるスペックの5倍以上もの余裕がある周波数帯を有しており、高域の硬さやゆがみが無くエネルギー感にあふれた抜けのよい音を実現しています。

高SN比

ハイレゾ音源に含まれる微小な音楽成分を再現するには、これまで以上の低いノイズ特性が求められます。従来のモデルにおいても全帯域で-105dB以下と十分に低いノイズ特性ですが、高域と低域でノイズ量が違うことがわかります。「CXD90035」 では低域のノイズパワーを高域と同等まで下げることに成功。改善量はノイズパワーが約1/30に減少し、100Hz以下で約15dBです。同時に高域のノイズもノイズパワーでほぼ半減の3dB程度に改善。この結果「CXD90035」は全帯域にわたって極めて低くフラットなノイズ特性を実現し、聴感上のS/N感が大変よくハイレゾ音源が持つ美しい弱音部を余すところなく再現します。

熱干渉除去回路構成

一般にIC化されたアンプは、シリコンチップ上の一つのアンプの出力回路からオーディオ波形が出力されていると、その出力回路は出力に応じて発熱します。その熱はシリコンチップ上を拡散し、同じ回路上の熱に敏感な部分からの出力信号に、入力信号には無い応答が現れることがあります。これは非常に遅い応答なので、特に低域の分解能を悪化させてしまいます。「CXD90035」ではこうした熱流による温度勾配への感度の対策を行った、熱干渉除去型回路を開発して搭載しました。熱流による不要応答が少なく、ビット長が大きなハイレゾ音源の低域などの微細なニュアンスを余すところなく増幅します。

IC内グラウンド分離方式

一般的なICでは、いくつかの回路ごとにグラウンドをまとめてから外部に引き出しています。ところがこの方式だと、内部グラウンドの共通インピーダンスによる干渉がおこることがあります。「CXD90035」で採用したIC内グラウンド分離方式は、各増幅ステージとボリウム回路を完全に分離して専用のリードピンに接続。これをIC外部でアンプのプリアンプグラウンドに接続することで、問題となる電圧を発生させなくできます。これにより、従来はディスクリート構成のプリアンプでないと実現できなかったエネルギー感を実現。音の輪郭がにじむことがなく、繊細な細かい音までフォーカスした残響や音の勢いまでもが豊かに再生できるようになりました。

チップ内電源分離配線を採用

モノリシック構造のIC上には入力セレクター、入力バッファ、増幅回路で構成されています。これらを一つの電源で駆動する場合、回路同士が干渉する恐れがあります。「CXD90035」では電源パッドから各回路へ独立配線することによって、通常の一括配線に比べてアンプ回路間の干渉がなくなり、聴感上の音の分離が大変よくなりました。

金ボンディングワイヤを採用

「CXD90035」では、ICのシリコンチップと外部をつなぐボンディングワイヤに金線を採用しました。柔らかい金を採用することで外部の振動がチップ内部に伝わりにくく、また導電率が高いため電気的性能も高く維持できます。

厳選した高音質パーツ

高音質表面実装抵抗新開発「ファインサウンドレジスター」を採用

基板の高密度化に伴い、小型表面実装抵抗を必要とする回路に対応するために、高音質表面実装抵抗「ファインサウンドレジスター」を開発し搭載しました。専用の抵抗素材や構造に加えて電極に純銅を採用することにより、情報量が多く力強い音質を実現しています。

大型ブロックコンデンサやホームオーディオ用抵抗などの高品位なパーツを採用

大型ブロックコンデンサをアンプ用電源供給回路に採用しました。大容量に加え、音質まで吟味して開発されています。また、抵抗器も極めて音質に優れた特性を備えた、ソニー独自開発のオーディオグレード品を使用しています。こうした音質に優れた専用部品を贅(ぜい)沢に使用することで、より優れた音質を追求しています。

真空含浸処理した大型電源トランス

クラス最大級の容量の大型電源トランスは、より高音質化を達成するための新規設計部品です。ボビンは組み合わせ時の精度を向上させ、巻き線を巻いた時のゆがみが少なくなるように変更し、コア材料も選び直したものを採用しています。また、巻線にムラなく均一にワニスを塗布するため真空含浸処理を行っています。さらに、トランスから発生する電磁ノイズが回路ブロックへ悪影響を及ぼすことを防ぐために、巻線には銅板のショートリングを、コアには珪素鋼板のハムプルーフベルトでラッピングしました。これらにより、豊かな低音と繊細な高音を両立。広がりの豊かなステージ空間に、楽器とボーカルが鮮明に浮かび上がる立体感のある音場再生が楽しめます。

左…旧世代:有鉛はんだ 中央…第一世代:オーディオ用無鉛はんだ(2005年以降) 右…“ES”無鉛はんだ(2012年から)

高純度無鉛高音質はんだ

オーディオ製品の製造において、最も重要なパーツがはんだです。何千箇所にもおよぶ信号経路上の部品を接続するのがはんだであるため、その品質がアンプの性能に大きな影響を与えます。ソニーでは2005年モデルから独自開発した音質専用はんだを採用してきましたが、さらなる高音質を追求しESシリーズで開発した「高純度無鉛高音質はんだ」を採用しました。はんだの母材となるすずに純度99.99%以上の超高純度材を採用し、高純度無酸素銅や微量元素を高音質化を考慮して配合することで、より自然で豊かな音質を実現しました。

FBシャーシ(左) / フロントサブシャーシ(右)

耐振性に優れたパーツ

さらに耐振性を強化したFB(Frame and Beam)シャーシ

耐振性に優れたFBシャーシは、エンボス加工によって設けられたビーム(梁)がシャーシの左右両端まで伸び、トランスの重量を強固に支えるとともに、アンプ回路への不要な振動の伝播を遮断するように最適な配置としています。さらに強度向上のためにフロントパネル裏面にサブシャーシ構造を追加しました。これにより、ヒートシンクやトランスなどの重量物をシャーシがしっかりと受け止め不要な振動を抑えます。また、厚みのあるトップケースを採用するなどの高剛性化と厳重な振動対策により、豊かな量感と歯切れ良い低音の再現を両立しています。