株式会社乃村工藝社は、1892年(明治25年)の創業以来、各種のディスプレイおよび建築の調査・コンサルティング・企画・設計・デザイン・制作施工などで高い評価と実績を残してきた「空間を活性化する総合カンパニー」です。近年では、各種の施設・イベントの運営なども手がけ、2005年の愛知万博への取組みも予定されています。こうした創造集団の活動を支える現場に、バイオノート「PCG-GRS70/P」が導入され、営業スタッフを中心とする、クリエイティビティの高いオフィスワークを支えています。A4サイズのオールインワンモデルの特徴を活かした、PCG-GRS70/Pならではの活用法についてお話をうかがいました。
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乃村工藝社様では、2003年の6月にクライアントPCの全社的なリプレースを行ったそうですね。
中島
はい。東京・芝浦にある本社をはじめ、大阪、札幌、岡山、仙台などの、全国の支店・オフィスにある社内端末を約 1,200台切り替えました。部門によって目的やニーズが異なることからマルチベンダーにしたのですが、その中で約130台のバイオノート「PCG- GRS70/P」を、本社の3〜4階にある部門に導入しました。具体的には、この部門の管理や営業などのスタッフが、バイオノートのユーザーということになります。
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全社的にクライアントPCをリプレースした経緯というのは?
中島
弊社では、1998年にWindows 95を搭載したPCを社内端末として導入し、いわゆる1人1台の体制を実現しました。それから5年が経過して、マシンの老朽化や、使用しているソフトウェアのアップグレードなどによる処理速度の低下や、データの肥大化に対する記憶容量の不足、動作の不安定さ(頻繁なフリーズ)など、さまざまな問題が出てきた。これは、5年も使っていれば起こる問題です。また、この間にインターネットと社内LANが普及したことで、Windows 95のセキュリティ面の弱さという問題も出てきて、現場の人間からは早くマシンを変えて欲しいという要望も日増しに大きくなっていました。そういう背景の中で、社内端末のリプレースの検討が始まったのです。
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処理速度の向上、安定した動作、強固なセキュリティの実現。こうした条件から、導入するマシンを選定していったわけですね。
中島
CPUはどのマシンでも同じように速いわけですが、問題はそれと組み合わせるOSです。信頼性・拡張性を考えるとWindows XP Professionalにしたい。だから、導入するマシンはXP Proを搭載したモデルでないとダメという条件がありました。それともうひとつ重要なのが、ビジネスへの対応です。XP Proへの対応もそのひとつですが、ビジネスに対応できるモデルが揃っていることと、メーカーとしてビジネス利用に対するサポートがあること。この2つをクリアしていることが、まず最初の導入要件でした。
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ビジネスにも十分に対応できるマシン/メーカーとして、バイオノートとソニーを評価していただいたのは、非常にうれしい限りです。
中島
弊社としては、実際にビジネス上のおつきあいもありますし、ソニーブランドに対する信頼性もあります。実際、 98年の導入のときにも「なぜソニーのPCにしないのか?」という声もあった。でも、当時はバイオが出るか出ないかぐらいの時期でもあり、ビジネス対応モデルもサポートの体制もまだ揃っていなかった。その問題が今回では最初からクリアされていたのが大きいですね。ビジネス向けのモデルも出ているし、セーフティー・パスポートなどビジネス向けのサポート体制も揃っていた。だから、現場のユーザーはずっとバイオを待ち望んでいたのですが、それが今回やっと実現したという感じですね。
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導入にあたって、A4サイズのオールインワンモデルである PCG-GRS70/Pを選んだ理由というのは?
中島
98年のときは、営業スタッフが持ち歩いて使うモバイルでの使用もある程度推奨していたので、画面の解像度が800×600 ドットのSVGAでB5サイズのノートPCを中心に導入しました。それを今回は、A4サイズでオールインワンのノートPCにしようということに決めました。ある程度は持って歩いて使うこともあるでしょうが、今回はまずオフィスのデスクで作業をするときに、より快適に使えることを考えたのです。デスクの上の狭いスペースでもシッカリと使えるマシンにしようと。また、液晶ディスプレイのサイズも作業性を考えると15インチのXGA(1024×768ドット)が欠かせない。それで、Windows XP Professionalモデルということで検討して、最終的に選んだのがPCG-GRS70/Pだったのです。
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今回の導入にあたって、実際にマシンの設定から管理までを担当されたのは、乃村工藝社様のグループ会社で、総合アウトソーシング企業のシーズ・スリー様ということですが、システムの管理を担当されている立場からのご意見をお聞かせください。
竹下
今回のリプレースでは、ユーザーにアンケートをとってどの機種がいいか決めるようなことではなく、我々システム管理の側がよいと思うモノを選んで導入する方針でいました。先ほどの中島の話にもありましたが、ビジネス用として導入するわけですから、それに必要な要素を全部満たしていなければ、どんなにユーザーから希望されても導入はできませんからね。数あるバイオノートの中からPCG-GRS70/Pを選んだ理由というのは、実は簡単で、マシンの選定を進めていた時期に、バイオノートの中でWindows XP Professionalを搭載したA4のオールインワンマシンで、スペックや予算が全部あうのが、そのときはPCG-GRS70/Pだったのです。ですから、選びやすかったこともありますね。最初はCD-RW/DVD-ROM一体型ドライブまでは不要とも考えていました。
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実際にPCG-GRS70/Pを導入してみて、システム管理の立場からはどんな感想をお持ちですか。
塩川
これは他のメーカーのマシンでも同じなのですが、バイオノートの場合もホームユース向けに、エンターテインメント系の楽しいソフトがいろいろ入っていますよね。ビジネスでは必要ないので、不要なソフトウェアは全部アンインストールして、関連するレジストリの設定も全部削って、ビジネスで使うために最適な設定にしてから、動作検証を行って現場に導入するという作業をしました。導入するのが100台以上あるので、 CD-Rでマスターを作って、システムを丸ごと入れ直すという作業を行いました。それが少し大変でしたが、問題なく動いています。
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先ほど,当初はCD-RW/DVD-ROM一体型ドライブまでは不要と考えていたというお話がありましたが、それはセキュリティ面での理由ですか。
中島
そうですね、セキュリティ面も重視していますが、コスト面に注意しました。つまり、CD-R/RWのディスクが消耗品として、どんどん使われてしまうと、台数が多いのでコストも馬鹿にならないと考えていたのです。でも、バイオノートを導入してから現場のユーザーが使っているのを見ると、それほど枚数を消費していないことがわかりました。だから、結果的にはCD-RW/DVD-ROM一体型ドライブのモデルでよかったなと思っています。逆に、PCG-GRS70/Pの場合はフロッピーディスクドライブを付属していないのですが、それについて不満をいうユーザーもいませんし。ここ数年でユーザーが扱うデータの容量が非常に大きくなっていて、フロッピーディスクだと収まらないほどになっている。実際にバイオノートを導入してみて、ユーザーはCD-R/RWが焼けるドライブを待ち望んでいたのがわかりました。
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PCG-GRS70/Pを導入した理由のひとつに、グラフィックカードの性能が高かったことがあるとお聞きしたのですが。
中島
はい、PCG-GRS70/Pはグラフィックカードに「MOBILITY RADEON 7500」を搭載していて、ビデオメモリーも16MBある。それも決め手のひとつになりました。というのも、今回バイオノートを導入した部門では、 Microsoft PowerPointを戦略的に使っていくことを明確にした部門だったからなのです。お客様に対して、PowerPointを使って積極的にプレゼンテーションをしていこうということが決定していたので、グラフィックカードにRADEON 7500を積んでいる機種なら、画像データをふんだんに使ったPowerPointのデータも、ストレスなくキレイに表示できるだろうと判断したわけです。また、弊社のデザイナーが使っている「Adobe Illustrator」や、建築デザインソフト「Vector Works」、設計ソフト「AutoCAD」といったCADのデータを表示する必要のあるスタッフも多い。ビジネスでもビジュアルなデータを扱うことが多い場合は、グラフィックカードの性能が低い機種だとダメなのです。
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実際のビジネスでは、PCG-GRS70/Pをどのようにお使いですか。
中島
基本的にはデスクワークが中心ですが、社内での会議やプレゼンテーションでは、プロジェクターとつないで、 PowerPointのデータなどを表示しながら行うこともあります。また、営業スタッフが外に持ち出して出先で使うケースもありますが、外から社内へアクセスする場合は、一般的なモバイル利用というよりは、現場事務所や出張先にパソコンを持って行き、社内にいるときと同様に使用することが多いといえます。実際に使っているソフトは、「Word」「Excel」「PowerPoint」のMicrosoft Office。それから、勤怠管理や見積もり作成などのための業務システム。グループウェアの「Lotus Notes」。他には、PDFやCADのデータを表示するための各種のビューワーや、ファイルの圧縮解凍をするためのアーカイバー、画像データのアルバム管理用ソフトなどです。
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実際に導入されてみて、現場の方からの反応はどうでしょうか。PCG-GRS70/Pに対する評価をお聞かせください。
中島
当たり前といえば当たり前ですが、従来のB5サイズのノートPCに比べて、処理スピードが高速になったこと、画面がより高解像度で見た目のサイズも大きくなったこと、それからキーボードも大きくて打ちやすくなったことで、非常に快適だと評判がいいですね。実際、営業スタッフが見積もりを作成するための業務ソフトがあるのですが、それは項目も多いので、XGAクラスの大きな画面でないと、全部を1画面に表示することができないのです。そういう点でも、 SVGAだった従来のB5サイズのマシンに比べて作業効率が上がったと思います。もっと具体的なことは、この後に現場のスタッフから話があると思いますので、そちらに譲りますが。
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バイオノートならではの機能という点ではいかがでしょう。
中島
主にデスクで使うことが多いので、ホイール機能付きのマウスも各人に配布しているのですが、営業スタッフの中には、会議やプレゼンテーションなどに持ち歩く者もいて、そういう人間はジョグダイヤルのホイール機能を便利に使っているみたいですね。デスクで使うときもマウスはつなげてないようです。これは他のメーカーのマシンにはない便利な機能だと思います。一度慣れてしまうと、マウスでもホイール機能がないものは使えなくなってしまいますからね。後は、機能というわけではありませんが、バイオが使えて嬉しいと思っている者が多いみたいですよ。
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バイオノートでビジネスができる喜び、みたいな感じでしょうか?
中島
そうですね。今回バイオノートを導入した部門はお客様と直接やりとりをして、展示会・イベント・店舗・施設などを手がけている関係から、「ハジケて行こう」という意識が高い、クリエイティブな部署なんです。バイオを選んだのは、そういう部署のスタッフに気に入ってもらって、仕事のモチベーションを高めてもらいたかったという意味もあります。正直、他の部門のスタッフからは、うらやましがられている部分もあるんです。スタッフもバイオが来るのを待ちこがれていたところがある。ですから、そういう満足感の中でバイオを使いこなして、いい仕事をしてほしいと思っています。
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今後、バイオノートを使ってこんなことを実現したいという展望はありますか。
中島
B5サイズのノートPCから、A4サイズのオールインワンノートPCにリプレースして、重量的には重くなりましたが、それでも営業スタッフを中心に、モバイルのニーズはあるのです。そのとき、出先でも社内にいる時と同じように、快適に仕事ができる環境を整備したいと思っています。社内端末のリプレースが終わったので、今後の予定としては、インフラ関係の整備ですね。その中で、PHSのカードやホットスポットを使って、インターネット経由でもオフィスのシステムにアクセスできるようにしたいですね。これは年度内に実現したいと考えています。これによって、出張や出先での打ち合わせ、プレゼンテーションなどで、バイオを使ってさらに快適に行えるようになると思います。
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最後に現場のユーザーの方を代表して、いろいろとお話をいただければと思います。実際にマシンを手にされたのは、2003年6月上旬からということですが、約4ヵ月間、PCG-GRS70/Pを使われての感想はいかがですか。
渡部
以前のB5サイズのノートPCは、だいぶ古くなっていて、処理速度とか画面の大きさとか、いろいろな面で使い勝手が悪くなっていました。Windows 95もよくフリーズするようになってしまい、最後の方はつねにイライラしながら使っていました。ソフトも途中でバージョンアップしたり、扱うデータの容量も年々大きくなっていった関係で、もう限界という感じでした。私はその当時、大阪のオフィスにいたのですが、比較的新しい共用マシンを交代で使って、なんとか凌いでいるという状態でした。それが、新しいバイオに替えたことで、当然といえば当然ですが、処理速度がダントツに速くなった。今度はA4サイズのオールインワンタイプで、画面も大きくて、CD-R/RWも使えるので非常に快適ですね。
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バイオになったことで、仕事のスタイルが変わったということはありますか?
渡部
PowerPointは、いままで一部のスタッフしか使っていなかったのですが、バイオが来てからは、多くの人が積極的に使うようになりましたね。それから、以前は処理速度の問題から、インストールしても快適に使えなかったソフトがあるのですが、バイオだとストレスなく使えるので、そういうソフトを入れて使いたいというスタッフが増えてきましたね。それはCADのソフトなどで、全部のマシンにはコスト的に無理があってインストールできないので、共有マシンで使うようにしていますが。
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渡部さん自身は、どのような使い方をされているのでしょう。
渡部
個人的には、画面が大きくなって快適になったのが一番ですね。15インチで1024×768ドットのXGA画面なので、ExcelもPowerPoint も快適です。Webのブラウジングでも、最近では800×600だと全部表示できないページが増えてきているので、XGAだといいですね。よく、2つの画面を同時に開いて作業をするのですが、そういう使い方ができるので効率的です。見積もりを作成するソフトを使うときによくやります。800×600ドットのSVGA画面だと、1つの画面でさえ入りきらなかったので、コピー&ペーストで作業をする場合でも、全画面表示にした2つの画面を切り替えるという、面倒な方法で使っていました。
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マウス以外で使っている周辺機器はありますか。
渡部
見積もりの作成などで数字の入力が多いので、マウスの他にはUSBのテンキーをつけています。以前使っていたB5サイズのノートPCは、キーボードそのものが小さかったので、外付けのキーボードを買ってきてつけていましたが、今度のバイオはA4サイズでキーボードも大きいので、テンキーだけで済んでいます。
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バイオになって他に満足している点、仕事の上で改善できた点などはありますか。
渡部
機能とは関係ないですが、バイオはデザインがいいですよね。カラーリングも好きですし。そういう部分でも気分よく使えます。真っ黒とか銀色のものに比べると、バイオで仕事をする喜びは大きいですね。他には、CD-RW/DVD一体型ドライブが標準で内蔵されているので、CD-R/RWでデータのバックアップを気軽にとれるのがいいですね。以前は、データのバックアップもフロッピーディスクでしかできなかったので、面倒でデータのバックアップをとる習慣がほとんどありませんでした。お客様に大容量のデータを渡す場合でも、大きなファイルをメールに添付してそのまま送っていました。それがいまでは、営業スタッフはお客様にデータを渡すのでもCD-Rにして渡せるようになって。仕事で扱うデータは、大きいデータが多いので、あまりメールで送るのも問題があったのですが、こういう面もバイオを使うようになって改善できましたね。