生まれ変わった学校図書館で
「学びの車座」の核となる
大画面&フリーなWindows 8 PC
いま、学校図書館が変わりつつある。かつての静かな読書の場から
子どもたちが共同で学びに取り組む場へ。その新しい学びの場で、
VAIO Tap 20の活用がはじまった。
わが国屈指の教員養成系大学として知られる東京学芸大学。その指導法研究を担う場でもあるのが同大学附属の世田谷小学校だ。 今回、同大学が旗振り役として推進している「デジ読評価プロジェクト」(教科書連携型デジタル教材の認証・評価の仕組み作りと、 それを生かした研修・教育活動の一体的調査研究)の一環として、ここ世田谷小学校の学校図書館に、20インチの大画面タッチパネルを備えたVAIO Tap 20が導入された。 この取り組みに伴って「メディアルーム」とその名を改めた図書館を舞台に、まさに今子どもたちの学びが進化している。
業 種 | 導入機種 | 使用用途 |
---|---|---|
小学校 | VAIO Tap 20 8台 | 図書検索および児童用PC |
共同作業で威力を発揮するマルチタッチ対応の20インチ大画面
東京学芸大学附属世田谷小学校の要望は、コンピューター室でも普通教室でもなく、学校図書館で利用するタッチパネルPCというもの。それは、子どもたちがネットだけでなく、紙の本をはじめとする多種多様な資料を駆使しながら共同で学ぶための端末だからだ。VAIO Tap 20の20インチ大画面タッチパネルはその要望にぴったりフィット。図書館ならではの大きな机にはVAIOと一緒に図鑑や本が並べられ、子どもたちの想像力を刺激していた。のぞきこんだり向き合ったり、
子どもたちの気分に合わせて
学びの足かせをなくす
ワイヤレスという自由
前田 東京学芸大学では、平成24年度から文部科学省の特別経費「大学の特性を生かした多様な学術研究機能の充実」により「デジ読評価プロジェクト」を開始しました。
同プロジェクトでは、教科書と連携したデジタル教材の認証や評価の仕組み作りと、その仕組みを生かした研修・教育活動を一体的に調査研究することで、これからの社会で必要とされる「デジタル読解力」の向上に寄与することを目的としています。
今回はその実践の場の一つとして、本学附属の世田谷小学校の協力を得て、その学校図書館を、子どもたちが多様な情報と触れ合い、仲間と共に学べる「メディアルーム」として生まれ変わらせることにしました。
そこで重要な役割を果たす情報端末として、VAIO Tap 20を導入したという訳です。
前田 私が最初に学校司書の吉岡先生に推薦したのも、実は10インチ前後のタブレット端末だったんです。ところが学校からの要望は「図書館での活動には絶対大画面が欲しい」というものでした。
吉岡先生の考えるこれからの図書館では、子どもたちの協同的な学びや生産的な活動が大切です。ならば人と端末が1対1で向き合うことが前提のタブレットよりも、大画面で情報を共有し、みんなで作業できる端末をというのは自然だったのです。子どもたちが今まで学校で使ってきたPCとの操作や機能の連続性という点でも、PCを選ぶメリットがありました。
また、タブレットでは、OSや機能上の制約などから、必ずしもインターネット上のすべての情報にアクセスできないという現実もあります。学校教育においては、子どもたちのネットアクセスについて、フィルタリングや厳格なルールを課すといった方向性もありますが、私はただ禁止するのではなく、教師など大人がしっかり見守る環境の中でトライ&エラーを体験し、その中で正しいネットの活用態度を身に付けてほしいと考えています。その意味でも、フル機能のPCを選ぶことには合理性があるな、と思わされたのです。図書館の本来の意義も、人々にできる限り多くの情報へのアクセスを提供する、ということにあります。それと通じる話ですね。
学校からの要望を聞いたとき、私の頭に浮かんだのが、今お話ししたような思いと、その頃登場したばかりのVAIO Tap 20でした。「もうこれしかない!」という思いで、すぐにソニーに連絡を入れました。
吉岡 そうですね。ここは前から「全然静かじゃない」図書館でしたけれど(笑)。以前から蔵書の検索やネットでの調べ学習用にPCを設置していたのですが、台数面でも使い勝手の面でも、積極的に活用できるものではありませんでした。
それが今回、VAIO Tap 20の導入で、子どもたちが自然とその回りに車座を作って勉強するようになったんです。ただ子どもの好奇心任せでは活動が散漫になってしまうので、図書館の本を「タネ本」に、それをネットなどの情報で広げたり深めたりするよう工夫しています。
このVAIOにはキーボードやマウスも付いていますが、敢えて使っていません。テーブルの上にVAIOと一緒に本やノートを自由に開いて、それらを行ったり来たりしながら学んだり考えたりしてほしいからです。うまくいっていると思いますよ。
前田 私も今日の授業を見てとても驚かされたんですが、VAIO Tap 20の大画面は、何と言ったらいいんでしょうか、子どもたちの「視野角」のようなものを広げる効果があるようですね。
小さな画面に1人で向き合っていると、集中と引き替えに、他のことが目に入りにくくなります。それがここでは、隣の班の画面が目に入ってきたり、作業中のやり取りが耳に飛びこんできたりするんです。
そんな中から、子どもたちにとって新しい気づきが生まれることもきっとあるはずです。VAIO Tap 20には、子どもたち同士のそんな自然な学び合いのチャンスを生み出してくれる可能性を感じました。
角度調整の自由度が高く、しかも安定感のあるVAIO Tap 20のフリースタイルスタンドの使われ方も、ちょっとした驚きでしたね。当初私は、テーブル上に寝かせて置く使われ方が中心になるのではないかと想像していたのですが、実際にはグループごとに、あるいはネット閲覧、文字入力など、子どもたちの作業の局面ごとに、自由に立てたり、寝かせたりして使われていました。大人でも、アイデアに行き詰まると立ち歩きながら考え事をしたりすることがありますよね。まさにそうした感覚で、柔軟に思考しながら学ぶツールとしての良さが、本機にはあるのではないでしょうか。
吉岡 基本的には授業をされる先生が決めることですが、順次下の学年でも使っていくことになると思います。今回お見せした授業は理科でしたが、他の教科での活用はすでにはじまっていますし、VAIO Tap 20の活用は学年とともに、教科の面でもどんどん広がっていくでしょう。タッチパネルでの操作は、マウス&キーボードより低学年にもハードルが低いのではと期待しています。現時点でも授業時間のメディアルームの予約は取り合いなんですが、それに拍車がかかりそうです。
また、本校にとって初めてのWindows 8 PCということで、最初は手探りでした。スタート画面から学校では不要な機能(ストアやゲームなど)を削除するなど、一応の方針が固まってきたので、今後台数を増やす際には、あらかじめカスタマイズしてから納品してもらうことで導入の負担を減らすこともできそうです。
前田 こうして実際の授業を見て、別室のコンピューター室には用意されているプリンターや画面共有の仕組みなど、既存の校内ネットワークとの連携も視野にいれながら、活用の幅を広げるポイントが見えてきた気がします。それを追求していきたいですね。
吉岡 本校では「情報リテラシー」の指導を、図鑑の2人読みからスタートします。図鑑から始めて百科事典、さらに個別の情報が詰まった本へと情報を探し、深掘りしていく力を養うんです。2人読みするのは、お互いの気づきを共有して視野を広げるためですが、VAIO Tap 20の大画面を囲んでの協同学習は、そんな指導と共通する点が多いと思っています。
前田 アナログからデジタルへ、ではなく、アナログとデジタルの境目なしに、情報の信頼性や的確性などを見極めながら活用できる力を、子どもたちに付けさせたいと思っています。その意味でVAIO Tap 20は、まるで大きな絵本のように机の上に広げて、本やノートとシームレスに使える道具になるでしょう。今後、図書館が読書の場から授業の可能性を広げる場へと進化していく上で、こうした端末の役割は一層大きくなっていくと思っています。