■「トリニティホール」は学生たちの主体的な学びをうながす場
--まずは、このトリニティホールについて、改めてその概要をご紹介ください。
福原:ノートルダム清心女子大学トリニティホールは、シスター来日100周年となる2024年の記念事業として「学生一人ひとりの潜在能力を引き出す教育の実践と、多様な学びを支える学習環境整備の実現」を掲げ建設した7階建ての新学棟です。情報化に対応した新しい設備を積極的に取り入れたほか、学生が主体となって利用するスペースを増やすなど、これまでにない挑戦を数多く行っています。
--「これまでにない挑戦」についてもう少し詳しく教えてください。
宮川:トリニティホールの設計に際し、これからの時代の教育施設がどうあるべきかを徹底的に議論しました。今や、オンライン授業やハイブリッド授業が当たり前のものになりましたが、現在はこれまでの対面授業が中心です。今後、時代に応じて変わりゆく学びのかたちに柔軟に対応できるような施設にしたいという思いが、まずありました。
福原:また、本学がかねてより掲げているリベラル・アーツ教育、実用的な目的から離れた純粋な教養をさらに推し進めるような施設であることにもこだわりました。学生たちが本学での学びを通して自分の中のさまざまな可能性を見出し、現実社会でどのように生きていくのかに結びつけていけるような環境を提供したかったのです。そのため、トリニティホールでは何より学生たちの主体性を重視し、通常の講義だけでなく、グループワークやイベントなど、何でもできるような空間作りを徹底しています。その中で講義を行う教室や、エントランスホールにて業務用ディスプレイが必要になり今回、多くの法人向けブラビアを導入させていただくことになりました。
宮川:なお、今回のプロジェクトでは導入するディスプレイの要件として、学生がどこの席から見ても平等に見えるよう、外光や照明などの「映り込みが少ない」ことを重視。導入業者から「ディープブラック・ノングレアコーティング」で映り込みを抑えた法人向けブラビア「BZ40Lシリーズ」を推薦され、このシリーズを中心に計44台を各階に設置しています。
■全ての学生とのコミュニケーションに法人向けブラビアが活躍
--ここからはそれぞれのフロアでどのように法人向けブラビアを利用されているかを具体的にお聞きしていきます。まず、トリニティホールに入ってすぐのラウンジには、65V型の『FW-65BZ40L』を外向きに6台、内向きに6台、計12台を天吊りで配置しています。これはどういった用途にお使いなのでしょうか?
福原:トリニティホールの2階には学務部が入っており、当初から学生向けの掲示板をデジタルサイネージ化しようという計画がありました。ただ、それを2階に設置してしまうと、2,000人以上いる学生が毎日、ホールの2階まで上がってこなければならず大変な混雑を招きかねません。そこで、1階ラウンジに業務用ディスプレイを配置しつつ、ホール内に入らなくてもガラス越しに外からも見られるような2面構成にすることで混雑を回避しようと考えました。
--トリニティホールは正門から学内に進んでいく途中にありますから、外から見えるようにすることで、人流を変えることなく全ての学生に必要な情報を行き渡らせることができますね。そのためのディスプレイに、どのような性能を求めましたか?
福原:ラウンジには夕方から強い西日が差し込んでくるため、十分な明るさを持ち、どこからでも見やすいように太陽光や蛍光灯の映り込みが少ないことを求めました。実は、設計の都合で当初想定したよりも内側の配置となってしまい、ちゃんと外からでも見えるのか不安に感じていたのですが、実際に設置されたディスプレイは輝度が高いためとても見やすくて満足しています。特に映り込みの少なさは驚くほどでした。この成功を契機に、学内に広くディスプレイ型サイネージが普及していくことを期待しています。
--ちなみにディスプレイには具体的にはどのような情報を掲示しているのですか?
福原:平時は学生係、教務係からのお知らせのほか、自習室の利用状況などを表示できるようにしています。
居森:その上で今後は特別な使い方として、ホール内で行っているイベントの様子をそのまま中継したり、大学祭や入学説明会などのイベント時に広報的な動画を流したりといった使い方も想定しています。5月の「キャップ・アンド・ガウン授与式」から始まり、3月の「ノートルダムデー」「フッド授与式」「卒業証書・学位記授与式」などの卒業関連行事が多い大学ですから、お越しいただいた方にこのディスプレイを通じて、いろいろなことをお知らせできるのではないかな、と。
■映り込みの少ない法人向けブラビアはどこに移動させても見やすさを損なわない
--それぞれの教室にもたくさんの法人向けブラビアをご導入いただきました。こちらについてはいかがでしょうか?
宮川:ホールの3〜7階にはたくさんのタイプ、大きさの教室があります。特に、今年から新設された情報デザイン学部専用となる7階の教室にはさまざまな工夫を施しました。中でも象徴的なのが、約50名の学生を収容できる演習室とデザインラボに設置された計6台のキャスター付き75V型・65V型ディスプレイ(FW-75BZ40L×2台、FW-65BZ40L×4台)です。演習室の正面中央に壁掛け配置された98V型『FW-98BZ50L』のサブディスプレイとしての活用に加え、学生を複数チームに分けたグループワークでの利用など、さまざまな用途で自由に配置して使えるようにしています。この際、どこに移動させても外光や照明の映り込みが少ない法人向けブラビア(BZ40Lシリーズ)は良い選択肢でした。
7階デザインラボ。演習室同様、自由なワークスペース構築が可能。
福原:部屋を暗くしなくても良いことや、クッキリと見やすい表示、トータルでの設置スペースの小ささなど、環境に合わせて多彩な選択ができるソニーのディスプレイラインアップに多くのメリットを感じています。なお、大画面が必要な大きい教室には高輝度プロジェクターを導入しており、こちらも満足しています。
宮川:ちなみにキャスター付きディスプレイについては、現状、学生の自由な利用をうながす意図もあり厳密な利用ルールを定めていません。授業での利用にとどまらず、エレベーター前の共有スペースに持ち出してサークル活動で使うなど、学生が何かをやろうと思ったら使えるようにしています。
■学生たちによる思いもよらない活用拡大に期待
--今回、ホール内の各教室のほか、6階「ラーニングコモンズ」と名付けられた自習スペースのうち、グループワーク用の5部屋にも、それぞれの部屋に法人向けブラビアを設置いただきました。
居森:少人数で集まれる設備の整ったスペースが学内に不足しているという声を受けて、今回、トリニティホールにこうした部屋を設けました。最大12人くらいまでのグループで集まって勉強するために活用してもらうイメージです。
--これらの部屋には、それぞれ1台ずつ55V型『FW-55BZ40L』が設置されています。この機種選定にどういった狙いがあったのかも教えてください。
居森:グループワークをする以上、全員で共有できるディスプレイは必須です。この際、他の教室と同じく映り込みの少なさを重視しつつ、部屋のサイズから55V型程度が適切であろうと考えて『FW-55BZ40L』にしました。なお、この部屋ならではの工夫として、あえて各部屋にディスプレイのリモコンを置かず、学生がHDMIケーブルをPCにさせば電源が入り、抜けばスタンバイになるようにしています。これは、法人向けブラビアのプロモードを用いて実現しています。
宮川:そのほか、トリニティホールではたくさんの法人向けブラビアや、ソニー製のPTZオートフレーミングカメラ、パワードラインアレイスピーカーなどを導入し、これからの時代に相応しい学習環境を提供しています。
福原:まだ、開設から1か月も経っていないので(取材は2024年4月に実施)、その導入効果は未知数なのですが、映り込みの少なさをはじめ、その表示性能には十分な手応えを感じています。ぜひ、学生の皆さんには私たちが思いもつかなかったような使い方をしてみてほしいですね。