-ビジネス情報メディア「TECH+」掲載記事引用
オフィスワークとリモートワークが両立するハイブリッドワークが主流となるなか、リアルでのコミュニケーションを意識する層と、場所によらず柔軟な働き方を求める層とのあいだに意識のギャップが生じているケースは少なくない。オフィスのあり方を見直す時期だといえるのではないだろうか。
9月5日-8日に開催されたウェビナー「TECH+EXPO 2023 Sep. for ハイブリッドワーク 場所と時間とつながりの最適解」では、ソニーマーケティング B2B統合ビジネス推進部 マーケティングマネージャー 小暮雅也氏が、業務用ディスプレイを中心としたハードウェアと各ソリューションを掛け合わせることでハイブリッドワークの課題を解決するためのアイデアを紹介した。
■変わりゆく働き方とオフィスの価値
リモートワークが飛躍的に普及し、各社が対応に追われた時期を超え、現在では、オフィスワークかリモートワークかをフレキシブルに判断できるハイブリッドワークの考え方が主流になりつつある。
ハイブリッドワーク時代に求められるオフィスの役割は、社内コミュニケーションやチーム活動の活性化、社風文化を醸成する場、OJTといった、会社からの効果的な情報発信を行う場所として捉えられるようになってきている。1人での作業などリモートワークのほうが適しているシーンもある一方で、オフィスにいること自体がリモートワーク以上の付加価値を作り出すものとして期待されているともいえる。
さらに、ハイブリッドワークの普及に伴い、会議スタイルは「規模別」から「用途別」へとトレンドが変わってきている。リアルでの会議が前提の時代には会議の参加人数によって会議室の規模を決めていたが、ハイブリッドワークの時代は、参加者がリモートとリアルで分かれているケースも多い。このため、1on1を行うハドルスペース、全員議論型の会議を行うミーティングスペース、ハイレベルな判断を伴うカンファレンスルームそれぞれに対し、リアルとリモートのハイブリット前提で行うことがトレンドだ。
■ディスプレイ選びの際に気をつけるべき点
こうした状況に合わせて、会議用の設備を見直すことが求められている。すべての用途で共通しているのはディスプレイである。
ディスプレイの視認性が悪ければ、会議の生産性低下につながってしまう。例えば、ディスプレイの画質が悪い、画面が暗い、資料の色の違いがわかりにくい、文字がにじむ、人や照明が映り込むといった課題から、会議の内容が頭に入ってこないことを経験した人も多いのではないだろうか。高画質なディスプレイであれば、明るい会議室でも十分に視認でき、色の濃淡がしっかり表現され、大画面でも文字がくっきり見え、映り込みが目立たなくなるといったメリットがある。ただし、小暮氏は「購入時に複数のメーカーの仕様書を見ているだけでは、画質の詳細まで比較するのが難しいでしょう。実機で確認することが重要です」とアドバイスする。
また、会議室の大きさに合わせたディスプレイの適正なサイズ選びも大切だ。小暮氏は「当社では、豊富なサイズラインアップを展開させていただいています。さまざまな会議に応じた適正サイズを選択できるため、全員がしっかりと会議に参加できる場がつくれます」と説明する。
ディスプレイの画質に加え、付加機能もチェックしておく必要がある。電源の入れ方がわからない、リモコンが見つからない、電池が切れてしまっているといったリモコンの管理における課題があったり、PCの切り替え方や機器の使い方を含めた運用方法のアナウンスが難しかったりなど、ディスプレイの使い勝手が悪いと貴重な会議の時間を浪費してしまうおそれがある。小暮氏は、「法人向けブラビアなら、HDMIを接続すれば自動で電源がONになる、つないだHDMIに自動で切り替わるなどといったリモコンレスでの運用が可能です。ホーム画面をカスタムして、会議室の使い方を説明する任意の画像や動画を表示するという方法もとれます」とメリットを紹介する。
■周辺機器との組み合わせもポイント
さらに、ディスプレイの周辺機器選びもポイントとなる。
まずは、カメラだ。一般的な固定型のカメラの場合、プレゼンルームやカンファレンスルームなど規模の大きな部屋では、話者をカメラに収めることが難しくなる。また、俯瞰映像では個々の表情がわかりづらい。プレゼンターの音声を検知してズームできるカメラもあるが、意図どおりにならないケースもある。これに対し、ソニーのPTZオートフレーミングカメラでは、プレゼンターをAIが自動で追尾し画面に捉え続けることが可能だ。広範囲でのズーム撮影もできるほか、プリセットポジションを登録してカメラを切り替える機能もある。
次にマイクである。一般的なマイクは会議開催の都度セッティングが必要で、ケーブルが混在してからまってしまうケースなども多い。また、プレゼンターの音声が届かずマイクを渡し合わなければならない時もある。会議室の天井に設置できるソニーのシーリング型ビームフォーミングマイクロホンは、マイクを意識せずに自然な会話ができるだけではなく、音声補強に対応しており、別途マイクを用意する必要もないのが特長だ。
会議室が広い場合、リモートの音を均一に届けられるソニーのラインアレイスピーカーがおすすめだ。ラインアレイスピーカーは、直進性が強く音を絞って出せるので、会議室の後方に座っている参加者まで音が提供される。また、画面のなかで音を固定する「画音一致」の状態が実現できる。ビームフォーミングマイクロホンとの組み合わせで会議室内の音声補強も可能となる。
■スペース別のおすすめ構成
続いて小暮氏は、スペース別のおすすめ構成について紹介した。
<ハドルスペース>
オープンな場所で1on1のブリーフィングや少人数のリモートミーティングを行う場合、快適なリモート会議を実現するためには、明るくてきれいな色表現ができる50インチの法人向けブラビア「FW-50BZ30L」にヤマハのWeb会議用ビデオバーを組み合わせるのが向いているという。「周囲の雑音を避け、顔認識によって話者の声を正確に収音できるため、まわりで他の人がミーティングをしていても快適さを保てます。ブラビアの高音質スピーカーを利用しているため、画音一致で臨場感が向上します」(小暮氏)
<ミーティングスペース>
定例会議といった全員議論型の会議を行うような会議室には、映り込みの対策が施された65インチの法人向けブラビア「FW-65BZ40L」に、ヤマハのWeb会議用ビデオバーおよびバルコのワイヤレスコラボレーションツール ClickShareコンファレンスを組み合わせるのがおすすめだ。「BZ40L」は映り込みが抑制されており、窓や照明が大きく明るい会議室に最適。
ClickShareコンファレンスは、カメラやマイクをワイヤレスで接続でき、資料の切り替えも容易となる。さらに、法人向けブラビアのHDMI自動連動を利用すれば、ClickShareコンファレンスの電源オフに伴い自動でディスプレイも消せるように設定できるので、ディスプレイの電源消し忘れ防止にもなる。
<カンファレンスルーム>
カンファレンスルームは、経営層やマネジメント層のハイレベルな判断に利用する場合が多いため、さまざまな資料を効果的・効率的に表示することが重要となる。特に参加者の表情と会話、資料がクリアに確認できることがポイントだ。おすすめは、映り込みを抑制した85インチの法人向けブラビア「FW-85BZ40L」を2台組み合わせ、さらにソニーのシーリング型ビームフォーミングマイクロホン、PTZオートフレーミングカメラ、ラインアレイスピーカー、PCレスで参加できるCrestronのMicrosoft Teams Rooms 認定デバイスを組み合わせる。
小暮氏はこの構成について「カメラ映像が2画面に渡るため、多人数でも見やすく、資料とリモートの参加者が大きく表示されるので視認性も高いです。PC側の設定が不要なので、スムーズに使えます。法人向けブラビアは、Crestronが提唱する複数の規格などに対応しているので、周辺機器を自由に構築できます」と説明する。
■オフィスのディスプレイも比較検討することが重要
小暮氏は講演の最後に「家庭用テレビなどを購入する場合は、店頭やWebで入念に下調べをすると思うが、オフィスのディスプレイはインチサイズや仕様だけで選びがちです。選ぶディスプレイによって会議体験に直結するような違いがあります。購入前にぜひ比較検討していただきたいですし、当社に気軽にお問い合わせください。」と呼びかけた。