開発者インタビュー
4K対応ブラビアTM開発者インタビュー
評論家・麻倉怜士が聞く
映像も音も美しく進化した理由とは?
4K対応超解像エンジン「4K X-Reality PRO」や、
色再現領域を大幅に拡大した「トリルミナス®ディスプレイ」といった新技術を搭載し、
映像が圧倒的に美しくなったソニーの4K対応ブラビア。
同時に、高級オーディオの開発で培ったノウハウを注ぎ込み、画質に負けない高音質の実現に成功している。
そこでオーディオやビジュアル機器に造詣の深い、評論家の麻倉怜士氏をお迎えして、
開発担当者と4K対応ブラビアの誕生秘話について語り合った。
オーディオ・ビジュアル評論家。
デジタル・メディア評論家。
1950年生まれ。
横浜市立大学を卒業後、日本経済新聞社、プレジデント社を経て、1991年に評論家として独立。
評論活動に加え、日本画質学会の副会長も務める。また津田塾大学で音楽理論の講師も担当している。
Cast
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玉井 武
画質設計担当
HES事業本部 TV事業部
商品設計部 設計技術2課 -
本田 建功
色彩設計担当
HES事業本部 TV事業部
商品設計部 設計技術2課 -
楠 治人
音響設計担当
HES事業本部TV事業部
パネル機構設計部 5課 -
中島 諒介
電気設計担当
HES事業本部TV事業部
パネル機構設計部 5課
4倍の情報量だから可能となった
緻密で臨場感のある映像表現
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「4K対応テレビ」と聞いても、ピンと来ない方もいらっしゃると思いますので、まずは“4K”とはどんなテレビなのか、ご説明していただきましょう。
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そうですね。“4K”と言うのは、簡単に言うと、今ご家庭でご覧になっているフルHDのテレビの、実に4倍の情報量を持つテレビです。これまで以上に美しい映像を映すことができ、平面の映像が立体的に感じるほど。あたかもその現場に居るかのような臨場感が体験できます。
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4Kテレビだと、例えば、料理からたち上る湯気なども、まるで目の前で立ち上っているかのような立体感で表現できますし、人の肌などの微妙な質感もよりリアルに、そこにいるかのように再現できます。2Kのテレビも一見するとキレイですが、近づいて見ると粗さを感じます。でも4Kのテレビは近づいても本当に目の前にあるかのようなリアリティを感じることができます。
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さらに今回ソニーの4K対応ブラビアは、音質も画質に負けないほど進化しています。ディスプレイが高画質になり、繊細な表現が可能になりましたが、前面に大きなスピーカーを搭載することで、きめ細かい音まで再現できる高音質になっています。スピーカーユニットが前を向いていないと、ここまでの高音質は実現できないんですよ。
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確かに今の市場環境ではあり得ないぐらい贅沢な音響パーツを使っているよね。中を開けてみたら、ライバルメーカーはびっくりするんじゃないかな。
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そうですよね。開発を担当した自分自身も、びっくりしました。こんな部品を使って本当にいいの?って(笑)。
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よりきれいな映像で観たいというのは、皆がテレビに求める極めて根源的な欲求。だから白黒だったテレビがカラーになり、そしてワイドになって臨場感が増してきました。次は画素の数を増やすことで、より精細で本物に近い映像を映し出したい。そんな高画質化の流れのなかで、4Kは登場しています。だから今、大型テレビを買うなら、4Kがファーストチョイスでしょう。
キレイから感動へ。本物により近い精密さ
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私たち画質エンジニアとしても、やはり画質を追求したいという想いは、常に持っています。お客様がテレビを見て感動するような画質を実現したいと考えています。では、何が感動につながるのか?実際に目で見る現実世界と同じくらいの画質が広がり、リアリティがあればあるほど、お客様は感動して頂けると思っています。
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ハイビジョン化前のSD(標準解像度)で、およそ30万~40万画素。今は多くの方がご覧になっているハイビジョンテレビは2Kテレビといって、横方向が1920画素で、縦方向が1080画素。これを掛けると207万画素になります。4Kテレビは、きれいになったと感じている人も多いハイビジョンテレビの4倍の829万画素です。画素が細かいほど、細部まで表現できますね。
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2Kのテレビが普及して、しかもテレビが大型化しています。すると、映像を大きく引き伸ばすことになり、2Kテレビでは近づいて見ると、映像に粗さを感じます。でも、4Kなら画面に近づいても、目の前にあるようなリアリティのある映像を再現できます。
いま放映されている2Kの映像も
4K対応超解像エンジンでさらに美しく
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別にそこまでキレイな映像は求めてないとか、ソフトが4K対応してないのでは?と言う声も聞きます。でも、実はこの人たちが凄いのは、今のフルHDの映像をさらにキレイに映し出すテクノロジーを持っていることです。ブルーレイはフルHDですし、フルHDの放送も盛んです。つまり2Kのコンテンツは山ほど世の中にあるんです。ソニーの4K対応ブラビアなら、「4K X-Reality PRO」という超解像エンジンで、それらのフルHDをさらに美しく見ることができます。今のフォーマットのためのテレビなのですから、4Kテレビが流行らないわけがないと私は思っています。すべての画面をリアルタイムで分析して、すべての波形を瞬時に置き換えて、キレイに表現する。この置き換える技術が実はすばらしい。ソニーには、この「X-RealityPRO」というテクノロジーがあるからこそ、自信を持って2Kのコンテンツを4Kで観てくださいと言えるわけです。
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私は色の設計に携わっていますが、新開発のトリルミナスディスプレイという、これまでの液晶パネルに比べ、色の再現範囲が広いディスプレイを使っています。だからより本物に近い色が出せるようになっています。とくにこれまでのテレビでは、真紅は表現しきれませんでした。しかし、トリルミナスディスプレイのおかげで、真紅の表現はもちろん、色合いの微妙に違う様々な赤も再現できます。また海も透明感のある南国の海が表現できるようになっています。
ここまで赤を再現できるディスプレイに出会ったことがない
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今回、色の再現性には感心しました。私はいつもある映画の映像を映して、色再現をチェックします。その映像の冒頭に朝陽が反射して赤くなった川が出てきます。あの赤をきちんと再現できた液晶ディスプレイは、ソニーのかつてのRGB・LEDバックライトテレビのみでした。でも、今回はかなり私のイメージに近い色でしたね。肌色のような健康的な記憶色もよく出ているし、色への評価が上がったという印象です。
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ありがとうございます。色の再現性もやり過ぎると、不自然になってしまいます。現実とかけ離れた色になってしまっては、本末転倒です。人の肌の色など、ちょっとした色の変化を大事に開発しました。
圧倒的に美しい4Kの音響は
薄型テレビ始まって以来の革命
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また、4K対応ブラビアは音響にもこだわっています。これは薄型テレビ始まって以来の革命だと思います。液晶テレビというのはまったくもってデザイン優先です。より薄く、より細くを追い求め、スピーカーのことはほとんど考慮されてきませんでした。でも、今回ソニーはそれを変えてきた。英断だと思いますね。世界的な流れからすると、逆行していると思いますが、それでもやるのが、今のソニーの凄いところ。私はこの20年ずっとコンシューマーエレクトロニックショーに通っていますが、テレビの音だけでシアターを組んだのは今年のソニーだけでした。それぐらい画期的です。
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私はもともとオーディオを担当していました。そのため何のためらいもなく、前を向いたスピーカーをデザインしました。テレビの設計をずっとやられていた方は、不思議そうな顔で、私の設計を見ていたのかもしれません。
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スピーカーが進化するのに合わせて、オーディオ回路も進化する必要がありました。最適な音が鳴るよう、映像に合わせて、よりパワフルで高精細な音になるよう基板や回路を設計しています。
オーディオのソニーだから可能な高音質テクノロジー
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オーディオ部門から技術や人材を引っ張ってくる。これはソニーの強みですね。テレビだけしかないメーカーらは、できないことです。スピーカーを前に向けただけで、各部門から反対されます。でも、その決断ができて、技術もある。だから実現できたんだと思います。
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4Kの映像技術に合わせて、より細かい音が再生できるような設計や部品選択を行っています。ウーファーもパワーアップして、迫力のある低音が出るようになりました。また、テレビでは映画や音楽だけではなく、ニュースやバラエティ番組も見ます。ニュースキャスターにもいろんな声質の方がいます。いろいろな音を再生できるバランス感覚が大切です。今回はスピーカーやオーディオの回路がかなりグレードアップしていますよ。
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人の感覚というのは不思議なもので、目と耳で映像を判断します。だから画だけが良くてもダメだし、音だけが良くてもダメです。映像と音はお互いに影響し合います。良い音を聞くと画質もよく見えるし、良い画質を観ると音もよく聞こえます。お互いが助け合うことで、新しい感動の世界が開けると思います。その点、今回のソニーの4K対応ブラビアなら、より高い境地の映像世界を見せてくれる、体験させてくれるでしょう。
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