家族で過ごす“初めて”の思い出
「一生、食べるものに困らないように」
生まれて120日後に行われた、春和くんのお食い初め。「一生、食べるものに困らないように」との願いを込めて、母方のおばあちゃんや曾おじいちゃん、お母さんのいとこ家族もお祝いに駆けつけた。
春和くんの成長を見守るみんなで一緒に願いを込めながら、箸の先を春和くんの口元へ。お兄ちゃん、お姉ちゃんも通った道を、少しずつ春和くんも追いかけていく。
初めて過ごす、季節のイベント
年末年始は、クリスマスにお正月と、春和くんにとって初めての季節のイベントが続く。
春和くん家族のクリスマスは、おいしいごちそうとケーキを囲んで、みんなで食事を楽しむのが定番。
でも、春和くんが加わった今年のクリスマスはちょっと違った。村のイベントでビンゴ大会を初体験した子どもたちがあまりに楽しそうだったからと、お父さんが家族のビンゴ大会を企画したのだ。プレゼントは、お母さんがみんなのために選んだもの。
子どもたちだけでなく、おじいちゃん、おばあちゃんも一緒に楽しめるビンゴ大会は大盛り上がりしたそうで、「これから毎年の恒例行事になるかも」と、お父さん。写真を眺めて、「春和が生まれた年から始めたのだよね」と思い出話をする日も遠くない。
お正月の朝には、春和くんが初めて雪に触れた。ソリ遊びや雪合戦をして元気に遊ぶお兄ちゃん・お姉ちゃんをじっと見つめる春和くんは、「僕も遊びたいよ」と言っているかのよう。来年の冬、一緒に楽しむ姿が目に浮かぶ。
かるた、書き初めで遊び終えた頃、テーブルの上には、三陸沿岸ならではのお正月料理が並んだ。お餅を甘い胡桃ダレに付けて食べる珍しいお雑煮や、干し柿が入った酢の物など。おせちの意味はまだわからなくても、ハレの日を彩るいつもと違った料理が並んだ食卓に春和くんは興味津々。この光景も、家族の思い出として写真に残り、春和くんの心にしっかり刻まれたのではないだろうか。
村に春を告げる、伝統行事
初めての鵜鳥神楽
慌ただしい新年が落ち着いた、2月上旬。村には、春を告げる「鵜鳥神楽」がやってきた。
鵜鳥神楽とは、その昔、山中で修行をする山伏が始めたと言われる伝統行事。1〜3月のあいだ、久慈から釜石までの神楽宿と呼ばれる民家を点々とし、神楽を披露して巡業する。震災後は、村民への配慮のため規模が縮小されていたが、今年からまた本格的に廻り神楽が再開された。「自分たちも見てきた何百年と続く伝統行事だけに、子どもたちにも大事にしてもらいたい。いつまでも続けていってほしいですね」と、春和くんを見つめながらお父さんが話す。
神楽を見るために民家に訪れると、すでにたくさんの村人の姿が。春和くんを抱きかかえたお母さんも、そっと家の中へ。独特の歌声や太鼓の音が聞こえ、不安そうな表情を見せる春和くん。「こわがって、泣いちゃうかも」とのお母さんの不安的中かと思われたが、いざ部屋の中に入ってみると、不思議とおだやかな表情で、興味深そうに神楽を見つめていた。
その場に居合わせた村の人たちみんなにかわいがられながら、さらにゴキゲンな春和くん。我が子のように成長を見守ってくれる人たちが、この村にはたくさんいる。こうして、春和くんの初めての鵜鳥神楽の思い出が刻まれた。
春和くんの未来
成長を感じる瞬間
お食い初め、クリスマス、お正月、鵜鳥神楽……。さまざまな出来事を経験しながら、日々成長してきた春和くん。最近は、元気にうしろへハイハイするようになっただけでなく、しっかりと自己主張もできるようになってきたという。お兄ちゃん・お姉ちゃんにおもちゃをとられて泣いたり、お風呂に入る前に裸ん坊になって喜んだり。そんなひとつひとつの瞬間に、成長を感じずにはいられない。
初めての誕生日
5月には、1歳の誕生日を迎えようとしている。「末っ子として、やんちゃに育っていくんじゃないかな。たまに、お兄ちゃん・お姉ちゃんよりも冷静にどっしり構えているような時もあるけど(笑)」と、ご両親。これまで撮りためた写真を眺めて、すこし感慨深げな様子だ。
子どもたちの成長はあっという間だけど、写真があれば、いつでも“あの瞬間”の思い出を振り返れる。これからも大切な思い出を記録しながら、家族みんなで、春和くんの成長を見守っていく。たくさんの人から愛情を注がれ伸び伸びと育つ春和くんが、これからどう成長するのか楽しみだ。