SONY make.believe

DSC-RX1 フルサイズCMOSセンサー 単焦点レンズ 35mm F2.0

写真家が語る RX1の魅力 三好和義

レンズ一体型設計というのは、ここまで精密に描写できるのか・・・

Profile

1958年生まれ。東海大学文学部広報学科卒業。同年、株式会社「楽園」設立。13歳の時に沖縄を訪ねて以来、タヒチ、モルディブ、サハラ、ヒマラヤ、南極など世界各地で「楽園」をテーマに撮影を続けている。27歳の時、写真集『RAKUEN』で木村伊兵衛賞を受賞。最近は故郷吉野川を始め、富士山、屋久島、伊勢神宮など国内での撮影にも力を入れている。作品はニューヨーク・ジョージ・イーストマンハウス国際写真博物館に永久保存されている。

RX1の描写力は、今までのカメラの常識を超えている。

確かにコンパクトカメラにしてはかなり大きなレンズだなと思ったけど、ここまで緻密に写っているとは…はじめてRX1のシャッターを切ったときは、信じられませんでした。高次元の性能を持つレンズを搭載し、イメージセンサーとレンズのマッチングを突き詰めると、これほどまでの描写力がでるなんて。今までのカメラの常識を超えているカメラ、それがRX1の第一印象でした。同時に、かつてない写りを目にして、撮りたいシーンがどんどん湧いてきました。そこで、RX1の撮影に選んだ地は、沖縄県・八重山諸島。亜熱帯の原色が織りなす大自然を前に、RX1ならどんな表現ができるのかじっくりと確かめてみたいと思ったのです。現地に到着し、海に向かう道すがら撮影した写真には、うっそうと繁り、折り重なる枝葉の造形、枝葉の間から降り注ぐ木漏れ日が、びっくりするほど繊細に描きだされていました(写真上)。このカメラを手にしたことで、僕の写真の世界が広がっていくのを感じました。

撮影協力 : 星のや 竹富島 (星野リゾート)

肉眼で見えないところまで写っている。

RX1の“今までのカメラの常識を超えた描写力”。それは、この夕景の写真を見れば一目瞭然でしょう。写真中央からやや左、遥か向こうにある岸辺を拡大してみると、そこにいる人物たちまではっきりと描写されているのがわかるはずです。肉眼では決して見られない、パソコンなどで拡大してはじめて確認できるという、今までのカメラではありえなかった世界です。さらに、階調も素晴らしい。大空に広がる淡いグラデーション、その夕空を写し鏡に、穏やかに揺れる海面も階調豊かに表現されています。このディテールのシャープな描写と、なめらかな階調表現を両立しているのも、RX1の大きな魅力だと思います。また、こういう風景撮影で、僕は、自分のイメージに合わせて、ちょっとアンバーにふってみようとか、作画しながら撮影するのですが、その際、RX1の高精細な液晶表示が非常に役立ちました。色の仕上がりが液晶表示に正確に反映されていて、想像であれこれ考えることなく、画づくりに集中できたのもありがたかったですね。

高品質なマクロレンズが入っているようだ。

RX1は、マクロ撮影も魅力的だと思う。まずレンズ鏡筒のマクロ切り替えリングを回すと、マクロモードになるという機構が面白い。そして、僕が惚れ込んだのは、ぼけ味の素直さというか、美しさ。もちろん二線ぼけみたいなものは全くなく、クセのないキレイなぼけ味で非常にいいと思います。たとえば、このカップの写真は、背景が丸くキレイにぼけながらも、ガラスの表面を細かく見ると水滴の質感まで写っているところがスゴい。下の料理の写真もキャビアにピントが合いながら、そのすぐ後ろからフワッとぼけて印象的に仕上がっている。フルーツの写真も拡大していくと、パッションフルーツのなかの実の質感や、添えられたミントの産毛まで描写しながらも、バックの自然なぼけ味が気持ちいい。一般的に単焦点レンズはぼけ味がキレイだけど、そのなかでもRX1は群を抜いている気がしました。RX1には、35mm単焦点レンズに加え、高品位なマクロレンズも入っているようでしたね。

撮影協力 : 星のや 竹富島 (星野リゾート)

撮影協力 : 星のや 竹富島 (星野リゾート)

イメージ通りの色彩を表現してくれる。

色彩へのこだわりにも、RX1は十分に応えてくれました。たとえば、左の写真にあるハイビスカスの花を見てみると、デジタルだとこういう赤色は飽和して、ベタっとした色味になってしまう場合が多いのですが、RX1は花びらの赤色のグラデーションが自然に再現できている。また、バナナの質感も非常に艶やかだし、フルーツの下に敷かれた葉の緑色もシャドウ部でありながら、つぶれることなく、きちんと描写されています。僕の経験上、一眼カメラでもここまで写ったことはないと思います。また、この写真はクリエイティブスタイルのビビッドで撮影していますが、RX1の色彩表現も僕の好み。ビビッドは決して派手にならずキレイに発色するし、スタンダードも地味すぎず自然な色彩を表現してくれます。もちろんシーンに応じて使い分けていますが、ビビッドは空のグラデーションなどもキレイにでるので多用していますね。RX1は、僕の色づくりにおいても、大きく貢献してくれました。

まるで4×5の大判カメラで撮ったかのように写っていた。

今回の撮影で、いちばん驚いたのがこの森の写真です。画面のすみずみまで、ありえないくらい解像していることがわかるでしょうか。たとえば、写真の右下を拡大してみると葉っぱの質感まで見てとれますし、左下を拡大してみると、茂みの暗がりにある小さな草までしっかりと写っています。画面周辺部のここまでの解像感は僕の経験上、一眼カメラでも見たことなく、4×5の大判カメラに匹敵するレベルだと思います。フォーカシングについて言えば、4×5の場合いくら絞っても、こんなに手前から奥までピントが合いませんから、RX1の描写性能はそれ以上と言えるかもしれません。この写真を大きく引き伸せば、この風景をそのまま切り取ったような迫力を再現できるでしょう。あと、35mmの画角についても、撮り方次第で広角にも見えるし、人間の視野に近い画角だから、画づくりもしやすかったですね。だから、はじめは28mmや24mmがあればいいなと思いましたが、実際、撮影してみると35mmがちょうど使いやすく、取り越し苦労に終わりました。

コンパクトならではの機動力が撮影フィールドを広げてくれた

このマングローブの撮影は、通常、重い機材を担ぎながらの撮影となって大変です。でも、RX1の場合はカメラを手に、身ひとつで移動できてしまう。実際の撮影は木につかまりながら、ブレないようにカメラをつかんで、薬指でシャッターを押しているんです(写真左下)が、そんな撮影方法もコンパクトならでは。この撮影で難しかったのはブレへの対応。それも手ブレではなく被写体ブレです。RX1は“写りすぎる”がゆえ、普通のカメラよりも被写体ブレが気になるのです。写真の枝や葉は動いていないように見えて、実はわずかな風などによって微かに揺れています。その微かに揺れた部分が、揺れていない部分に比べて甘い描写となり、ブレだとわかってしまうのです。この撮影では風が止む瞬間を待ち、画面全体に細心の注意を払い、シャッターを切りました。撮影前にはマングローブの木々に引っ掛かっている細かな人工物を取り除く等の気配りもしました。それも全てはRX1の描写力を考えたからで、そのかいあって水面のなめらかな質感や、マングローブの根や枝葉等隅々まで精緻に描き出すことができ、作品としての完成度をより高められたと思います。

今まで写らなかったものが写っている、新たな写真の世界を体験しよう。

RX1はシャッターを押すだけで、
画面すみずみまで写しだす唯一無二のカメラです。
コンパクトカメラとして手軽にスナップ撮影しても、
今までにない解像感によって、作品と呼べるレベルに仕上がるだろうし、
大判カメラのように、三脚に据えて
作画や色彩表現にこだわりながら撮影すれば、
35mm判を超える次元の表現を追求できるでしょう。
さまざまなシーンで、撮影者のイメージに応え、
今まで写らなかったものを、写しだしてくれる。
RX1でぜひ、新たな写真の世界を体験してほしい。

三好和義