RX1のことを知ったとき、35mmフルサイズのセンサーには驚いたが、レンズは35mm単焦点レンズで、手ブレ補正は搭載していないという…良いのか?悪いのか?一体どういうカメラなのかわからなかった。しかし、写真家は未知のものに人一倍興奮する人種だ。早速、テスト撮影をすると、フォーカスには手こずるし、ブレには泣かされるし、はじめは苦労したが、撮り続けているうちに印象がガラリと変わった。35mmの単焦点レンズなら、画づくりを工夫すればいい。ズームが無いなら、自分が動けばいい。手ブレ補正が無いなら、カメラをしっかり構えればいい。いつの間にか、カメラを使いこなして表現する、写真本来の喜びを感じ始めていた。今まで僕はデジタルカメラのオート機能に甘え、楽をしすぎていたのかも知れない。一方、このRX1は最高峰の画質を求め、余分な飾りを脱ぎ捨て、撮影する喜びを純化させている。なるほど、我々写真家や上級者を本気にさせる、ソニーらしい“とがっている”カメラじゃないか。このRX1の実力をもっと知りたい。僕は、人々の色々な表情を撮りたくて、人情あふれる下町へ向かった。