季節の移ろいを感じながら、
写真の秋を楽しむ
今回は、紅葉をより印象的に残すひとつ上のテクニックと
撮影で活躍する望遠レンズを
写真家 福田健太郎氏にお聞きしました。
あなたもαとともに写真の秋を楽しんでみませんか。
今回は、紅葉をより印象的に残すひとつ上のテクニックと
撮影で活躍する望遠レンズを
写真家 福田健太郎氏にお聞きしました。
あなたもαとともに写真の秋を楽しんでみませんか。
美しい紅葉風景に出会ったとき、ただ漠然と撮影してもその感動を伝えるのはなかなか難しいものです。
そこで写真家 福田健太郎氏に、より美しく印象的な紅葉写真を撮るためのアイデアやテクニックを
作品とともに解説していただきました。ぜひ参考にしてみてください。
水面の映り込みは、水辺であれば簡単にできる表現です。
公園の池でも再現でき、何気ない紅葉も華やかに残せます。
水辺は、生育環境が整っているため、状態のよい紅葉に出会えるチャンスが多くあります。そこで狙いたいのが水面に映り込む紅葉。鏡のようにクリアに映りこませるには、風が凪いでいる朝方や夕方がおすすめ。映り込む角度を見つけて、さざ波が静まったタイミングを逃さずシャッターを切ります。
実際の風景(実像)と映り込んだ風景(虚像)のどちらをメインにするかは自由です。この作品では、実像と虚像のどちらもメインにしたかったため、上下対称のシンメトリー構図にしました。シンメトリーにすると、安定感が生まれます。コツは、電子水準器やグリッド表示機能でしっかり水平を出すこと。できれば三脚を使い、画面の隅々まで確認しながら構図を決めましょう。
望遠レンズなどで映り込みだけを切り取れば、見る人の想像力を掻き立てる写真になります。シャッター速度は1/30秒や1/60秒くらいに設定し、あえて水面の揺らぎを生かすのがおすすめ。そうすると、波紋で映り込んだ像が抽象化され、まるで油絵のように表現できます。
光芒(光の筋)は、まばゆい光の存在感を高めてくれます。
燃えるような紅葉の華やかさを象徴するように捉えました。
光芒はF値(絞り値)を大きくすると出ます。目安はF11以上。太陽は丸々入れるのではなく、幹や枝葉の間から部分的に出すと光芒が出やすくなります。ファインダー越しでは光芒の出方は分かりづらいので、何度も撮影して確認しながら、太陽の位置を微調整しましょう。
こうした見上げのアングルでは、広角レンズで幹にぐっと迫ってみましょう。そうすると遠近感がより強調され、幹や枝に躍動感が生まれます。また、太陽を画面に取り込むとフレアやゴーストが出やすいので、T*コーティングやナノARコーティングが施された逆光に強いレンズを選ぶと、クリアに撮影できます。
スローシャッターは、静けさや穏やかさを表現できます。
ゆるやかな秋の移ろいを、水の流れとともに捉えてみました。
スローシャッターで撮ると、水の流れが少し穏やかな印象になります。シャッタースピードの目安は1/4秒よりも遅い設定。水面をなめらかに表現し、要素がシンプルになると、紅葉や苔むした岩の姿に目がいきやすくなります。逆にしぶきが舞うような激しさを表現するならシャッタースピードは1/60秒や1/125秒くらいでOK。
この写真は、川のほぼ真横から撮影しています。そうすることで、紅葉が右から左へ向かうようなリズムを生み出しています。川の流れと紅葉の配置、そのバランスを意識しながら撮影ポジションを調節してみましょう。
スローシャッターに三脚は必須。渓流は足場が不安定なので、脚をしっかり広げて一本一本長さを調整し、撮る前にぐらつきがないか確認しましょう。また、リモートコマンダーで静かにシャッターを切ると、紅葉や岩がしっかり解像します。コマンダーが無い場合は、セルフタイマーを活用してみましょう。
逆光撮影で輝度差を利用すると明暗のメリハリがつきます。
背景を落とすことで、カエデの色や形を際立たせました。
この作品のポイントは、引き算の美学。逆光のため、日の当たるカエデやススキ以外はすべて日陰。とはいえ、肉眼では背景の山林はしっかり見えています。そこで露出補正をマイナス1.7にすることで、不要な情報となる背景を暗く落とし、一番見せたいカエデの存在が際立つようにしています。
望遠レンズで写る範囲を狭めることで、要素を引き算。もし広角レンズなら周囲の余計なものが入り込み、標準レンズだと背景がもっと写り込んでしまいます。そこで、被写体からあえて離れ、中望遠の画角で限られた範囲のみを切り取るようにしています。
ライトアップされた紅葉は、妖艶な表情をみせてくれます。
空の青さが残る夕暮れ時に撮ると雰囲気を出せます。
ライトアップされた紅葉は、夜に撮るイメージがありますが、一番美しいのは空に青さが残る夕暮れ時。完全に暗くなってしまうと、奥行き感やスケール感が伝わりづらくなります。日が沈むまでの10分から15分くらいが勝負になるので、事前に撮影ポイントを見つけておき、素早く撮りましょう。
漠然とライトアップされた紅葉を撮るのではなく、しっかり光が当たりきれいに浮かび上がっている場所を見つけて撮りましょう。また、照明の種類によって照らされる紅葉の色味が変わります。赤みが足りなかったりイメージと違う場合は、ホワイトバランスを調節するのも手です。
作品を見ることは、写真上達の一歩です。紅葉の撮り方は他にもいろいろあるので、
αcafeなどで他のαユーザーの紅葉作品も参考にしながら紅葉の撮影を楽しみましょう。