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Hint1 私が写真を撮る理由

フォトグラファーwacamera

フォトグラファーwacamera

営業として広告業界で7年勤務後、脱サラをしフリーランス商業カメラマン11年目。ウェディング撮影から家族撮影を経て現在は、関西で外国人観光客の撮影を主に、国内外問わずあらゆるジャンルで撮影を行う。得意とするのは色鮮やかな人物と景色が融合したスナップ。

@wacamera

私にとって「写真」とは、“人生の付箋”です。幼少の頃の私にとって「写真」は、いつも生活の中にあるものでした。とにかくイベントがあれば写真を撮るのが当たり前。父と母が、私の成長を産まれてからずっと写真で残してくれていたんです。当然、幼すぎて覚えていない出来事もあるわけなんですが、ふとアルバムを開いたその瞬間。そんな忘れていたものや人、出来事に、写真を通して再びめぐり会えることがとても素敵で特別なことだと気が付いたんです。
やがて、写真は、私にとって欠かすことのできないものになっていきますが、本格的にカメラを始めたのは娘の妊娠がきっかけです。単なる子どもの成長記録というよりも、父や母が私にそうしてくれたように。やはり私がかつて経験したことを彼女にも与えてあげたいな、と。そうして早いもので14年が経ちました。彼女が大人になってアルバムを見返したとき、たくさんの思い出と再会できればいいなと思っています。

α7R III,  Distagon T* FE 35mm F1.4 ZA,  35mm,  F1.4,  1/100秒,  ISO100

α7R III,  Distagon T* FE 35mm F1.4 ZA,  35mm,  F1.4,  1/100秒,  ISO100

ドイツのミュンヘンにある宮殿で、娘をモデルに撮影した一枚。子ども心にも思い出深かったようで、また行きたいと言っています。

私の人生、私の軌跡をカメラで捉え、それを色褪せることなく残したい。それが、私が写真を撮り続ける理由です。私の場合、創作活動ではまったく知らない人と撮影に行くことは滅多にありません。モデルも含め、みな家族や友人にサポートしてもらっています。ですから、私がインスタグラムにアップしている写真は、フォトグラファーwacameraの作品でありつつ、個人としての私にとっては思い出の記録なんです。それは、私が行った場所、出会った人、色、光、もう全てです。その瞬間瞬間の記憶を補ってくれる大事なものとして、その全ての物語を綴っていきたい。だから私がずっと写真を撮り続けている理由になっていると思います。

インスタグラムにアップされている作品には、1点1点すべてに思い出が詰まっています。

Hint2 撮影のヒント

映えるヒント 構図

私は構図取りを大切にしています。特に、人物を入れて撮影するときは、モデルさんと事前にしっかりとコミュニケーションをとることを意識しています。この作品では、V字型の空が水面に映り込んでいる部分に人物がおさまるように、立ち位置やどんなふうにポージングしてほしいのかを、理由も交えて伝えています。また、シャッター切る直前にほんの少しだけ右足を上げ下げしてもらい波紋を作ってもらっています。撮影中も常にカメラマン側が指示出しをしてあげられるといいですね。
また、せっかくのチャンスですので1枚で終わらせずに、可能な限り、もっと寄ってみたり引いてみたりして、何枚か撮影しておきましょう。あとで見返した時に「やっぱりもうちょっとこういう表情も欲しかったな」などの後悔が減ることになります。私は縦構図が好きなので、ついつい縦ばかり撮ってしまうんですが、縦横両方撮ることも重要です。最近はSNSもさまざまな画角に対応していますし、プリントするときも縦横のバリエーションがあれば、いろいろな用途に対応できると思います。

α7C,  FE 20mm F1.8 G,  20mm,  F2.8,  1/500秒,  ISO100

α7C,  FE 20mm F1.8 G,  20mm,  F2.8,  1/500秒,  ISO100

撮影裏話

撮影の進め方は人によってさまざまですが、私の場合、事前にある程度構図を決めてから撮り始めるので、1シーンの撮影枚数はそんなに多くありません。それでもこのときは、7枚くらいは撮りましたね。最初は自分の目の高さで撮影したのですが、モデルさんの頭が背景の陸と水面の境目に重なってしまい、イメージ通りになりませんでした。次にしゃがんで撮ってみましたが、今度はモデルさんの頭は空のほうに抜けるのですが、それも私のイメージとは違っていました。最後に、手を上に目一杯伸ばして、高い位置から下に振って撮影したのが、この作品です。α7Cは縦位置でもバリアングル液晶モニターが使えるので、縦構図での撮影の可能性をさらに広げてくれると思います。


映えるヒント ISO100

ISO AUTOに設定すると、ISO感度をそんなに上げなくてもいいシーンなのにISO2500やISO3200になっていることがあります。 αはISO感度を上げてもきれいに撮影できますが、たとえばISO100とISO4000で撮り比べてみると、ISO4000ではほんの少々ですが、ざらつきを感じるんです。
この作品を撮影したときは、夕暮れで日が落ちかけている状態だったのですが、ISO100で、これだけ美しく撮影できます。しかもシャッタースピードも1/250秒まで稼げていて。確かにもっと暗いところでは高感度を使う場合もありますが、それでもISO800までにしています。やはり表現していきたいのはこの美しさなので、ISO100にはこだわりたいなと思っております。みなさんも、ぜひ、カメラとレンズの性能を信じて、ISO100で限界まで挑戦してみてください。

α7C,  FE 20mm F1.8 G,  20mm,  F3.2,  1/250秒,  ISO100

α7C,  FE 20mm F1.8 G,  20mm,  F3.2,  1/250秒,  ISO100

撮影裏話

イメージしたのは、ブランコに乗っている少女が宙に浮いているような写真です。しかし、ブランコが思いのほか低いためモデルと背景の島が被ってしまったり、ブランコを漕ぐ際に地面と足が重なってしまったりして、どうしても思い通りに撮れませんでした。そこで、モデルさんには常に足を伸ばしたままにしてもらい、私がモデルさんの背中を押しながら、こちらに戻ってくるのを避けつつ、ブランコが向こう側の一番高いところで滞空している瞬間を狙いました。地面すれすれの位置から撮影していますが、α7Cのバリアングル液晶モニターも役立ちました。かなり過酷な撮影でしたが、イメージ通りの写真が撮れたと思います。


映えるヒント 撮影計画

私はいつも、先に行きたい場所をピックアップして、その場所の情報を収集してから、撮影に出かけています。行き当たりばったりで撮ることもゼロではありませんが、私はイメージを作り込んでから撮るほうが楽しいんですよね。近場だったら下見に行くこともありますが、遠くてなかなか行けない場合でも、地図アプリで使って調べます。たとえば、太陽がどこから昇ってどこに沈むのか、ランドマークはどちら側に見えるのか、海だったら満潮干潮の時間も調べますし、天気予報も3日前ぐらいから毎日チェックします。それらを踏まえて、「だったらこういう撮影ができそうだな」「こういう衣装を着たモデルさんを連れて行ってこんな風に撮りたいな」と、頭の中で絵を描いていきます。そうすると、たぶん自分の思い通りの表現に近づいていくと思います。
撮りたいイメージが明確にあれば、たとえば予想に反して曇ったり雨が降ったりしたときも、自分のイメージに近づけるためのプランがたくさん生まれると思います。

α7C,  FE 20mm F1.8 G,  20mm,  F2.2,  1/800秒,  ISO100

α7C,  FE 20mm F1.8 G,  20mm,  F2.2,  1/800秒,  ISO100

撮影裏話

こういった過酷な場所での撮影では、機材が軽いことも重要になります。α7CとFE 20mm F1.8 Gの組み合わせは、私のフットワークを軽くしてくれる、いいコンビだったなと思います。FE 20mm F1.8 Gは、写りも秀逸なレンズです。F2.2ぐらいまで絞ると、画面全体をくっきり写してくれます。手前の岩場の質感や、荒れている海の感じも非常によく出ていると思います。夕日の色も、光の道筋も、ここで私が見ていたすべてが、そのまま表現できたのではないでしょうか。

Hint3 作品解説と
おすすめのレンズ

夏の元気に会いにきた

α7C,  FE 20mm F1.8 G,  20mm,  F4,  1/800秒,  ISO100

α7C,  FE 20mm F1.8 G,  20mm,  F4,  1/800秒,  ISO100

富士山を背にヒマワリ畑を撮影。この日は雲一つない快晴で、空に表情がほしかったので、持っていた麦わら帽子を飛ばして、夏らしさを演出しました。同行していたアシスタントに帽子を投げてもらい、帽子の形がイメージ通りになるまで、8回ぐらい撮り直しています。帽子はかなり速いスピードで飛んでいますが、αの4Dフォーカスでピントがびしっと合いました。私は本来、開放絞りが好きなのですが、このときは帽子からピントが外れないようにするためと、奥の小さなヒマワリもある程度くっきりと見せたかったので、絞りはF4まで絞っています。FE 20mm F1.8 Gは広角レンズで目立ちやすい周辺部でのぼけがなく、全体をシャープに写してくれます。
ここは、富士山とヒマワリをコラボレーションさせて撮影できる数少ないスポットの一つですが、立ち入れる場所が決まっていて、これ以上ヒマワリに近づけない状態でした。ヒマワリといえば元気に咲くイメージですが、小さくしか写せず寂しいなと思ったので、右下にあえて大きな花を入れています。

使用レンズはこちら

開放F値1.8の明るさと高い解像力の
大口径超広角単焦点レンズ

FE 20mm
F1.8 G

SEL20F18G

FE 20mm F1.8 G SEL20F18G

天まで届くブーゲンビリア

α7 III,  FE 24-70mm F2.8 GM,  31mm,  F2.8,  1/640秒,  ISO100

α7 III,  FE 24-70mm F2.8 GM,  31mm,  F2.8,  1/640秒,  ISO100

この作品は、家族旅行で行った沖縄の竹富島での一枚で、印象的だったブーゲンビリアの前で撮影したものです。私はぱっと見のインパクトを大切にしています。ブーゲンビリアは他にもたくさんありましたが、できるだけこんもりと咲いている場所を選んで撮影しています。写っているのは、実は私です。同行していた娘に「ここでこの角度で構えて」「この花がちゃんと見えるように」「地面はここまで入るように」と細かく指示を出して撮ってもらいました。カメラをお持ちの方の中には、自分が写っている写真がないという方も多いのではないでしょうか。同行者にきちんと撮影意図を伝えて、自分を撮ってもらうのも楽しいと思います。
このレンズは、ウェディングなどの仕事で使うために購入したものですが、同じ場所から画角を変えていろいろ撮れるので、旅行にも便利な一本です。特に家族旅行では、私がみんなの面倒をみなければならないため、レンズ交換をしている余裕がありませんので、これ一本でいろいろ撮れて便利でした。またこのレンズは、明るいのも魅力です。特に旅行では、ホテルの館内やレストランなど、屋外だけとは限りません。そういった状況で、ズーム全域で開放F値2.8の明るさに勝るものはないと思っています。

使用レンズはこちら

描写性能を追求したズーム
全域F2.8の大口径標準ズームレンズ

FE 24-70mm
F2.8 GM

SEL2470GM

FE 24-70mm F2.8 GM SEL2470GM

いにしえに思いを馳せる

α7 III,  FE 50mm F1.2 GM,  50mm,  F1.2,  1/1250秒,  ISO100

α7 III,  FE 50mm F1.2 GM,  50mm,  F1.2,  1/1250秒,  ISO100

ここは和歌山県の友ヶ島にある砲台跡。鬱蒼と茂る野生の藤の下で撮影しました。開放F1.2で撮影していますが、遠景なので全体にピントが合っているように見えます。

驚いたのは、その解像性能。小さく写っているモデルさんを拡大しても、表情までしっかりと写っているのが素晴らしいと思います。作品づくりはもちろん、仕事として写真を撮るときも、私の強い味方になっている1本です。このレンズは、店頭で手に取った瞬間、ぜひ私の作品に使いたいと思って購入を即決しました。一番の魅力は、F1.2の開放F値。その明るさとぼけ感は、私の予想をはるかに越えてきました。そして、コンパクトさ。フットワークよく撮影するために、レンズの大きさや重さは重要な要素ですが、鏡胴の長さが意外と短いなと感じましたし、重さも許容範囲でした。焦点距離50mmのレンズは、近くも遠くも撮れるところが、とても気に入っています。後ろに下がれる状況があれば、自然風景の撮影にも十分使えます。

使用レンズはこちら

開放F値1.2の明るさと小型・軽量設計
の大口径標準単焦点レンズ

FE 50mm
F1.2 GM

SEL50F12GM

FE 50mm F1.2 GM SEL50F12GM

心がはずむ季節の到来

α7C,  FE 135mm F1.8 GM,  135mm,  F5.6,  1/2500秒,  ISO100

α7C,  FE 135mm F1.8 GM,  135mm,  F5.6,  1/2500秒,  ISO100

ここは有名な富士山の撮影スポットで、国内外のフォトグラファーが訪れる場所。雪のない夏の富士山を、肉眼で見るよりも大きく迫っているような構図にしたくて、望遠レンズの圧縮効果を生かして撮影しています。このシーンを撮るには、レンズには100mm以上の焦点距離が必要だと思っていました。しかし、150mmや200mmになると背景が迫りすぎて、富士山の稜線が見えなくなる可能性がありました。それで撮影計画の段階で135mmで撮ろうと決めました。
モデルさんには、横断歩道の上を楽しそうに渡っているように見えるように、スカートと赤い布に風をはらませながら、勢いよく歩くようにお願いしています。このレンズはAF性能が秀逸で、動いている被写体にも瞬時にフォーカシングしてくれます。また、この作品では絞りを絞っていますが、開放でのとろけるようなぼけ感や、ピントが合っている部分の解像感は、さすがはG Masterだなあといつも感心してしまいます。

使用レンズはこちら

高解像とぼけ描写、AF性能に
こだわった大口径望遠単焦点レンズ

FE 135mm
F1.8 GM

SEL135F18GM

FE 135mm F1.8 GM SEL135F18GM

ウルトラマリンの幻想

α7 III,  Distagon T* FE 35mm F1.4 ZA,  35mm,  F1.4,  1/40秒,  ISO1250

α7 III,  Distagon T* FE 35mm F1.4 ZA,  35mm,  F1.4,  1/40秒,  ISO1250

ここは、山形の加茂水族館。円形のクラゲの水槽の前で撮影した、幻想的な一枚です。環境的に明るく撮影することは不可能ですが、こういった大きな水槽の前では、人物をシルエットとして入れてあげると効果的です。その際、鼻筋などで人物だということがわかるように、横顔を捉えるようにすると美しく表現できると思います。
水族館には他の入館者の方もいらっしゃるので、撮影のために広いスペースを確保するのは難しいことが多いです。そういった状況でも、焦点距離35mmの画角なら適度な距離で撮影できるので、他の入館者の方がいても撮影しやすいと思います。
私はISO100が好きですが、水族館のように暗いシーンでは感度を上げて撮影することもあります。この作品ではISO1250まで上げていますが、たとえば開放F値4のレンズだったら、ISO2000やISO2500まで上げないと撮影できなかったかもしれません。そういった意味でも、開放F値1.4の威力は魅力的だと思っています。

使用レンズはこちら

開放F値1.4、35mmフルサイズ対応の
大口径広角単焦点レンズ

Distagon T* FE
35mm F1.4 ZA

SEL35F14Z

Distagon T* FE 35mmF1.4 ZA SEL35F14Z

このレンズもおすすめです

高解像性能と美しいぼけ描写を
実現した大口径広角単焦点レンズ

FE 35mm
F1.4 GM

SEL35F14GM

FE 35mm F1.4 GM SEL35F14GM
α7 III,  Distagon T* FE 35mm F1.4 ZA,  35mm,  F1.6,  1/100秒,  ISO100

α7 III,  Distagon T* FE 35mm F1.4 ZA,  35mm,  F1.6,  1/100秒,  ISO100

αオーナーのみなさんへ

写真を始めたばかりで、どうすれば写真がうまくなるのか、わからないという方がいらっしゃると思います。これは、写真に限らずかもしれませんが、まずは、自分の「好き」を追求することが、夢中になれる秘訣だと私は思っています。写真には風景や花、人物、ペットなどさまざまなジャンルがありますが、好きなジャンルが見つかれば、もっと上手に撮りたいと思うようになりますし、カメラやレンズとも、もっと仲良くなれると思います。あせらず、ご自身が本当に「好き」と思えるものをじっくりと見つけていただけたらいいなと思います。