人気インスタグラマーのwacameraさんに新しいVlog作品を撮影していただきました。
今回チャレンジしてみた感想や、作品解説と撮影テクニック、動画で表現するおもしろさについて
お聞きしました。
頭の中の絵コンテで
撮影がスムーズに
フォトグラファー
wacamera
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作品として動画を撮ろうと思ったのは、CP+2021 ONLINEの企画で、AUXOUTさんにレクチャーを受けながらVlogを撮影したことがきっかけです。本格的な動画制作は初めてで、がむしゃらに撮影していたので、とにかく大変でした。
CP+2021での作品はこちら >
今回は絵コンテを頭の中に描いてから挑んだので、スムーズに撮影できました。 私は今まで「動画はカッコよくしなきゃいけない」と、心のどこかで思っていました。しかし先日、ある方のVlogを見たとき、ゆるい雰囲気も全然ありなんだということに気付かされました。今回はそういった思いから解放されたことで、前回とはまったく違った作品が作れたのではないかと思います。
作品解説と
撮影テクニック
ある夏の一日をエモーショナルに
今回の作品は、友だちとお出かけした一日をVlogにまとめたものです。作品の中のいたるところに、楽しかった思い出を散りばめました。ある夏の一日を動画で綴ったことを伝えたくて、「One day in Summer」というタイトルを付けました。
00:00〜00:05
作品のテーマが「お出かけ」なので、電車に乗って行くところから撮影しています。電車のシーンが終わったあとに、無音のブラックアウトを入れて音を切ったのは、情熱的な夏が終わり、秋に向かっていく寂しさや切なさを表現したかったからです。日常から非日常へと切り換わるという意図も込めています。
この作品では、Distagon T* FE 35mm F1.4 ZAをメインに使用しています。写真でも好んで使っているレンズなので、写真と同じ感覚で撮影できました。35mmの距離感は近すぎず遠すぎずといった感じで、友だちや家族と自分との距離感もちょうどいいし、映像にしたときの距離感もすごく気に入っています。
00:28〜00:46
最初に訪れた「びわこ箱館山」は、夏場に「虹のカーテン」というイベントが開催されています。カラフルな世界がとても好きだということもあって、ここを撮影場所として選びました。私は動画でも、ほとんどのシーンをISO100で撮影します。NDフィルターを使用しているので、AUTOではなく手動で設定しています。
00:21〜00:27
風鈴のシーンで意識したのは、カラカラという涼しげな音色です。風が吹いて風鈴が一斉に鳴り始めたとき、「これは音も残したい」と思いました。手を伸ばせば届きそうな低い位置に風鈴があったので、カメラを腰ぐらいの高さに構え、バリアングル液晶モニターを使って下から煽るようにして撮影しました。
00:52〜00:54
一日の思い出をまとめたVlogでは「自分が撮っている」ことを表現するといい、とAUXOUTさんから教わりました。液晶モニターを180度回転させて自撮りもしましたが、レンズが35mmだったこともありアップになりすぎたので、ガラスに映る自分のカットを採用しました。
01:15〜01:20
いつもなら音声は入れないでBGMだけでまとめることもあるのですが、今回は友だちとのお出かけの楽しさを表現したかったので、彼女と私の会話をあえて残しました。音声は編集時に抽出し、調整してから映像と重ねています。
01:21〜01:24
モデルさんの服の色にこだわるのも、写真と同じ。今回は、びわこ箱館山のカラフルさを引き立てたかったのと、落ち着いた色合いの長浜大手門通り商店街で人物を立体的に表現するため、明るめの服装をオーダーしました。
01:31〜01:32
琵琶湖畔のシーンでは、AUXOUTさんに教わった「モデルさんに動いてもらって撮る」というテクニックを実践しました。ロングシャツをひらりとなびかせるあたりは、実はかなり長く撮っていて、良い部分だけを切り取ってつないでいます。撮影者が動いて撮るのとはまた一味違った、エモーショナルな表現ができました。
シューティンググリップは、状況に合わせて付けたり外したりしています。このシーンでは使用していますが、ほとんどのシーンが手持ち撮影です。あえて手持ちにすることで、歩いている感じがリアルに表現でき、友だちとの楽しい時間が感じられる映像になったと思います。
01:39〜01:40
このシーンでは、私自身が片手で動画を撮りながら、もう片方の手で花束を持って前ぼけを作っています。このテクニックは写真でもよく使うのですが、動画でも応用できるのではと思い、取り入れてみました。
01:55〜01:57
今回の撮影では、タッチトラッキングが重宝しました。モデルさんが動いていても、モニター上でタッチするだけで、ピントを合わせたまま追いかけてくれます。私は絞りを開放にして撮ることが多く、ピントがシビアになりがちなので、風に揺れる小さな花などにピントを合わせたいときも、とても便利です。
動画で表現する
おもしろさ
動画ならより多くの情報が伝わる
00:25〜00:27
動画は「組み写真」のようだと思っています。複数の写真を組み合わせて表現する「組み写真」と同じだと考えると、気軽に作品作りが楽しめると思います。しかも、写真はその瞬間しか表現できませんが、動画は動きや音まで表現できます。
風鈴が連なる通路のシーンは、写真では風鈴がたくさんあることがわかるように通路の奥行きを意識して撮影しますが、風鈴の色が何通りあるのかまでは伝わりません。動画なら自分が動くことで個々の風鈴をしっかり見せることができ、色の違いまではっきりと伝えられます。
情緒的なカットで表現をさらに豊かに
01:45〜01:46
打ち寄せる水面のゆらぎや、風に揺れる草花なども、動画ならではの表現です。メインの被写体にはならないけど、そのシーンを情緒的に表現するようなカットを取り入れると、表現の幅がぐっと広がると思います。これからも率先して撮っていきたいモチーフです。
動画と写真を組み合わせるおもしろさ
こちらは、Instagramのリールにアップした動画です。私は写真の世界で活動してきましたが、動画を始めたことで、自分の可能性が広がるのを感じています。一番よかったと思うのは、動画と写真を組み合わせるという手法に気付けたことです。いずれはこの動画のように、写真のメイキングシーンを入れ込んだ作品を作っていきたいですね。
αオーナーの
みなさまへ
αならエモーショナルな作品に
私が初心者の頃に撮っていた動画は、20分を超える長いもので、編集するのが大変でした。その経験から、1分以内の動画をまとめて撮り、欲しいシーンを切り取ってつなげるというスタイルになりました。長い動画は見るのも大変。短い動画ならSNSでも目に止まりやすいので、どんどんアップして楽しんでほしいです。
動画の知識や撮影テクニックがなくても、αを使えば、ただ撮ってつなげるだけで素敵な作品になります。αで撮った動画には、1コマ1コマに写真のような画力があるからです。お持ちのαやレンズの力を信じて、動画撮影にぜひトライしてみてください。