夏を感じながら、
山の撮影を楽しむ
緑の山々と雪渓、涼やかな風、植物の息吹、渓流のせせらぎ。
夏山には、この季節にしか出会えない情景にあふれています。
今回は、夏山をより印象的に残すための撮影テクニックと
山撮りに活躍するレンズを、写真家 福田健太郎氏にお聞きしました。
あなたもαとともに夏山撮影を楽しんでみませんか。

緑の山々と雪渓、涼やかな風、植物の息吹、渓流のせせらぎ。
夏山には、この季節にしか出会えない情景にあふれています。
今回は、夏山をより印象的に残すための撮影テクニックと
山撮りに活躍するレンズを、写真家 福田健太郎氏にお聞きしました。
あなたもαとともに夏山撮影を楽しんでみませんか。
夏に花咲く高山植物のハクサンイチゲを主役に、
折り重なる雄大な山並みの稜線を生かし、ダイナミックな構図で切り取りました。
わずかな夏を謳歌する高山植物のハクサンイチゲが広がっていたので、標準ズームレンズVario-Tessar T* FE 24-70mm F4 ZA OSSの広角側で小さな花に近づき、夏を象徴する要素として大きく写しました。また、背景に広がる山脈まで一枚に収めることで、小さな花と雄大な景色と対比させました。風景の広がりや奥行きを出したい場合には、広角側で撮影することがおすすめです。
手前の高山植物をメインに捉えながら、山の間を通り抜ける冷涼な空気も感じさせたかったので、手前の小さな花から奥にある山の残雪まで、ピントの合った写真が撮れるよう、絞りをF11まで絞り込んで被写界深度を深くしています。
左下がりの傾斜を生かしてフレーミングした対角線構図で、画面に動きを出しました。画面の下の方には花畑を入れながら、反対側には雪渓と雄大な山の風景を、画面を分割するように配置。重なる山並みを入れ込むことで、さらに奥行き感が生まれます。
APS-Cモデルは、35mmフルサイズモデルに比べて、写せる範囲が狭いのが特徴。35mm判換算の焦点距離イメージは1.5倍相当になります。 APS-Cモデルで風景をダイナミックに撮りたい場合は、よりワイドに写せる画角の広い広角レンズを選ぶのがポイント。お持ちのAPS-Cモデルで風景を撮影するときの参考にしてみてください。
24mm
α7 II, Vario-Tessar T* FE 24-70mm F4 ZA OSS
12mm(35mm換算 18mm相当)
α6500, E 10-18mm F4 OSS
24mm
α7 II, Vario-Tessar T* FE 24-70mm F4 ZA OSS
10mm(35mm換算 15mm相当)
α6500, E 10-18mm F4 OSS
森の中でひっそりと佇んでいた、ユリの花を撮影。
背景に木立のシルエットや色鮮やかな花を取り込むことで、画面にリズムが生まれます。
ユリの花が持つ気品を感じさせられるように、画面中央に主張させるのではなく、あえて右側1/3の位置に配置。森の中でひそやかに佇む、気高い姿を表現しました。
背景に明るい日差しと林立する樹木のシルエットを配置。直線的な縦のラインや、明暗の並びの面白さが際立つアングルを望遠レンズで探りながら撮影しました。また、アクセントにオレンジやピンクの花の彩りやぼけの濃淡を入れることで、画面にリズムをつくっています。
日陰のフラットな光の中で撮影することで、花びらの質感まで繊細に描写し、ユリの花の柔らかさを際立たせました。
夏の早朝、山並みから滝のように流れ落ちる雲海を、躍動感たっぷりに表現。
スローシャッターを使うと、より幻想的に撮影できます。
ゆっくりと流れる雲海をやわらかに表現するため、ISO感度を低めに設定し、20秒の露光時間をかけることで、水の流れのようにブレ描写による流動感をつくりだしました。スローシャッターでの撮影時は、三脚が必須。さらにリモートコマンダーを使用すれば、シャッターブレも抑えて、美しく描写できます。
雲の姿を一段と強調するため、露出をアンダーに設定することで、山の稜線をシルエットにし、白い雲海とのコントラストを意識して撮影。また、明け方は色温度が高いので、ホワイトバランスを「太陽光」にすることで、朝の青さを際立たせ、静寂も感じられるように表現しました。
望遠レンズで主役となる雲海を引き寄せ、画面の7割ほどを斜めのラインで構成することで、よりいっそう雲の動きを強調し、流動感が出せる構図にしています。主役の雲海が際立つように、空はほとんど入れずに画面を構成しました。
[ 標準ズームレンズ ]
長い年月をかけて生み出された自然の峡谷。標準ズームのVario-Tessar T* FE 24-70mm F4 ZA OSSで、岩肌を滑り落ちるように流れる滝の姿を、スローシャッターで撮影しました。濡れた岩を画面の両サイドに配置することで、渓谷の明暗差を生かして、流れ落ちる滝の白さと、奥に見える鮮やかな緑を際立たせました。
さらに、峡谷をうるおす湿った冷やかな空気も写真に取り込むため、暗い部分を大胆に盛り込みつつ、濡れた岩肌のごつごつした手触りまで感じられるように、F11まで絞り込み、パンフォーカスで手前から峡谷の奥までシャープに再現しました。
少しでも荷物を軽くしたい山登りには、
広角から中望遠まで1本でカバーできる標準ズームレンズが重宝します。
[ 広角ズームレンズ ]
夏の渓流のそばに生えていた生命感あふれるシダ植物を、広角ズームレンズFE 12-24mm F4 Gで撮影。主題に思い切り近づいて、シダ植物の扇形に広がるフォルムの面白さや美しさにフォーカスしました。また、シダの細密な質感を克明に描写するために、F16まで絞り込んで深い被写界深度で撮影しています。
焦点距離は広角側13mmにすることで、手前を大きく写してシダの存在感を高めながらも、森の奥から流れ込んでくる渓流など、深緑に包まれた風景を広範囲に取り込みました。また、清涼感のある水の流れを際立たせるために、三脚を使ってスローシャッターで撮影しています。
雄大な自然に出会える山登りに持って行くなら、やっぱり広角ズームレンズ。
目の前に広がる山々の姿をダイナミックに切り取れます。
晩夏を迎え、低木のチングルマという花が綿毛へと変わり、次の命を送りだそうとしていました。チングルマは綿毛に変化すると、より遠くへ種を運ぶため、空に向かって勢いよく茎を伸ばします。その姿を逆光に輝く綿毛とともに、地面すれすれのローポジションから撮影。 群生している花々の中から、一輪、二輪だけにフォーカスし、その存在感を際立たせるように開放F2.8でとらえました。
G Masterは、開放でも綿毛を細密に描写し、それ以外を柔らかくぼかしてくれます。 特にFE 16-35mm F2.8 GMは広角レンズでありながらも、前後の被写体も自然で柔らかくぼけ、これによって細やかな綿毛が際立ち、肉眼では見えないような小さな自然の様子を克明にとらえることができました。また、画面の中に夏のギラギラした太陽の日差しを入れても、フレアやゴーストがわからないほど極限まで抑えられて、光と影のコントラストをくっきりと再現してくれました。G Masterの描写力があったからこそ撮れた一枚だと思います。
写真家 福田健太郎氏がFE 16-35mm F2.8 GMで撮られた他の作品を αUniverse でご覧いただけます