私の撮影スタイル
自分の心が動いた瞬間にだけ、
シャッターを切る
花の写真を撮る上でまず大切にしているのは、本当に自分が「美しい」と心が動かない限り、シャッターボタンを押さないことです。僕が表現したいのは、誰も撮っていない、その花の美しさ。だからこそ、現場で妥協は絶対にしません。僕の場合、あらかじめ撮りたい花のイメージというのがあるんです。撮影現場では、その自分のイメージを具現化できる最高のロケーションをひたすら探し出すことから始めます。もしイメージにあった場所がなければ、撮影をあきらめることもあります。また、このとき、カメラは置いていきます。ファインダーをのぞいてしまうとつい構図などが気になり、ひとつの場所に時間がかかりすぎて、現場全体が回れなくなってしまいます。そして、もうひとつ。日頃からさまざまな写真や芸術作品に触れ、それらから得たインスピレーションをもとに、作品のイメージを高めることを大切にしています。
実際の撮影でこだわっているのは、ぼけ描写です。撮影モードは「絞り優先」で、被写体となる花の前ぼけ・後ぼけの度合いを確認しながら、絞りや被写体との距離を細かく調整し、自分のイメージと重なるぼけ描写を追求しています。特にマクロの場合、開放で撮ると前ぼけが薄くなりすぎたり、前ぼけにしたい被写体に近づきすぎると向こう側が透けて見えたりするので細心の注意を払いながら撮影します。前ぼけが薄い場合は後ろに下がり、フレーミングを変えたくない場合は絞り込んでぼけ味を調整します。ただ被写体ブレの心配があるときは、マニュアルに切り替えて、シャッタースピードやISO感度を変えながら対応しています。
実際の撮影でこだわっているのは、ぼけ描写です。撮影モードは「絞り優先」で、被写体となる花の前ぼけ・後ぼけの度合いを確認しながら、絞りや被写体との距離を細かく調整し、自分のイメージと重なるぼけ描写を追求しています。特にマクロの場合、開放で撮ると前ぼけが薄くなりすぎたり、前ぼけにしたい被写体に近づきすぎると向こう側が透けて見えたりするので細心の注意を払いながら撮影します。前ぼけが薄い場合は後ろに下がり、フレーミングを変えたくない場合は絞り込んでぼけ味を調整します。ただ被写体ブレの心配があるときは、マニュアルに切り替えて、シャッタースピードやISO感度を変えながら対応しています。
理想のピント位置に合うまで、
何度でも撮り直す
身体を前後にゆっくりと移動しながら、ピントを合わせる
マクロ撮影では、ピントが合わないのが当たり前です。何しろマクロ等倍の絞り開放では被写界深度が1mmほどなので、カメラが0.5mmでも手前に来たら、すぐにピントがズレてしまいます。僕はMFに切り替え、ピントリングでレンズの最短まで回し、その状態で被写体に近づきながら、ピントが合ったところでシャッターを切っています。アマチュアの方がよく「ピントが合わない」と言うのですが、それは動きが早いんです。ポイントは、体感として0.1mmずつ、本当にゆっくりと前後に移動しながら、理想のピントの位置を探ること。しかし、それでも一回でピントが合うことはありません。何十回とシャッターを押すなかで、これだという会心の作品が生まれるのです。
ピーキングで、画づくりに集中する
一般的にマクロ撮影では、ピント合わせが難しいため、被写体をどんどん見やすい画面の中心に置いてしまうことが多くあります。そんな中、フレーミングに集中するために重宝しているのが、ピーキング機能です。この機能によって、ピント位置を色でしっかりと確認しながら、被写体の周りに余計なものが入っていないかなど、フレーミングに一段とこだわれるため、作品の完成度が上がったと感じています。また晴天時に、ローポジションやハイポジションで撮影するときによく使うのが、ヒストグラムです。例えば、太陽光の下で水面に咲く花を狙うときなどは、液晶画面がほとんど見えませんから、ヒストグラムで露出を確認しながら撮影しています。
つねに安定して撮るために、
ホールド感が重要
ベースプレートが装着されている並木氏のα7R III
撮影現場では、自分のイメージに沿う花々が頭上に咲いていたり、地面すれすれにあったりする場合も多くあります。その場合はファインダーをのぞかず、液晶を自分の方に向け、カメラ本体をしっかりとホールドしながら、マルチセレクターでフォーカスエリアを動かしながら撮影しています。花の撮影では、このように被写体の位置によって無理な姿勢になることも多く、また長時間にわたって撮影することもあるため、カメラのホールド感が重要になってきます。そこで、カメラをしっかりと握れるように、ベースプレート(他社製)を装着しています。マクロ写真の成否は、粘って撮影することも大切ですので、ぜひ皆さんも快適に撮影できるよう工夫してみてください。