さまざまなレンズの性能を引き出す、大判のCMOSイメージセンサーを搭載したレンズ交換式デジタルHDビデオカメラレコーダーVGシリーズ。Eマウントレンズはもちろんのこと、アダプターの使用によりAマウントレンズもシーンや狙いに合わせて使用可能。クリエイティブワークに応える多彩な高性能レンズを組み合わせることで、圧倒的な高解像度と美しいボケ味のある表現力豊かな映像が撮影できます。さらに、プログレッシブ記録、優れた音質、正確なマニュアル露出調整などにより、プロに迫る映像表現力を獲得。独創的な作品作りを可能にします。
1935年東京生まれ。1960年よりフリーランスの写真家として活動。
1968年の初個展「蒸気機関車たち」で独自の表現世界を展開して評判となる。1988年に設立された日本鉄道写真作家協会の初代会長をつとめるなど
「鉄道写真の神様」として日本の鉄道写真界を牽引してきた。
2012年『私鉄特急』60分DVD付を上梓(講談社)、ナレーションも広田氏本人が行っている。
著書に『永遠の蒸気機関車』(JTBパブリッシング)、
『電車大集合1616』(講談社)、『Fの時代』(小学館)など多数。
私のムービー撮影は常に単独行動だ。企画、撮影、音声収録から機材の運搬まで、助手も使わず一人でこなしてきた。線路脇で4Kを撮るときも変わりない。こうしたことは、スチール写真家として60年以上単独での撮影に集中してきたことに加え、ハンディ軽量、高性能なフルサイズ機、VG900を手にすることができたからだ。操作が簡単なのも味方になっている。
富士山と鉄道を撮影したいと御殿場を訪れた。早朝からカメラをセットしたが、狙いの富士は雲の中。6時間後、一瞬、全容を見せたときに撮ったのがラストのクライマックス・ショットだ。レンズはSTF135mmF2.8。イメージより、長さが少し足りなかったので、カメラに備わる電子ズームを使用した。電車に合わせたピント送りは手動。通過後、再び手動で富士山にピントを戻している。
歴史や風情があるのに身近な存在の江ノ電は東京周辺の人たちに、こよなく愛され、よき被写体となっている。鎌倉、藤沢、両端の駅から発車する電車の乗車効率が大変よいことも、鉄道経営にとっては理想的な事柄かもしれない。そんな江ノ電は24〜70mmF2.8ズームを中心に使用してみた。家の密集したところや道路際を走る単線の電車には、絶好の焦点距離に思えた。
都会の秋も、そろそろ終わりを告げる時季、私は穏やかな日差しを浴びながら、洗足池から石川台付近を散策していた。桜の残り葉や紅葉したツタの風情が、ことのほか美しい。時間通りにやってくるのは3両編成のステンレス車なのに、昔風の郊外電車という呼び名にふさわしさを覚えたのは、秋という感傷的な季節によるものか、都会のマジック。
SLが国鉄の路線から消えたのは、1957年のことだった。いまや日本の各地で保存SLが復活している。首都圏では、秩父鉄道のC58363やJR東日本のD51498が有名だが、C6120が加わった。東北地方で1949年に初めて特急列車を牽引した旅客用蒸気機関車である。ファンは沸いた。私もVG900を手にレール際に立った。走り、爽快。あっという間に目の前を通過する煙り、響き!〈JR東日本商品化許諾済〉