PHOTO by AMIY MORI |
小田 絵里香(おだ・えりか) |
AMIY : よろしくお願いいたします。 若女将 : 遠いところ、いらしてくださってありがとうございます。 AMIY : 素敵な御着物姿で絵になりますよね。 若女将 : ありがとうございます。AMIYさんも。普段着られているんですか。 AMIY : はい。けっこう普段も着ています。日本文化が大好きなんです。でも私は好きな時にしか着ませんが、絵里香さんは毎日の事ですものね。 若女将 : はい。こんなに着物を着ている人生になろうとは思ってもいませんでした(笑)。 AMIY : それは大変。でも夏の炎天下に着物は過酷ですね。 若女将 : おかげさまで、もう慣れました(笑)。 AMIY : 加賀屋さんの送迎は、お客様の楽しみと感激の一つでもありますよね。車が見えなくなるまで手を振り続けてくださるおもてなしの心にはほんと感動します。 若女将 : ありがとうございます。できるだけたくさんの者でと心がけていますが、時間帯によっては従業員が各配置で仕事をしているので、人員確保はちょっと大変なんですよ(笑)。 AMIY : そうですよね。でも、その努力が28年間日本一を守り続けていらっしゃる秘訣なのでしょうね。館内の従業員の方々も温かい雰囲気の方ばかりで、皆さん素晴らしい対応ですね。さすがだな〜と思います。従業員さんはどの位いらっしゃるのですか? 若女将 : 現在650名程ですが、出入りの業者さん等の関係者を入れると1000名は超してしまうと思います。 AMIY : 凄いですね。それを女将さん達が仕切っているわけですよね。凄いお仕事です。 若女将 : いえいえ、私はまだまだなので・・・。 AMIY : さきほどご挨拶させていただきましたが、短髪で凛としてらっしゃる素敵な方ですね。ちょっと想像していたお姿とは違って、女性としてのかっこよさを感じてしまいました。 若女将 : そうなんです。身内を褒めるのもなんですが、本当に母は女将として生きている素晴らしい人です。 AMIY : ご結婚はいつされたのですか? 若女将 : 4年前です。12月に結婚したのですが、そのころの私は本当に何も知らなくて、いま思えば若女将になるという事の本当の意味や心得は分かっていなかった気がします。 AMIY : それはそうですよね。大変なお仕事だし、一般の人には滅多に触れたり、知ることのない世界ですもの。絵里香さんは、それまで旅客機の客室乗務員だったとうかがいましたが、そのとき培ったサービスの基本が役に立ったのではないですか? 若女将 : どうでしょうか。でもサービスと言っても客室乗務員はお客様に「ダメです」「止めてください」と言えるんですよ(笑)。その部分が根本的に違いますね。 AMIY : そっか。これだけの大きな旅館になると、中にはお酒が入ってわがままを言うお客さんもいらっしゃるでしょうから大変ですよね。お客さんって一日何人位いらっしゃるのですか? 若女将 : シーズンや行事によって一概には言えませんが、300〜800名様位です。1000名様を超えることもあります。 AMIY : それは大変。従業員さんに指示を出してまとめるにも、各部署のお仕事も理解してなくてはいけないからお勉強が大変ですね。 若女将 : そうなんです。なので、嫁いでから半年間は調理場・客室等6箇所以上の部署を修行させてもらいました。その後は大女将について見習いをさせていただきました。客室乗務員の時はマニュアルや試験があって、自分が本当にできているのかどうか評価がはっきりしているので、安心できる部分もあったのですが、女将の仕事はいくら頑張っていても正しくできているかといつも不安で一杯なんです。 AMIY : そんな時は、大女将に相談なさるのですか? 若女将 : 大女将は面と向かって褒めたりする人ではありませんが、周りから「大女将が褒めていたよ」って聞くと、すごくうれしくて励みになります。以前、一日も早くと焦っていた私に「今年これができれば上出来、って考えればいいじゃない」と言われ、肩の荷が一気に軽くなり救われました。確かにいろんなことを1日単位で覚えられるわけがないんですよね。また大女将からは「謙虚さが大切」と教えられ、それを長年実践している母を尊敬しています。 |