背景をぼかすためには、標準ズームレンズの望遠側を選び、絞りを開放にします。
ピントが合うギリギリまで被写体に近づくことで、さらに背景をぼかすことができます。
焦点距離: 55mm / F値: 5.6 / シャッター速度: 1/80秒/ WB:マニュアル 4000K / 露出補正:+1.0EV
写真を撮るということは自己表現の手段だと思います。最近の若い女性はブログにアップしたりアルバムを手作りしたりして、「きれいに撮れたでしょ?見て見て!」という自己表現が上手。わたしはこんな世界を見たんだよと人に伝える、コミュニケーションのツールに写真がなっているんですね。
私の場合は被写体がたまたま花でした。「きれいに撮れてうれしい」というところからスタートして、人に見てもらうようになって、癒されたとか楽しい気分になったとか言われることがうれしくて続けているうちに、花の写真を通して自分の思いを表現することができることがわかってきて。今は、表現の幅をさらに広げていきたいと思っているところです。
花という被写体はそれ自体が美しいものなので、ただそれを写真に収めるだけできれいに写せるものですが、撮り方によってもっと魅力的に残すことができます。キレイな花をより魅力的に写したいと思うことは、たとえば子どもやガールフレンドをきれいに撮ってあげた い、という気持ちと変わらないと思います。
野山へ花を撮りに出かけてもいいけれど、花はもっと身近なところにあります。家の庭や公園、場所によってはレストランの中にもお花が飾ってあったりします。その魅力をカメラで引き出す。自分がこの花に出会ったときにどう感じたか、きれいだな、かわいいなという自分の気持ちを、写真に収めるんです。そんな身近なところでの日々の撮影に、NEX-3はまさにぴったりだと思います。
逆光での撮影ですが、Dレンジオプティマイザーを使うことで、手前が暗く落ちるのを防いでいます。ホワイトバランスは日陰にして、夕方の雰囲気を演出しました。
焦点距離: 51mm
F値: 5.6
シャッター速度: 1/200秒
WB:日陰
露出補正:+1.3EV
背景の雰囲気を残すため、望遠端ではなく少し標準域にズームを戻しています。
そのおかげで、軽くぼかしたまま、周りにも花が咲いている様子も表現できます。
焦点距離: 41mm / F値: 5.6 / シャッター速度: 1/125秒/ WB:日陰/ 露出補正:+1.0EV
何よりも「使える!」と思ったのは、背景ぼかしコントロール機能です。花の撮影は、背景のボケを効果的に使うことが大きなポイントになります。ふつう、「オート」モードを使っているときはボケなど細かな調整はできないようになっているものですが、これはオートモード使用中でもボケがコントロールできる。
ガイドの言葉も「絞り込む」とかの写真用語ではなくて「ぼかす」「くっきり」というようにわかりやすくなっています。そして画期的だったのが、このコントロールホイールを動かしながら、ボケ具合を画面で確か
められること。今までボケの具合はシャッターを切ってみないとわからなかったのが、これは「どれぐらいのボケがいいかなあ」って見ながら決められるのがすごくいい。
このあいだ、女性限定でやった講座の会場で「一眼カメラを使うのははじめて」という方に、NEX-3を使っ てもらいました。背景のぼかし方は難しいかな? とも思いましたが、簡単な説明だけですぐにマスターしていました。奥の被写体にピントを合わせて、手前をぼかす「前ボケ」も、自然にこなしていましたね。
もうひとつ花や小物の撮影のときにうれしいのが、ピントを合わせるエリアを液晶画面で選べる「フレキシブルスポット」です。花の撮影は、ピントをしっかり合わせるのはどこか、ということが大切になってきます。NEX-3はピントを合わせる位置を25点のうちから細かく選べる。思いどおりの位置にピントを合わせることができるから、ボケ味も生きてくるんです。
コンパクトデジタルカメラでも花をきれいに写すことはできるし、ある程度背景をぼかすこともできます。ただ、レンズと撮像素子の大きさが違うので、美しくぼかすという点で、やっぱり私は一眼を選びたいですね。APS-Cサイズのセンサーを備えたNEX-3は必要にして充分な、とても魅力的なカメラです。
ちょっと専門的な視点で言うと、ボタン類がとても少ないのがNEX-3の特徴です。私は従来の(ボタンがたくさんある)一眼レフカメラの操作に慣れているので、使ってみる前には「こんなにボタンが少なくて、その代わりにメニューから設定をひっぱりだして操作するなんて面倒じゃないの?」とちょっと思いました(笑)。でも実際に使ってみると、露出補正など使用頻度の多いボタンはちゃんと外に出ていて、とても使いやすくできていました。
クローズアップ撮影ではボケが大きくなる分、ピントをしっかり合わせましょう。特に主題が画面の中央にない構図では、オートフォーカスエリアをフレキシブルスポットにして設定して、適切なピント位置まで動かします。
焦点距離: 55mm
F値: 5.6
シャッター速度: 1/100秒
WB:日陰
露出補正:+1.3EV
可動式液晶モニターを使って、低いアングルから青空をバックに花を見上げました。
花が夏空に向かって伸びる雰囲気が出せました。
焦点距離: 18mm / F値: 5.6 / シャッター速度: 1/800秒/ WB:曇天/ 露出補正:+1.3EV
このNEX-3で最初に目がいくのはやっぱりデザインですよね。いい写真を撮るために、カメラはいつでもどこへでも持って歩きたいものです。でも持っていて楽しいなと思えるカメラじゃないとだんだんイヤになってきてしまいます。「今日はいいかな…」と家に置いていっちゃって、結局写真が撮れなくなる。写真をちょっと本格的に撮ろうと思うと機材はどうしても大きくてゴツくなりますが、NEX-3を手にして、「わぁ〜、一眼でもこんなデザインにできるんだ」って驚きましたね。
これは小さくてバッグにも入れやすいのですが、私はむしろ外に出して歩きたいですね。今の若い女性は、男性もそうですが、カメラをストラップで下げて歩いている人が多いでしょう?あれはシャッターチャンスを逃さないっていうより、ファッションの一部なんじゃないかと。だったらルックスはカワイくなくちゃいけないし、それでいて中身が本物志向であったらもっとカッコいい。NEX-3はまさにそんなオシャレの一部としても楽しめるカメラだと思います。
ちなみに、NEX-3は長いネイルのときでもグリップを軽くはさむようにホールドできるようにデザインされていて、シャッターなどのボタン類も問題なく操作できます。カメラを使うからといって自分自身のオシャレをあきらめたくない!その点でもNEX-3はとてもいいですよ。
街だけじゃなくて、旅先や自然のなかでも活躍しそうですね。私は山歩きで花を撮りにいくことがあるのですが、先日は裏磐梯の山の中にこのボディーとレンズのセットだけ持って行ってみました。いつもは一眼レフのボディー、交換レンズ、三脚と重い機材が当たり前なんですが、その時は軽くて歩くのがすごくラク。それでいて画質も一眼レフと同等だから、「これで十分撮れちゃうのか…」って考え方が変わっちゃいました。
カワイイからいつも持ち歩きたい。小さくて軽いからより遠くへ行ける。だからたくさんの被写体に会える。使ってみて、いろんな面で「これはイイなぁ」と感じさせてくれるカメラだと思います。
山中を歩きながら撮影した1枚。今までは大きなカメラと三脚を持って移動していたのが、NEXなら軽装備で撮影が楽しめます。画質もデジタル一眼レフカメラと遜色なく、背景もキレイにぼかせます。
焦点距離: 39mm
F値: 5.6
シャッター速度: 1/80秒
WB:太陽光
露出補正:+1.7EV
花の魅力を通して「心」を伝える、吉住志穂さんの作品集です。