1959年生まれ。学習院大学法学部卒業。カメラメーカー勤務を経て1996年にフォトグラファーとして独立。カメラ専門誌、Webマガジンなどのメカニズム記事執筆を中心に、写真教室など、幅広い分野で活躍中。クラシックカメラに関する造詣も深く、集めたカメラは300台以上。最近は交換レンズのコレクションにはまっており、新旧合わせて400本以上のレンズを所蔵。日本カメラ博物館、日本の歴史的カメラ審査委員。
LEICA|Summar 50mm F2 レンズの存在そのものに、心惹かれる
ライカのズマール50mmは、1930年代に作られたかなり古いレンズです。コンディションも決していいとは言えませんが、これぞアンティークと言いますか、レンズの存在そのものに心惹かれるものがあります。レンズの描写も魅力的で、写真のようにあえて光源を入れることで、クラシックレンズ特有の強いフレアが入って、ソフトフォーカスがかかったような柔らかな描写になります。もともと、コントラストが低いということもありますが、年代物のこのレンズには、レトロな雰囲気の被写体がよく似合うのかもしれませんね。思いっきりクラシックレンズを楽しみたければ、個性的なこの手のレンズから始めるのも面白いと思います。ANGENIEUX|P.Angenieux Paris 75mm F2.5 デジタル一眼カメラだからできる、楽しみ方がある
16mmのシネ用のCマウントレンズは、APS-CサイズのNEX-6につけると、イメージサークルをカバーできず、どうしても画像がケラレてしまいます。そもそもは、ケラレも含めて写りを楽しむのが、Cマウントレンズの醍醐味なのですが、だからといってそのまま撮ってしまうと、やっぱりケラレが気になってしまう。そんなときは、ひとつの解決策として、写真の比率を16:9のハイビジョンサイズにして撮るようにしています。そうすれば、気になるケラレの上下をカットできる。さらに、写真のように周辺が暗い被写体を選んであげれば、その場の雰囲気とレンズの特性をうまく生かして、映画のワンシーンのような写真を撮影できます。こういった表現方法は、デジタル一眼カメラならではのクラシックレンズの楽しみ方だと言えますね。MINOLTA|AF 100mm F2 純正アダプターで、高速AFを手に入れる
この写真は、ピントがシャープで、ぼけも美しいことで評価の高い100mmのミノルタのレンズと、ソニー純正のマウントアダプターLA-EA2を使って撮りました。やはりピントがシャープで、主役のとんぼが引き立ち、円形絞りのおかげで背景もキレイにぼかせました。また、マウントアダプターとレンズの相性はと言うと、さすが純正だけあって申し分ありませんね。LA-EA2はトランスルーセントミラー・テクノロジーを搭載しているので、位相差AFが常に働く。だから、とんぼが枝先にとまった瞬間も逃さず捉えられる。さらにそれだけではなくて、常に被写体にピントを合わせ続けてくれるので、動き続ける被写体を撮るときも助かります。Aマウントレンズを使うときは、こういった高性能な純正アダプターがあると本当に心強いですね。
今回、NEX-6とクラシックレンズを使ってみて、センサーや画像処理エンジンの性能の高さと、カメラとレンズの相性の良さを強く感じましたね。どの写真も極端にレンズの個性が強調されるわけでもなくて、レンズが持っている味が素直に表現される。なかには、レンズの描写性能の高さにあらためて驚かされたカットもありました。これから先も、αのEマウントカメラが進化すればするほど、クラシックレンズの良さをもっと引き出せると思います。ぜひ、皆さんにもクラシックレンズの魅力を見つけて写真を楽しんでほしいですね。
【マウントアダプターの主な販売元】
近代インターナショナル(RAYQUAL、KIPON製品)、muk select(RJ Camera製品)、メディアジョイ(MJ Soft 90mm F2.8レンズ)
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