株式会社TBSテレビ様
内蔵NDやリモコン対応でVENICEにしかできない効率的なマルチカメラ撮影を実現
株式会社TBSテレビ様は、テレビドラマ撮影用として新たにCineAltaカメラVENICE(MPC-3610)ならびにVENICEエクステンションシステムCBK-3610XSを導入しています。今回、コナリミサト原作・黒木華主演の金曜ドラマ「凪のお暇」の撮影に使用されました。
株式会社TBSテレビ
技術局 技術推進部
(株式会社東通)
兼 制作技術統括部
中野 啓様
株式会社東通
第2テクニカルセンター
制作技術部 主任
宮本 民雄
当社では、2013年のCineAlta 4KカメラPMW-F55(以下、F55)の導入以降、ドラマ制作をSuper35イメージセンサーサイズで撮影してきています。このF55が2013年の導入から6年を経ていたこともあり、後継機としてVENICEを選び、金曜ドラマ「凪のお暇」で制作に投入しました。
後継機の選定にあたっては、他メーカーのカメラも当然比較検討しました。選定のポイントは、F55と混在したマルチカメラ運用時にガンマや色域を揃えることができ、同じリモートコントローラーでのリモート操作も可能な点。そして、テレビドラマは早いスパンで多くの撮影をこなすため、機材のタフネスが重要です。その点、VENICEの堅牢性の高さは大きな魅力です。こうした点から最終的にVENICEを選択しました。
VENICEの画質については申し分ありませんでした。撮影初日には、監督がモニターを見た瞬間「おぉ!綺麗だね!」と一言。導入して良かったと改めて感じました。感度についてはISO500と画質に有意な差を感じなかったため、全シーンISO2500で撮っています。暗い環境では利用が困難なズームレンズ使用時も、感度の高さのおかげで不便なく撮影できました。
VENICEの8ポジション内蔵NDフィルターの利便性は感動的と言って良いと思います。刻みが小さいため、太陽光が刻々と変わって行くような時間帯でも狙いの絞りを維持したままNDを使って容易に追従することができます。さらにNDフィルターのリモートコントロールが利く点がかなり便利です。絞りだけでなくNDもVEからコントロールできるため、撮影助手なしでマルチカメラ撮影するテレビドラマには理想的です。
VENICEエクステンションシステムCBK-3610XSも随所で活用しました。代表的なカットとしては、主人公が鏡を見つめるシーンでの鏡側から主人公を狙ったショットです。普通のカメラでは入れないようなアングルでは積極的にエクステンションを活用しています。今回は使っていませんがジンバルへの搭載などさまざまな可能性を感じさせるアイテムです。
VENICEは暗部がとても美しいカメラです。しかし今回はF55との混在運用でしたので、F55のSN感を考慮し暗部をある程度潰していくなど、F55にクオリティーをあわせざるを得ない面がありました。そのためVENICEのクオリティーをフルに生かすことができなかったと感じています。機能面では、ハイスピード撮影もまだ行っていません。S/Nの良いVENICEのスローを早く使ってみたいと思っています。他にもフルフレーム撮影、アナモフィック撮影など、VENICEが持つポテンシャルの半分も生かせていないと思うので、今後、それらを積極的に活用したいと思っています。またVENICEが増備できれば、VENICEの画質や機能をフルに生かしたマルチカメラ撮影もできるようになります。