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映画「飛べないコトリとメリーゴーランド」

株式会社 ソニー・ミュージック アーティスツ 様/撮影監督 關根靖享 様

PXW-FS7で4K XAVC収録。高精細な4K収録とラチチュードを生かしたグレーディングで
悩みを抱える女性の細やかな心の動きを表現。

4K Super35mmセンサーを搭載したXDCAMメモリーカムコーダーPXW-FS7で全編をXAVC 4Kで撮影された映画「飛べないコトリとメリーゴーランド」がクランクアップ。
企画・プロデュース担当された株式会社ソニー・ミュージックアーティスツ 内田わか様に、企画意図や作品の見どころ、撮影監督 關根靖享様に、PXW-FS7選定の決め手、運用の成果、今後の期待などを伺いました。なお、記事は4月中旬に取材した内容を編集部でまとめたものです。

「飛べないコトリとメリーゴーランド」

監督 市川悠輔 / 撮影關根靖享 / 企画・プロデュース内田わか

出演 岡野真也、チャラン・ポ・ランタン(もも、小春)、成田俊、渡辺祐太朗、ほか

あらすじ
羽田コトリは空想好きの女子大学生。インターンシップを通じた男性に恋をし交際することになるが、やがて社会に出てそれぞれの道を歩み始めると二人の関係は揺らぎ、コトリは心の平穏を求めて現実逃避の世界へと・・・。

次代を担うスタッフ、キャストと次世代カメラで斬新な作品を目指す

今回の作品は、当社にとって初めての映画製作業務です。企画意図としては、音楽と映像を融合したこれまでにない世界を表現したいという思いが強くありました。そこで、スタッフ、キャストも次代を担う新進気鋭の方々にお願いすることにしました。市川悠輔監督は、第35回ぴあフィルムフェスティバルでグランプリを受賞、主演の岡野真也さんも注目を集める新鋭女優、さらに独特の音楽表現で人気の姉妹ユニット チャラン・ポ・ランタンも映画初出演です。その意味ではPXW-FS7も、次代の映像制作の一翼を担うカメラということで企画意図に合致したものとも言えます。

上映はフルHDで行いますが、4K収録ならではの高精細、多彩な映像表現は作品の魅力として反映されていると思います。心に悩みを抱え、前に飛び出せなくなった主人公「コトリ」が、現実と現実逃避をグルグルと繰り返す、細やかな心象風景を描写するのに最適で作品の魅力として色濃く反映されていると思います。

映像や表現、撮影方法など豊富な選択肢がPXW-FS7の最大の魅力

PXW-FS7の特長であり、大きな魅力だと感じたのは4K Super35mmセンサーならではの高精細な映像に加えて、暗部から明部まで捉えることのできる14stopの広いラチチュード。そして、ショルダーオペレーション時の高い機動力です。

今回の作品ではワークフローにあわせてガンマ設定を変えています。ポストプロダクションでの作業効率も考慮して軽いグレーディングで済むシーンはハイパーガンマで撮影しましたが、コトリの部屋など暗部もしっかりと見せたいシーンではS-Log3を使用しました。カラーグレーディング時に暗部を持ち上げた際、見えなかった暗部のディテールがしっかりと立ち上がってくることに驚きました。ビルの屋上で一人は日のあたる明るい場所に、もう一人は屋根のある日陰にいて話すシーンがあるのですが、レフ板を使って軽く反射光をあてるだけでラチチュードの中にしっかりと入れることができ、PXW-FS7の広いラチチュードを効果的に活用することができました。夜の公園でコトリが母親と電話で喧嘩するシーンでも同様でした。また、演者をショルダースタイルで追いつつ撮影するシーンがあるのですが、リグを組む必要が無いことに加えカメラ本体が軽量であることも相まって非常に軽快に撮影することができ、これは従来の大判カメラではこれまでに無い経験でした。もちろん機動力だけでなく、屋内セットの撮影ではドリーに載せて撮影することもでき、状況に応じて対応できる柔軟性も魅力でした。

内田わか様
株式会社 ソニー・ミュージック アーティスツ
企画・プロデュース

關根靖享様 撮影監督

次回作を含め、今後の4Kコンテンツ制作でも威力を発揮してくれると期待

映画製作ではスケジュールやコストの都合で様々な制約条件があるケースも少なくありません。今回も簡単なテスト運用を経て、7日間の撮影で900クリップ近い収録を無事に終えることができましたが、PXW-FS7の信頼性の高さ、運用面での機動性・柔軟性が貢献してくれたと評価しています。これから白完パケまで4Kで編集作業を行う予定ですが、最終的にフルHDにダウンコンバートしても4Kならではの魅力は作品に反映されていると思います。

今後の活用についても、大きな期待を持っています。マルチフォーマット対応やハイフレームレート撮影機能など今回使わなかった機能も含めて多様な現場に一台で対応できる点がこのカメラの非常に優れている点です。また、拡張ユニットでRAW収録にも対応できる点や、広色域モードであるS-GamutやS-Gamut.Cineにも注目しています。映画では、演出やシーンに合わせて、あえて画質を落としたり汚したりすることも少なくないので、持ち上げても、触っても画自体が崩れないのは制作の立場では大きな魅力です。ぜひ、検証テストを行って、実際に使ってみたいと考えています。

なお、当社では今後も映画の製作に取り組んでいく予定です。今回の作品で得た経験やノウハウを活用して、次回作でも新たな映像表現に挑戦していきたいと考えています。PXW-FS7が持っている大きな可能性は、今後も映画などのハイエンドコンテンツ制作に威力を発揮してくれると思いますし、期待もしています。

「飛べないコトリとメリーゴーランド」トレーラー
「飛べないコトリとメリーゴーランド」メイキング動画
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