ソニーのシステムステレオは、スマートフォンやウォークマン®、パソコンなどさまざまな機器と連携して音楽を聴くことが可能です。たとえばスマートフォンをつなげれば、ふだん聴いている音楽やネット動画の音声を本格オーディオの“いい音”で楽しめます。また、CDの約6.5倍(*)の情報量を備えるハイレゾ音源の再生にも対応。ハイレゾ音源は「mora」などの楽曲配信サイトで好きなときに入手できるので、Xperia™を使って外出先で購入したハイレゾ音源を、自宅でシステムステレオのスピーカーを使って大音量で聴く、といったこともできます。
* 192kHz/24bitのハイレゾ音源の場合
CDやラジオ、ウォークマン®、Androidスマートフォン/タブレット、iPhone/iPad、パソコンなど、さまざまな機器を接続して高音質で再生可能!
さらに、CD(44.1kHz/16bit)以上の音質(最大192kHz/24bit)に変換するソニー独自の技術“DSEE HX”を搭載。CDの楽曲やウォークマン®に保存してあるMP3などの圧縮音源を、クリアで躍動感のあるサウンドで楽しめます。
500GBの大容量ハードディスクを搭載しているから豊富な音源を一括管理・サクサク再生!
パソコンやAndroid搭載スマートフォン/タブレットに保存してある楽曲を家庭内のネットワーク経由で転送すれば、これ1台でたくさんの音楽を楽しめます。
パソコンが出力する音声データを再生するUSB DAC機能を備え、パソコン内の音楽はもちろん、動画やゲームの音声もUDA-1の高音質に!
また、ハイレゾ音源として知られるDSD音源と、最大192kHz/32ビットのPCM方式の音源にも対応。「UDA-1」をパソコンやハイレゾ対応のウォークマン®/Xperia™と組み合わせれば、お手持ちの機器が高品位オーディオプレーヤーに変身します。
──スマートフォンやパソコンなど多彩なデジタル機器と接続できるシステムステレオ「HAP-S1」「MAP-S1」「UDA-1」それぞれの特長を教えてください。
佐々木:内蔵ハードディスクに音楽を貯めてライブラリーを構築できる「HAP-S1」は、高音質なハイレゾ音源やMP3のような圧縮音源をサクサク操作して気軽に聴くことができます。形もコンパクトなので、リビングや書斎、寝室など場所を選ばずに音楽を楽しめます。
「UDA-1」は、パソコンがエンターテインメントの中心にある方にぴったりの商品です。パソコンとUSBケーブルで接続し、あとはスピーカーにつなぐだけでパソコンから発する音が“いい音”に変わります。音楽だけでなく、ゲームやビデオ、ネット動画などもすべて“いい音”でお楽しみいただけます。
大谷:CDプレーヤーやラジオチューナーを内蔵する「MAP-S1」は、従来からある音楽メディアをデジタルオーディオ技術を使ってハイレゾに迫る音質で聴けるとともに、スマートフォンやパソコンとも連携できます。
──「MAP-S1」には、これまでのCDの資産とデジタルオーディオとを橋渡しする役割もありますね。
大谷:ハイレゾ対応ウォークマン®やXperia™を接続すればハイレゾ音源も聴けますし、コレクションしてきたCDも“いい音”で聴ける、ということが「MAP-S1」のコンセプトのひとつです。
──そもそもモバイル機器との連携機能は、どういった理由から搭載されたのでしょう?
佐々木:音楽CDのみだった時代からデジタルオーディオが普及するにつれ、楽曲がファイルとしてパソコンに貯められるようになりました。また音楽を聴く機器もウォークマン®をはじめとしたポータブルオーディオプレーヤーだけでなく、スマートフォンやタブレット、ノートパソコンなど多種多様になっています。ただ、人それぞれに音楽を楽しむ機器が異なっていても、“いい音”で聴きたいという思いは共通ですし、お手持ちの機器を手軽に接続するだけでより“いい音”が楽しめるようになれば、音楽の楽しみかたがさらに広がりますよね。そういった背景から、 「HAP-S1」「MAP-S1」「UDA-1」では、さまざまなモバイル機器をつなげば簡単に“いい音”が楽しめる、ということにこだわっています。
──モバイル機器との連携によって、音楽を聴くスタイルも幅が広がりますね。
大谷:ウォークマン®をUSBケーブルでつなげれば、いつも聴いている楽曲をすぐ聴けるのがいいですね。「UDA-1」「MAP-S1」は本体前面にUSBの端子を設けていて、ウォークマン®やスマートフォンの充電もできます。ふだん持ち歩いているお気に入りの曲をみんなで聴くというときにも便利だと思います。
西之園:便利さという点では、スマートフォンやタブレットをリモコンにして「HAP-S1」の楽曲を操作する「HDD Audio Remote」が秀逸なんです。ソファーにゆったり腰かけたまま、聴きたい曲を自在に呼び出せる。CDを交換するために立ちあがらなくていいので、気づいたら何時間も音楽を聴いていたこともあります(笑)。
──スマートフォンとの連携において、とくに工夫したことや苦労したこととはなんでしょう?
大谷:音声信号の土台となる電源からノイズを排除して、クリーンに保つことですね。「MAP-S1」はアナログ系回路とデジタル系回路で電源供給を分離しています。“DSEE HX”を演算するDSP(デジタルシグナルプロセッサ)はデジタル回路ながら電力消費が多く、出力に余裕があるアナログ向けの電源を使用することが多いのですが、「MAP-S1」は音にこだわってDSPはデジタル向け電源を強化し駆動しています。
──CDやラジオと回路が多いぶん、ノイズ対策も大変だったと思いますが。こちらをよくすればあちらに悪い影響が出たりと……。
大谷:ノイズの影響を抑える「グランド」のとり方を工夫するなどして、対策を徹底しました。デジタル系、アナログ系、パワーアンプとグランドを接続する順番を決めて、丁寧にノイズをとり除いていきます。適切な順番でグランドをとっていかないとノイズをとり除いているつもりが混入させてしまうこともあるんです。基本的にグランドは1点に集中させて信号の基準点とするのが理想です。「MAP-S1」はバー型のグランド回路“バスバーグランド”でノイズを逃がしています。
──「UDA-1」「MAP-S1」はUSBケーブルで、パソコンの音を聴くことができます。
佐々木:パソコン単体で聴くときにくらべて音のレベルががらっと変わるので、DVDなどのライブの映像がすごく楽しいですよ。
大谷:ノートパソコンに限られるんですが、「UDA-1」や「MAP-S1」にパソコンを接続するとき、パソコンのACアダプターをはずすと、音質がさらに向上します。
──「ノートパソコンを内蔵バッテリーだけで使用する、ということですか? なぜ音がよくなるんでしょう?
大谷:ACアダプターが接続されていると、コンセントを通じて電源ノイズが混じるんですね。ACアダプターをはずしてバッテリー駆動にすることでノイズが減り、よりいい音で聴こえるようになります。
佐々木:USBケーブルによっても音質は変わりますね。オーディオ用のUSBケーブルもいろいろあるので、自分好みのものを探すのも楽しいと思います。
──「UDA-1」と「HAP-S1」は、スピーカー駆動用のアナログアンプをヘッドホンにも用いていますが、これはどのような狙いがあるのでしょう?
西之園:「UDA-1」と「HAP-S1」は大変素性の良いスピーカー駆動用アナログアンプデバイスを搭載しています。このアンプデバイスの音を、ぜひヘッドホンでもお楽しみいただきたいという思いがあり、このような構成にしています。また、住宅事情によってスピーカーではなかなか大きな音を出せない、という方もいらっしゃいますよね。ヘッドホンであれば自分の好みのボリュームで”いい音“を楽しむことができますから。
設計の段階でヘッドホン出力をどうするか、という話になったとき、スピーカー駆動用アンプを応用する、もしくはヘッドホンのみを駆動させる専用のアンプを搭載する、という2つの選択肢がありました。スピーカーはほとんどがダイナミック型ですがヘッドホンはダイナミック型、バランスド・アーマチュア型などいろいろな種類があり、インピーダンスもさまざまです。世の中にあるすべてのヘッドホンで一定の音質/音量を出すのはなかなか難しい。スピーカー駆動用のアンプを使えば、インピーダンス切り替え無しでゼンハイザーやベイヤー等のインピーダンスの高いヘッドホンでも駆動が可能です。
そこで「UDA-1」と「HAP-S1」ではスピーカー用のアンプを抵抗器を使ってヘッドホン向けにも駆動させることにしました。スピーカー用アンプを応用することで、自然で豊かな響きの音をヘッドホンで楽しめます。実は、この抵抗器が音質に大きな影響を与えます。そのため材料や構造、加工工程を工夫した大型1/2Wカーボン抵抗を新開発して採用しています。
佐々木:スピーカーやヘッドホンを駆動させる電源を供給する電源トランスにもこだわっています。トランスは鉄の芯に銅線のコイルを巻き付けたシンプルな構造ですが、音質を左右する重要な部品です。このトランス選びの決め手になったのがじつはヘッドホンの音なんです。スピーカーでの音質を吟味するとともに、最終的にはヘッドホンでスピーカーでは聴こえづらい音を聴けたものを選びました。
──「MAP-S1」のヘッドホンは専用回路で駆動しているのでしょうか。
大谷:そうですね。「MAP-S1」はデジタルアンプS-Master HXを採用しているため、ヘッドホン出力にスピーカー用アンプは使用していませんが、オペアンプを使ってヘッドホン駆動専用の回路を構成しています。ヘッドホンを駆動させるときはスピーカー用のアンプをオフにして、電源回路の負荷を減らしたほか、スピーカー用アンプからのノイズ流入をゼロにすることでクリアな音を実現しています。ヘッドホン用回路に使っている抵抗器も一時入手困難になりましたが、音の良さが忘れられずなんとか再生産してもらったものを使用しています。抵抗器はヘッドホン専用アンプ回路を使う場合、パワーアンプを使用する場合のどちらにも必要になりますが、どうしても音が変わってしまうのでとくにこだわりました。
──「HAP-S1」「MAP-S1」「UDA-1」の3製品が発する音はそれぞれ個性がありますが、中心には“ソニーの音”ともいうべき共通した音質があるように感じます。ソニーのオーディオ機器の音質はどのように形作られているのでしょうか。
西之園:ソニーが目指す“いい音”の根本には、「音楽制作者が意図した音を忠実に再現する」という、オーディオ機器の開発に携わる者全員に共通する信条があります。その実現を目指して、新旧にこだわらずいろいろな技術や部品を組み合わせて、今できる一番いい音を目指すのがソニーの音作りといえるのではないでしょうか。
佐々木:コンデンサーやコイルなど共通の部品を使うことで音質が似てくるということもありますね。とくに「HAP-S1」と「UDA-1」はアンプの主な部品や回路が共通で、それぞれの機能にあった細かな部品の違いが音質に個性を生み出しています。
大谷:たったひとつの部品の違いでも音質が変わることがあるのがオーディオのおもしろいところでもあり、難しいところでもあります。「MAP-S1」ではレギュレーター(電圧を整える部品)に放熱用ヒートシンクを固定するネジを鉄製から銅メッキ製に変えたところ、すぐに違いがわかるほど音がクリアになりました。
──音質を左右するアンプは「HAP-S1」と「UDA-1」はアナログアンプを採用し、「MAP-S1」はデジタルアンプのS-Master HXを採用しています。それでも3機種の音にはどこか共通するものを感じます。
西之園:ソニーのオーディオ機器は技術ありきではなく、その機器を使用するシーンや目的にあった技術と部品を開発者が自由に選んで生み出します。開発者はみんなオーディオが好きで、いい音を実現するための一家言や自分だけの技術とアイデアの引き出しを持っている。さらにオーディオに携わって数十年の大ベテランの先輩技術者にアドバイスをもらったり、音の評価をお願いすることもあります。
共通の音の信条とソニーが長年蓄積してきた技術と経験をもとに自由な発想で機器を開発するからこそ、“ソニーの音”を根っこに持ちながらも機器ごとの個性を実現できるんだと思います。
──「UDA-1」と「HAP-S1」の音を増幅するパワーアンプの心臓部には、特殊なEBT(エミッタバラストトランジスタ)を使用していると聞いています。EBTとはどんなデバイスなんでしょうか?
西之園:EBTは20年以上前のオーディオブームまっただ中のときに開発され、高級オーディオを中心に人気を博したトランジスタです。EBTは大音量を実現できると同時にハイパワーなアンプが苦手にしがちな伸びのある高音域の表現もできる、理想的なアンプデバイスのひとつです。しかしオーディオブームが下火になるとともに忘れられた存在になっていました。
──そのデバイスを今よみがえらせた理由はなんでしょう?
西之園:EBTの音の良さは忘れられないものがありましたから。もう一度EBTを使ってアンプを作りたいと長年思い続けて、ようやく今回、そういった機会が巡ってきました。
──20数年前の技術が最新のハイレゾ音源の魅力を引き出しているというのは驚きです。
西之園:かつてのアナログデバイスのほうが音がいい、というのは実際にあることなんです。オーディオ機器は、アナログとデジタルが混在していますから、今回のように古い技術に注目して新しい技術を注いだり、逆に最先端技術の問題を解決するのにほこりをかぶっていた技術を復活させたり、といったこともありますね。
──開発中は試行錯誤することも多いのでしょうか?
西之園:音質チューニングでは試行錯誤の連続ですね。ただ、試行錯誤と言ってもまったくの手探りや行き当たりばったりというわけではありません。迷ったときに頼りになるのは技術と経験の積み重ねです。試行錯誤しつつも、過去の経験を振り返ったり蓄積してきた技術を参考にすることで「こうすれば狙いの音が出る」と道が見えてきます。
──今回取りあげている3製品はいずれもハイレゾ音源の再生に対応していますが、音質のチューニングは細かな音のニュアンスも再現できるハイレゾ音源中心でおこなうのですか?
大谷:「MAP-S1」はCDがメインの音源のひとつなので、音質チューニングではCDもかなり聴きました。CDを超える情報量を持った音楽データとしては、SACD(スーパーオーディオCD)の開発で技術と経験の蓄積があったので、ハイレゾ対応製品の開発といってもゼロからのスタートというわけではありませんでした。ただ、機器の実力をひき出すためには、試聴とチューニングを自分が納得いくまで繰り返すしかありません。
佐々木:「ハイレゾが再生できる」と「ハイレゾの表現力をひき出す」とでは、言葉としては似ていますが意味合いは大きく変わります。ハイレゾ対応の部品を使えばそれだけでハイレゾにふさわしい音が出る機器が完成するわけではないんです。チューニングで機器の実力をしっかり出さないと、ハイレゾの再生ができるだけで音はCDと変わらないということはよくあることです。
西之園:そしてCDでいい音が出なければ、ハイレゾでも満足できる音が出ることはありませんね。
──最後に、この記事を読まれる方へのメッセージをお願いします。
佐々木:「UDA-1」はUSBケーブルで接続するだけで、パソコンで本格的なオーディオが楽しめます。ハイレゾ楽曲はもちろん、YouTubeなどで公開されているライブ映像や新作プロモーションビデオを見るのにもうってつけです。パソコンがオーディオ機器になったり、ビデオ機器になったりと、パソコンの楽しみかたがぐっと広がります。接続や操作がすごく簡単なので、PCオーディオを経験したことのない方にも最適です。
大谷:「MAP-S1」は多機能かつ高音質なのが魅力だと思います。デジタルアンプ S-Master HXは大型スピーカーもドライブできるので、ぜひ大きめのスピーカーを使って迫力ある音を楽しんでほしいですね。CDとハイレゾの聴きくらべや、CD再生時に“DSEE HX”のオン/オフを聴きくらべるのも楽しいと思います。音の違いをきっと体感できるはずです。
西之園:金曜日の夜、静まりかえった視聴室で「HAP-S1」「UDA-1」の音を聴いていると、音のリアルさにゾクゾクッとすることが何度もありました。このなんとも言えない感覚をみなさんにもぜひ味わってほしいですね。
また、スピーカーをお持ちの方は一度お手持ちのスピーカーと「HAP-S1」「UDA-1」を接続して、今あるアンプと音を聴きくらべてみてください。両製品ともコンパクトなサイズからは想像できない迫力ある音を鳴らします。きっとびっくりされると思いますよ。
木製筐(きょう)体の「SS-HW1」は、木ならではの温かみのある外観と、やわらかな音の響きが魅力です。ピアノやギターなどアコースティック系の楽器と相性がよく、自然な音の伸びが楽しめます。スーパートゥイーター周辺の角を落として、スピーカー自身が発した音が回り込むことによる音の濁りを減らしているのもポイントです。
「SS-HA1」は直径13cmのウーファーを備えたことで、量感たっぷりの低音が楽しめます。高音を再生するスーパートゥイーターは、スピーカーの前面と上面に搭載したことで音が自然な雰囲気で広がります。「HAP-S1」と「SS-HA1」を組み合わせて、CDとハイレゾの表現の違いをぜひ楽しんでください。
※ ウォークマンは、ソニー株式会社の商標または登録商標です
※ XperiaはSony Mobile Communications AB の商標または登録商標です
※ Android、YouTubeは、Google Inc.の商標または登録商標です
※ “iPhone”、“iPod”は、米国Apple Computer社の米国およびその他の国における登録商標または商標です
※ 本ページに掲載している情報は2015年2月5日現在の情報であり、予告なく変更される場合がございます