日本の自然をテーマに多くの作品を集めた『第32回 いつまでも守り続けたい「日本の自然」写真コンテスト』の受賞作品がついに決定。2015年7月におこなわれた表彰式の模様と、ソニー4K賞をはじめとする受賞作をご紹介します。
2015年7月、東京・銀座のソニービルにおいて『第32回「日本の自然」写真コンテスト』の表彰式が開催されました。『「日本の自然」写真コンテスト』は、朝日新聞社、全日本写真連盟、森林文化協会が主催するプロ・アマ問わず参加できる写真コンテストです。今回は昨年の応募数を1,248点上回る4,986点の応募があり、写真家 吉野信さん、米美知子さんをはじめとする審査委員によって審査がおこなわれました。
会場では最優秀賞をはじめ審査委員賞など、各賞の表彰と作品の展示がおこなわれました。なかでも注目を集めていたのが、今回より新設された4Kテレビでの写真鑑賞に適した作品に授与される「ソニー4K賞」です。同賞では写真をプリントする今までの鑑賞方法とはひと味違う、大画面・高精細な4Kテレビでの鑑賞に適した1枚が選び出されました。受賞作品「つまみ食い」が会場に設置された4Kブラビアに映し出されると、大画面ならではの迫力と精細な表現に驚きの声が上がりました。
大画面の迫力と精細な表現を両立した4Kテレビを使った写真鑑賞は、4Kの普及とともに人気が高まりつつあります。ソニー4K賞は、141点の入選作品を4Kブラビア「KD-65X9500B」に映し出して審査を実施。写真家 米 美知子さん、朝日新聞東京本社写真部長 山之上 玲子さん、そしてソニーマーケティングの担当者の3者が、色の鮮やかさや繊細な光、コントラストの表現など、デジタルで撮影した写真をデジタルのまま4Kテレビで楽しむ新しい鑑賞スタイルにふさわしい作品を選定しました。
─この作品を撮影したときは、どんなことを表現されようと思いましたか?
干してある稲にスズメの群れがやって来て、籾を食べていました。人の生活に深く関わるスズメの暮らし、そして秋の里山の一場面を表現しようと思いました。
一羽一羽のスズメを主役にしたかったので、スズメ達が止まっている稲の面に対して、カメラのセンサー面を平行になるようにカメラを構え、全てのスズメにピントが合うように撮影しました。
─カメラで撮影を始めたのはいつ頃からですか? また、日本の自然風景写真コンテストでしたが、風景写真を撮影する時に心がけていることをお聞かせください。
一眼レフカメラを初めて持ったのは高校生の時です。父親が昔使っていたマニュアルカメラをもらったのが始まりで、2006年頃からデジタル一眼レフカメラを買って本格的に写真を始めました。
撮影時に心がけていることは、その被写体がいちばん良いと思う時間と天気、または良いタイミングで撮影できるように、と思っています。自然はこちらの思い通りにいくことはなく難しいですが、フィールドが比較的家から近いので、何度も同じ場所に通って、少しでも良い写真が撮れるチャンスを狙っています。
ソニー4K賞を受賞された「つまみ食い」は、まさに日本ならではの風景のひとつだと思います。刈り取って乾燥させている稲穂にたくさんの雀がはりついて、大はしゃぎしている様子が画面からひしひしと伝わってきました。農家の方はそんな雀を追い払うでもなく、好きにさせています。これだけ群がれば「ちょっと……」と思うときもあるでしょうけど、雀は害虫を食べてくれる益鳥でもあるんですよね。雀と農家が共存する、ほのぼのとした日本の原風景がよく伝わってきました。
たくさんの雀がレンズからほぼ等距離にいて、パンフォーカスで一羽一羽の表情や羽根の質感がしっかりと表れているのもいいですね。一羽一羽に注目してじっと見つめると、それぞれ異なる雀の個性が楽しめるんです。大画面かつ緻密な表現ができる4Kテレビにぴったりの作品ですね。
画面が発光する4Kテレビで写真を映し出すと、透過光の中に写真が浮かび上がって見えます。ポジフィルムのように光を通して写真を見ることで、透明感や輝きがクッキリと再現され、細かなディティールもよく見えるのがいいですね。さらにテレビならではとも言える大画面は、作品の臨場感や奥行き感を強く感じることができます。
現在、写真鑑賞は大きく分けて、紙にプリントする方法と、テレビやスマートフォンの画面に映し出す方法の二つがあります。なかでもリビングの中心にあるテレビを使えば、大画面で親しい人たちと一緒に写真を見ることができます。一枚の写真を中心にみんなが集まって「あの時こうだったよね」とどんどん会話が広がっていきます。
4Kの高解像度が描く精細感、透過光が作り出す光の表現、そして大画面で家族や親しい人たちと写真を見る楽しさ。4Kテレビを使った写真鑑賞は写真のいろいろなおもしろさに触れられるのがいいですね。
いつまでも守り続けたい「日本の自然」写真コンテストでは、わたしがふだん携わっているニュース性を重視して選ぶ報道写真とは異なり、自然の魅力をいかに伝えているかを意識して審査しました。「ソニー4K賞」に輝いた「つまみ食い」は誰もが目にしたことがあるような、まさに日本の原風景を写した作品だと思います。見る人が驚くような、いわゆる絶景でもなければ動物たちのめずらしい生態をとらえた写真でもありません。けれども作品の中にはたくさんの命が息づいていて、その先にはわたしたち人間の暮らしがある。そんな奥行きと深みを感じました。なにより、撮影された上野さんの自然を見つめる時のやさしいまなざしとぬくもりが、作品から伝わってきました。
4Kテレビに映し出したことで、写真の個性がプリント以上に強く引き出された印象があります。たとえばみずみずしい木々の緑、色鮮やかな花や生き物をとらえた作品は、色彩の鮮やかさにいっそう目をひかれることがありました。プリントではなかなか味わえない、大画面の迫力にも驚かされましたね。まるで自分が自然の中にいるかのような臨場感が伝わってくる作品もありました。
砂丘の雄大さを表現したくて、広角レンズ「SEL16F28」を使って撮影しました。撮影中は一瞬をとらえることをたいせつにフレームの四隅をよく見て、さらに背景にも気を配ることを心がけています。「NEX-C3」は広角レンズに魅せられて手にしました。広角で撮りたい時はこのカメラを相棒にして出かけています。
人物と背景の大木の桜(「牛繋ぎの桜」と言います)を一体化させて、里山の季節感と、これまで永々と続いてきたであろう地域に暮らす人たちの生活感を表現しました。「α700」は定年退職を機に入手しました。「日本の自然」写真コンテストの入選は今回で3回目です。いずれも「α700」によるもので、とても愛着のあるカメラです。
静けさの中に聞こえる鹿の鳴き声と、川面(かわも)を舞うホタル。人家の近くにこのような美しい自然が残っていることに感動して、ホタルの光跡の美しさを表現しました。美しいと感じた時、わたしはあらゆる角度からなんどもシャッターをきります。「α900」はピントが合わせやすく、発色も鮮やかで気に入っています。
広い画角でとらえることで、早春でまだ雪の残る吾妻連峰のすがすがしさと、競うように花が咲く花見山の華やかさを表現しました。撮影に使用した「α99」は35mmフルサイズCMOSセンサーの画質が気に入っています。わたしが風景写真で心がけている、光の使い方とピントをとてもきれいに表現することができます。
枯葉、新芽、花が一本の木に同時に存在しているのを見て、世代をつなぐ自然の営みに心を打たれました。それを表現するため霧の日に撮影してクローズアップしました。デジタル一眼カメラは「α55」とともに「α77」を使用しています。「α77」は連写性能に優れていて、今はトンボの飛行中の姿を撮影することにハマっています。
妖しささえあるふしぎな湖面のようすをどうやって写真に切りとるかを考え、手前の横に伸びるラインと画面中心の渦のようにからまるラインに集中して画面を構成しました。撮影に使った「DSC-RX1」は最初デジタル一眼のサブ機として考えていましたが、いざ撮影を始めると、使いやすさと画質のよさでメインとして活躍しました。
東京・銀座 ソニーショールーム、ソニーストア 名古屋、ソニーストア 大阪では、USBメモリーに記録したお気に入りの写真を4Kブラビアで再生・閲覧することができます(*)。ふだんよく見る写真も、大判ポスターに勝るとも劣らない大画面と緻密さをあわせ持つ4Kブラビアで見ることで、今まで気がつかなかった発見があるかもしれません。
* 写真データはJPEGフォーマットでUSBメモリーなどに保存してお持ちください(JPEGフォーマットのみ再生可能です)
* ご来場の際はアテンダント・スタイリストへお声がけください
* 混雑時はお待ちいただく場合がありますのでご了承ください。お一人様15分程度の体験となります
第32回 いつまでも守り続けたい「日本の自然」写真コンテストの入賞作品は、東京・銀座のソニービルを皮切りに、約1年をかけて日本各地で巡回展示します。会場では受賞作品はブラビアで展示し、日本の原風景を切り取った力作を大画面で楽しめます。
2015年7月14日(火)〜20日(月) | 東京都・中央区:銀座 ソニービル8F コミュニケーションゾーンOPUS |
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2015年8月11日(火)〜16日(日) | 広島県・福山市:ふくやま美術館 |
2015年9月10日(木)〜15日(火) | 福岡県・北九州市:朝日さんさん広場 |
2015年9月21日(月)〜25日(金) | 宮城県・仙台市:東京エレクトロンホール宮城 |
2015年10月2日(金)〜12日(月) | 大阪府・大阪市:ヒルトンプラザ イースト1F アトリウム |
2015年10月17日(土)〜29日(木) | 青森県・上北郡:七戸町立鷹山宇一記念美術館 |
2015年11月4日(水)〜8日(日) | 北海道・札幌市:札幌市教育文化会館ギャラリー |
2015年11月16日(月)〜24日(火) | 新潟県・柏崎市:ソフィアセンター(柏崎市立図書館) |
2015年11月27日(金)〜12月10日(木) | 福島県・南相馬市:野馬追通り銘醸館 |
2015年12月14日(月)〜23日(水) | 兵庫県・神崎郡:ぎゃらりー&喫茶やまだ |
2015年12月25日(金)〜27日(日) | 三重県・四日市市:四日市市文化会館 |
2016年1月9日(土)〜17日(日) | 愛知県・名古屋市:ノリタケの森ぎゃらりー |
2016年1月29日(金)〜31日(日) | 徳島県・徳島市:シビックセンター3F ギャラリー |
2016年2月16日(火)〜21日(日) | 広島県・広島市:広島県立美術館 |
2016年2月29日(月)〜3月6日(日) | 茨城県・水戸市:茨城県立文化センター |
2016年3月17日(木)〜21日(月) | 静岡県・沼津市:プラサヴェルデ |
2016年4月1日(金)〜6日(水) | 群馬県・高崎市:高崎市シティギャラリー |
2016年4月8日(金)〜24日(日) | 栃木県・塩谷郡:高根沢町歴史民俗資料館 |
2016年4月29日(金)〜5月5日(木) | 長野県・佐久市:長野県佐久創造館 |
2016年5月24日(火)〜29日(日) | 岡山県・井原市:アクティブライフ井原「ふれあいプラザ」 |
2016年6月11日(土)〜7月18日(月) | 新潟県・新潟市:水の駅「ビュー福島潟」 |
2016年8月23日(火)〜8月28日(日) | 石川県・金沢市:金沢21世紀美術館市民ギャラリー |
※ 本ページに掲載している情報は2015年7月16日現在の情報であり、予告なく変更される場合がございます