SONY

α7R II OPENED A NEW FIELD

Airplane

私は新しいカメラを手にするたびに、まずはそのカメラの力を発揮できるようなシーンをいくつか思い浮かべ、
写真として定着していきます。撮影を進めていくうちに、そのカメラに秘めたるポテンシャルを探っていくわけです。
「R」のときに感じたのは、圧倒的な解像感でした。
とくに空港での夜景撮影では、機体の細かい部分まで解像しているのに驚いたものでした。
「R」の画作りはすでに完成型に近いものと考えており、「R」の後継機で劇的な画質差をあまり期待していませんでした。
この“α7R II”を使うまでは。
「RII」で 同じシーンを撮影してみると、主役の飛行機は単に解像感が高く写っているだけでなく、
空港の照明を浴びた機体の曲線が醸し出す独特の質感が、見た目以上に描写されていました。
さらに背景の東京の夜景は、林立するビル群が潰れることなく美しく表現されていました。
画作りが、驚くほどに上手いとでも言えば良いのでしょうか。
シャッターを切ったときの感動が、新鮮によみがえってくるようなこの画力。
「RII」の存在意義は、撮れた写真を見れば判るほど端的かつ明快なものでした。

中野 耕志
航空写真家

中野 耕志氏 Koji Nakano

1972年生まれ。東京農業大学農学部林学科卒業。主に野鳥や飛行機の撮影を得意とし、雑誌やカレンダー、広告などに作品を発表する。「Jetscape〜飛行機のある風景」と、「Birdscape〜鳥のいる風景」を2大テーマに国内外を飛び回る。近刊に「F-14TOMCAT」(ソフトバンククリエイティブ)、「野鳥の撮影テクニック」(誠文堂新光社)などがある。

素性の良いセンサーと画づくりによる高い質感描写

イメージセンサーの総合力を高めなければ
質感は表現できない

宮下:高感度での撮影でしっかり質感を表現するためには、まずイメージセンサーの素性が良いことが大前提になります。そもそも元となる光の情報が残っていなければ、例えば地面の凹凸などの微妙な質感も再現できません。α7R IIは裏面照射型のセンサーを採用しているので、従来のフルサイズセンサーよりも光を集めることに優れており、ベースとなる光の情報量が格段に多い。そうしたイメージセンサーの特性を生かして、高感度側でも高いS/N比を維持しようというのが我々の目標でした。最終的には、画素サイズが縮小しているにも関わらず集光率を大幅に向上させることに成功し、感度も拡張ISO102400まで実現しました。

また、光を多く集めるだけでなく、センサー内で光を電気信号に変換する際に発生するノイズを抑えることも必要です。何度も試行錯誤しながら回路構成を最適化し、イメージセンサー自体のノイズをどんどん減らしていきました。結果、高感度域でもS/N比をしっかり確保でき、ノイズに埋もれることなく細かい描写の再現が可能になりました。ノイズリダクションをかけるにしても控えめにすることも可能になるためより自然な画になります。このように解像感と高感度描写の両立はイメージセンサーの総合力で実現しているものなので、単に裏面照射型にすれば可能というものではないのです。

イメージセンサー開発担当 宮下

ノイズの粒状感をあえて出すことで
自然な画づくりにする

町谷:画づくりに関しても、今回のイメージセンサーに合わせて変えています。単純にノイズリダクションを強くして見かけだけのS/N比を改善したり、解像度を伸ばそうとしてエッジを強調しても、やはりどこか人工的で不自然な映像になってしまいます。そうならないために、シーンによってはあえてノイズを残すことをしています。ノイズの粒状感を出すことで人工的ではない自然な画づくりを目指してチューニングしています。こうした画づくりは実際に撮ってみなければ分からないので、風景、ポートレート、スポーツなどさまざまな撮影シーンでフィールドテストを繰り返しチューニングを重ねてきました。センサー開発と画づくりについては、高感度域でも低感度域でも質感を残すことを開発当初から目標として掲げてきたので、中野先生にα7R IIの質感描写をコメントいただけたのは非常にうれしいですね。

だれも体験したことのない
写真表現を可能にするのがα7R II

町谷:α7R IIは、何かを優先して何かを諦めるということを一切やめ、写真表現に必要なあらゆるパラメーターを妥協することなく解像感を高めたカメラだと自負しております。プロジェクトは新しいチャレンジの連続で、正直最初から最後まですべてが山場でした。これだけの性能を盛り込めば普通はボディサイズが大きくなったりするものですが、α7R IIもなんとか小型・軽量を貫き通すことができました。新しいイメージセンサーも開発し、技術のブレークスルーがあり、さらには感応的な部分でレベルを引き上げていくなど、まさに総力を結集して一つ一つのハードルを乗り越えながら作り上げました。だれも体験したことのない写真表現を可能にするのがα7R IIというカメラだと思いますので、ぜひオーナーの皆様には存分に楽しんでいただけたらと思います。

プロジェクトリーダー 町谷