SONY

Owner’s Information

サイバーショットで楽しむ秋

気軽に「芸術の秋」を楽しもう!
カメラ片手に出かけたい
絵になる紅葉スポット10選

今年の秋は「芸術の秋」を気軽に楽しんでみませんか。まっさきに思いつくのはやはり美術館めぐり。素敵な作品の数々を鑑賞すると、普段は得られない刺激をもたらしてくれます。でも、芸術作品を見るだけじゃなくて自分でも何か創作してみたい。そんな方におすすめなのが写真です。

 そこで今回、「絵になる紅葉スポット」というテーマで写真家の福田健太郎さんにおすすめの撮影スポットを教えてもらいました。紅葉狩りを楽しむついでに美しい紅葉を自分なりに写真で表現して、家族や友人と見せ合いながら芸術の秋を楽しんでみてはいかがでしょうか。

紅葉をモチーフにした表現、
そのはじまりは平安時代

「もののあはれ」を詠んだ平安時代の和歌

そもそも「紅葉」が絵画や文学などのモチーフとして扱われるようになったのは、いつ頃からか知っていますか。古くは奈良時代、日本最古の和歌集「万葉集」には、すでに「もみじ」を題材にした歌が収められています。しかし、日本独自の美意識が育まれ、紅葉を愛でる文化がより深まったのは平安時代です。貴族たちの間では「紅葉狩り」の風習が広がり、古今和歌集にも「紅葉」を詠んだ歌が多く存在します。

 鮮やかに染まり、やがては枯れ落ちていく様に、移ろいゆくもののはかなさや無常を感じ、人生を重ね合わせる。そんなしみじみとした情趣や哀愁を表す「もののあはれ」という美的理念を広めたのは、紫式部の「源氏物語」だと言われています。以来、日本人は文学をはじめ、工芸品の文様や絵巻、そして絵画など、紅葉をモチーフに多くの芸術作品を生み出してきました。

紅葉狩りが庶民に広まった
江戸時代の名作

江戸時代になると、紅葉狩りが庶民の行楽として広がります。大きく貢献したのは、八代将軍徳川吉宗。飛鳥山に桜を植樹し花見の文化を江戸庶民に広めたことは知られていますが、実は桜とともにカエデも一緒に植樹しており、飛鳥山から滝野川一帯を紅葉の名所にしたのです。

 江戸時代の浮世絵の巨匠、歌川広重の代表作「名所江戸百景」にも紅葉を題材とした風景が存在します。近景と遠景を巧みに取り入れ、俯瞰や鳥瞰なども駆使し、斬新な構図で描かれた名所江戸百景は、当時の人々を魅了しベストセラーになりました。

歌川広重「名所江戸百景」

王子瀧の川(左)、真間の紅葉手古那の社継はし(右)

近代日本画を代表する横山大観の傑作

近代を代表する紅葉を題材とした絵画としては、日本画家の巨匠横山大観が描いた屏風絵「紅葉」が有名です。はかなさ、わびしさを感じさせる紅葉作品が多いなかで、横山大観のこの作品はまさに絢爛豪華。鮮やかな色彩は、見るものを圧倒します。

横山大観「紅葉」

(昭和6年) 足立美術館(島根県安来市)所蔵 “真紅の紅葉に、群青の流水と白金泥の漣を加え、秋の清冽な自然を描き出している。単なる装飾画に終わらず、張り詰めた気品を画面いっぱいに保持しているのは、大観ならでは。大観作品の中でも、最も絢爛豪華な趣を持つ一作。” 足立美術館

もちろん、紅葉を描いた傑作はまだまだ多く存在します。この時期は美術館などでも紅葉作品を特集していることが多いので、お気に入りの作品を見つけるのもいいですね。また、名作と呼ばれる絵画の構図を写真に取り入れてみるのもおもしろいかもしれません。

いざ紅葉スポットへ。
全国の絵になる名所を紹介

バスなどで気軽に行ける名所から、本格的な登山をたのしむ場所まで、全国各地の紅葉スポットを写真家の福田健太郎さんに選んでもらいました。ぜひ参考にしてみてください。

風景写真家 福田健太郎 氏(コメント・撮影)

1973年、埼玉県生まれ。写真学校卒業後、写真家・竹内敏信氏のアシスタントを経てフリーとなり、日本列島に残された自然の姿を撮り続けている。

「原生林に囲まれた静かな沼。
岸辺が鮮やかな秋色に染まる」

01:オンネトー(北海道足寄町)
見ごろ:10月上旬〜10月下旬

オンネトーはアイヌ語で「年老いた沼」「大きな沼」という意味。阿寒国立公園内にある小さな湖で、時間や季節によって色が変わることから「五色沼」とも呼ばれています。周囲を原生林に囲まれ、刻々と移り変わる色とともに湖面に映る紅葉が神秘的な風景を作り出します。

1/50秒 F8 ISO200

「広大なブナの森が広がる。
標高差を生かして旬の紅葉に出会おう」

02:八幡平(岩手県・秋田県)
見ごろ:9月下旬〜10月上旬

岩手県と秋田県にまたがる奥羽山脈北部の山群。紅葉スポットは複数あり、ドライブをしながら楽しめる八幡平アスピーテラインや、ブナなどの広葉樹が広がる八幡平樹海ラインの紅葉などが人気。トレッキングもおすすめ。雄大な岩手山の山容をバックに、全山が見事な紅葉に覆われます。

1/125秒 F8 ISO100

「車の中から手軽に
錦秋に彩られる山々を眺められる」

03:甲子道路(福島県西郷村・下郷村)
見ごろ:10月下旬〜11月上旬

福島県の西郷村から下郷村を結び、甲子高原(かしこうげん)を通る甲子道路(国道289号)には随所の紅葉スポットが存在します。特に有名なのは「雪割橋」。雪割の名は一面銀世界となる冬景色を割るように阿武隈川が流れていることに由来しますが、周囲見渡すかぎりの山々が一斉に染まる紅葉の名所としても知られています。

1/80秒 F9 ISO200

「もみじ谷の紅葉風景は圧巻。
秋の風情をたっぷり感じることができる」

04:弥彦公園もみじ谷(新潟県)
見ごろ:10月下旬〜11月中旬

日本の風情を感じられる場所として名高い新潟県の弥彦公園。JR弥彦線「弥彦駅」から徒歩1分とアクセスも良く、16万平方メートルにおよぶ広大な園内では滝や渓流とともに、四季折々の花が楽しめます。なかでも、もみじ谷と観月橋は全国でも有数の紅葉スポット。ライトアップもされ、夜の美しい紅葉風景も楽しめます。

0.5秒 F9 ISO100

「園内にモミジ多数あり。
池に映り込む紅葉の風景が美しい」

05:小石川後楽園(東京都)
見ごろ:11月下旬〜12月上旬

国の特別史跡および特別名勝に指定されている小石川後楽園は、もともと水戸徳川家の江戸上屋敷内につくられた庭園。池を中心とした「回遊式築山泉水庭園」になっており、随所に中国の名所の名前をつけた景観が配されています。秋には園内各所に植えられた480本ものもみじが一斉に色づき、見事な紅葉風景を堪能できます。

1.3秒 F14 ISO100

「遊歩道が整備され、ゆっくりと渓谷を散策しながら紅葉を楽しめる」

06:御岳渓谷(東京都)
見ごろ:11月中旬〜11月下旬

多摩川上流に位置する御岳渓谷は、東京とは思えないほど美しい紅葉スポット。日本名水百選にも選ばれる清流と、両岸を覆うモミジやイチョウが織りなす絶景を見に、日本全国から人が訪れます。JR御嶽駅からすぐと交通アクセスにも優れており、気軽に紅葉狩りができます。

1/30秒 F11 ISO100

「シャトルバスを利用して、
気軽に高山の紅葉を愛でられる」

07:乗鞍岳(長野県)
見ごろ:9月下旬〜10月上旬

乗鞍岳は剣ヶ峰を主峰とする山々の総称。標高2702mの畳平まではシャトルバスが出ており、ナナカマドや黄色いダケカンバなどの高山の紅葉風景を気軽に楽しめます。10月ごろに山頂に初冠雪があると、白い雪と、鮮やかな紅葉、そして針葉樹の緑の三段紅葉が見られるチャンスも。

1/60秒 F14 ISO200

「全山紅葉の風景と、
合掌造りの山里風景が堪能できる」

08:五箇山周辺(富山県南砺市)
見ごろ:10月下旬〜11月上旬

1995年に「白川郷・五箇山の合掌造り集落」として世界遺産に登録されたことでも有名な五箇山周辺。赤や黄に染まった山々を背景に茅葺屋根の合掌造りの家屋が建ち並ぶ美しい里山風景を楽しめます。山肌の紅葉、山頂付近の雪、清々しい青空が一枚に収まる五箇山の「三段染め」は、ぜひ一度は観てみたい絶景と言えます。

1/30秒 F8 ISO100

「山谷を彩る紅葉スポット。
周辺地域も巡る計画を立てたい」

09:天川村(奈良県)
見ごろ:10月下旬〜11月中旬

奈良県の天川村のみたらい渓谷は、大小さまざまな滝と巨岩、そしてエメラルドグリーンの清流と、鮮やかな紅葉のコントラストが美しい絶景スポット。遊歩道にあるつり橋から眺めるダイナミックな紅葉風景は、近畿随一といわれるほど。「天の川もみじまつり」なども開催されています。

1/30秒 F14 ISO200

「黄葉の終わり、絨毯のように敷き詰められた風景も見事」

10:垂水千本イチョウ園(鹿児島県垂水市)
見ごろ:11月下旬〜12月上旬

その名の通り園内には千本以上のイチョウが植えられている「垂水千本イチョウ園」。シーズンを迎えれば、辺りが黄一色に染まります。園主夫妻が二人三脚で山を開墾し、30年以上の歳月をかけてつくりあげたという「黄金の楽園」。映画のワンシーンのような光景は、「鹿児島景観大賞」を受賞しています。

1/10秒 F16 ISO100

南北に長い日本は紅葉シーズンも長く楽しめます。大自然のなかの紅葉だけでなく、京都などに代表される日本庭園を彩る紅葉もまた趣があります。いろいろな紅葉に思いを巡らせながら、写真で芸術の秋を楽しみましょう。

次のページでは、簡単にキレイに撮れる紅葉撮影術を紹介。紅葉狩りに出かける前にポイントをおさえておきましょう。

すぐに役立つ!
知っておくとキレイに撮れる
紅葉写真の7つのポイント