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心をとらえるポートレート術

Vol.1 ファミリーポートレート編

心をとらえるポートレート術 Vol.1 ファミリーポートレート編

気軽にポートレートを
始めてみませんか

人物の印象的な表情を切り取るポートレート写真。
しかし、せっかく一眼カメラを手にしたのに、
思ったような作品がなかなか撮れないとお悩みの方も多いのではないでしょうか。
そこで、手軽に楽しめるポートレート撮影のヒントを
写真家 菅原ヒロシ氏にお聞きしました。人物撮影の際に、ぜひ参考にしてください。

1 ポートレートって
なんだろう?

“ポートレート写真は、その人との
二度と戻らない時間そのもの”

α65, Vario-Sonnar T* 24-70mm F2.8 ZA SSM II, 24mm, F2.8, 1/500秒, ISO100

α65, Vario-Sonnar T* 24-70mm F2.8 ZA SSM II, 24mm, F2.8, 1/500秒, ISO100 

カメラを“時間を切り取ることができる道具”と例えるなら、人と向き合って撮影された写真は「その人とそこにいた時間」そのものであると言えます。家族や友人との思い出の時間や、初めてその人に出会った瞬間に再び戻ることはできませんが、写真を見ればその人と過ごした時間を思い出させてくれる。それがポートレート写真なのではないでしょうか。

“構図やテクニックよりも
大切なのは
一期一会を切り取ること”

α7R II, Distagon T* FE 35mm F1.4 ZA, 35mm, F1.4, 1/250秒, ISO100

α7R II, Distagon T* FE 35mm F1.4 ZA,
 35mm, F1.4, 1/250秒, ISO100

上の写真は、タイのリペ島を訪れたときに出会った、ろうけつ染めのアーティストです。いつでも笑顔で語って、歌って、楽しむことが得意な彼の人柄に惹かれて撮影しました。この写真を見ると、彼との会話や過ごした時間が鮮明に思い出せます。すべては一期一会。ポートレートを撮るのに特別な機材やテクニックは必要ありません。難しく考えずに、みなさんもその人とのかけがえのない時間を写真に残してみましょう。

2 いい表情を引き出す
“心”のつかみ方

“その人の魅力を見つけることが
最初の一歩”

α7R II, Distagon T* FE 35mm F1.4 ZA, 35mm, F2.8, 1/100秒, ISO125

α7R II, Distagon T* FE 35mm F1.4 ZA, 35mm, F2.8, 1/100秒, ISO125

ポートレートは、撮る側も、撮られる側も“人”。相手とのコミュニケーションが欠かせません。例えば、すてきな笑顔の写真が撮りたいな、と思っても、自然な笑顔を引き出すのは難しいものです。相手の笑顔を引き出すには、まずは自分が笑顔になることを心がけてください。それは相手が家族や友人でも、初めて会う人でも変わりません。撮る立場である自分の方から心を開いて会話してみましょう。

コミュニケーションが苦手な方は、撮影に入る前に相手の魅力を見つけることから始めてみてください。自分よりも相手に意識を向けて、素直に魅力を感じたところを伝えてあげれば会話のきっかけにもなるはずです。そうして少しずつその場の空気をあたためられると、撮影でも自然な笑顔を引き出しやすくなります。

家族や友人など
親しい人を撮る場合

“その場にカメラがある状況を
日常にしよう”

α7R II, Distagon T* FE 35mm F1.4 ZA, 35mm, F5.6, 1/100秒, ISO800

α7R II, Distagon T* FE 35mm F1.4 ZA, 35mm, F5.6, 1/100秒, ISO800

家族や友人の自然な表情を捉えるポイントは、その場に流れる空気を壊さずに撮影すること。たとえ家族であっても突然カメラを構えられれば身構えてしまうもの。それを解決するには、カメラに慣れてもらうのが一番です。そこで、家族や友人にとってカメラの存在が日常となるよう、いつでも持ち歩いて撮影しましょう。また、いい瞬間だけを狙い撃ちするのではなく、そこで過ごした時間を記録するように何枚も撮影して後からベストショットを選ぶ方が、雰囲気のある写真を残せます。

α7R II, LA-EA3, Sonnar T* 135mm F1.8 ZA, 135mm, F2.5, 1/400秒, ISO200

α7R II, LA-EA3, Sonnar T* 135mm F1.8 ZA, 135mm, F2.5, 1/400秒, ISO200

子どもを撮るときは、しゃがんで同じ目線で撮影するのが基本です。立ったままだと上から見下ろす格好となり威圧感から相手を委縮させてしまいかねません。また、小さなお子さんなら、おもちゃを使ってこちらに興味をひくのも効果的ですが、視線はおもちゃにいきがちです。同じ目線になって、話しかけたり一緒に遊んだりしながら撮影した方が、正面から自然な笑顔を捉えられます。

モデルなど初対面の
人を撮る場合

“相手とチームになって
作品をつくる意識で”

α99, Sonnar T* 135mm F1.8 ZA, 135mm, F3.2, 1/800秒, ISO400

α99, Sonnar T* 135mm F1.8 ZA,
 135mm, F3.2, 1/800秒, ISO400

初めて会う方を撮る場合は、いきなり撮影に入らず、会話して相手を知ることから始めましょう。例えば出身地を聞くなど、お互いの共通点が見つかれば自然と打ち解けてきます。何を話せばいいか分からないときは、今日自分がどんな写真を撮りたいかを伝えるのがおすすめ。撮られる側としても自分に何が求められているかが分かり安心します。撮る人と撮られる人がひとつのチームになって作品をつくろうという意識を共有できれば、撮影のための雰囲気が自然とできてきます。

α7R III, Planar T* FE 50mm F1.4 ZA, 50mm, F5.6, 1/125秒, ISO100

α7R III, Planar T* FE 50mm F1.4 ZA,
 50mm, F5.6, 1/125秒, ISO100

撮影中も、ポーズをこうしてほしいなど常にコミュニケーションをとりましょう。時には、ファインダーを覗くのを止め、相手の目を見て会話をしながら撮影すると、自然な表情を引き出しやすいです。撮影の合間では、どんな風に撮れているかを液晶モニターで見せてあげれば、相手も安心し、チームとしての一体感も高まります。

お持ちのαで撮ってみよう

お持ちのαで撮ってみよう

お持ちのαや標準ズームレンズでも、ちょっとした
工夫で簡単に印象的な人物写真を撮れます。
ぜひ試してみてください。

α6000, E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS, 35mm, F5.6, 1/20秒, ISO800

α6000, E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS, 35mm, F5.6, 1/20秒, ISO800

この作品は、α6000と標準ズームレンズE PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSSで撮影。何気ないシーンですが、ソファの背もたれを利用して前ぼけを取り入れることで被写体が際立ち、雰囲気のある写真に仕上がります。このように標準ズームレンズでも、構図を工夫することで印象的なポートレートが撮れます。

被写体を際立たせる
背景ぼかしをマスターしよう

記念写真のような撮影からのステップアップとして、最初に覚えたいのが背景をぼかすテクニック。背景を大きくぼかすことでメインの被写体をより際立たせることができます。

レンズは一番望遠側に

レンズのズームリングやズームレバーを操作して一番望遠側に設定

ズームリングで望遠側に ※画像はE PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSSの場合

F値を一番小さく

撮影モードをA(絞り優先)モードに設定し、F値を一番小さい値に設定

撮影モードをA(絞り優先)モードに
F値を一番小さい値に

被写体に近く、背景は遠く

カメラと被写体の距離はできるだけ近く、被写体と背景の距離は遠くになるようなポジションで撮影。ただしレンズによって最短撮影距離が決まっているため、被写体に近づき過ぎるとピントが合わなくなるので注意が必要です。

被写体が遠いと背景があまりぼけない 焦点距離55mm
被写体が遠いと背景があまりぼけない
被写体に近づくと背景が大きくぼける 焦点距離55mm
被写体に近づくと背景が大きくぼける

F値の小さい単焦点レンズを
使ってみよう

一眼カメラの醍醐味はやはりレンズ交換。ステップアップでレンズ選びに悩まれている方は、レンズの明るさを表す「F値(えふち)」に注目してみましょう。F値は数値が小さいほど明るく撮れるレンズと言えます。また、F値の小さい単焦点レンズを使えば、よりきれいにぼかすことができ、標準ズームレンズでは難しかった表現も楽しめます。例えば下の単焦点レンズは、開放F値1.8と明るいため、美しいぼけ表現だけでなく、室内などの暗いシーンでもISO感度を上げ過ぎることなくきれいに撮影できます。

α6000, E 50mm F1.8 OSS, 50mm, F1.8, 1/200秒, ISO200

α6000, E 50mm F1.8 OSS, 50mm, F1.8, 1/200秒, ISO200

α7R III, FE 50mm F1.8, 50mm, F1.8, 1/60秒, ISO400

α7R III, FE 50mm F1.8, 50mm, F1.8, 1/60秒, ISO400

3 自分好みに
カスタマイズしよう

カメラは撮るための道具。撮影スタイルに合わせてカスタマイズすれば即時性も高まり、いい表情を逃しにくくなります。αには人物撮影に役立つ機能も搭載しているので、自分好みにより使いやすく設定してみましょう。

カスタマイズの仕方

ステップ❶

カスタムキー設定

➀[MENU]ボタンから[カスタムキー設定]を選択

ステップ❷

機能の割り当て

➁カスタマイズ可能なボタンのリストが表示されるので、設定したいボタンを選択

※機能の割り当て可能なボタンは機種によって異なります

ステップ❸

割り当てたい機能を選択

➂機能リストから割り当てたい機能を選択して設定完了

おすすめの機能

瞳AF

瞳AF

ポートレート撮影の基本は瞳にピントを合わせること。「瞳AF」機能は、カメラが自動で瞳を検出してピントを合わせてくれます。ボタンを押している間だけ瞳AFが働くので、シーンによって素早く使いこなせます。

※一部の機種には搭載されていません

AFオン

AFオン

シャッターボタン半押しでピントを合わせていると、一瞬の表情を逃してしまうことも。それを防ぐのにおすすめなのが「親指AF」と呼ばれるテクニック。「AEL」ボタンなどに「AFオン」を割り当てることで、親指でAELボタンを押しながら常にAFが可能です。

※親指AFを使う場合「シャッター半押しAF」は「切」に設定しておきましょう

サイレント撮影

サイレント撮影

カメラを意識させず自然な表情を捉えるのに有効な「サイレント撮影」機能。シャッター音がしないため、夢中でなにかに取り組む真剣な表情や、発表会などの静粛性が求められるシーンで活躍します。

※一部の機種には搭載されていません

4 ポートレートを学びたい方に
おすすめ

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美しく撮るテクニックを
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