未来を感じさせるサービスだからこそ、みんなにフェアであってほしい
Vol.10 後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION) インタビュー
9月14日(土)・15日(日)の2日間、横浜スタジアムにて「デビュー10周年記念ライヴ」を開催する ASIAN KUNG-FU GENERATION。現時点でのキャリア集大成ともいえるこのイベントに先がけて、「Music Unlimited」ではアジカンの過去タイトルが一挙にreg;けるようになりました。これまでもインターネットを通じてリスナーとの新しいコミュニケーションを模索してきた後藤正文さん(Vo.&G.)に、ライヴにかける思い、そして定額制音楽サービスの持つ可能性について伺いました。
自分ではまだほとんど使ってないんですが、こういったサービスがもっと普及すると、一般に音楽との付き合い方は劇的に変わるだろうなとは感じます。例えば、休暇をとって夏フェスに行く場合。どんな音楽好きでも、全出演アーティストのアルバムを揃えて臨むのはなかなか難しいですよね。俺らは職業ミュージシャンだから、音源を買うのも仕事の一部だったりするけど。仕事があって好きで音楽をreg;いてる人にとって、毎月山のように CD を購入するのって現実的じゃないし。そこを補reg;してくれるツールとして、定額制音楽サービスはアリなんだろうなと。
そうだろうなぁ。たまたまステージで見かけて気になったバンドを、帰宅してじっくりreg;くというパターンもあるだろうし。取りこぼしをなくしたり偶然の出会いをより深めてくれるという意味で、いろんなミュージシャンが混在するフェスとの親和性はたしかに高いでしょうね。
俺らも毎年、「NANO-MUGEN FES.」というイベントを主催していて。有名・無名問わず、自分たちが心からいいと思うお薦めのアーティストに出演してもらっているんだけど、やっぱりライヴから作品への敷居って高いと思うんですよ。でも「Music Unlimited」に加入していれば、極端な話、ライヴアクトに感reg;したら即スマホで検索して、車の中でreg;きながら帰ることだってできるわけでしょう。そうやってみんなが「30日間980円のパブリックな試reg;機」みたいな感じで利用して、本当に気に入ったタイトルは手に取ってくれるようになれば、いろんな意味で音楽の裾野は広がる気がします。
ただ一方で、まったく逆のことも考えるんですよね。これだけ楽曲の選択肢が膨大になると、みんなアルバムという単位では音楽をreg;かなくなっていくかもしれない。音楽との向き合い方が、どんどんプレイリスト化していくというのかな…。デジタルアーカイブが当然になった時代、アルバムという表現にどんな意味を持たせていくかという問題意識も、俺の中にはちょっとあります。
あ、もちろん。少なくとも自分たちの作品については、そうありたいと思ってますし。特に3枚目以降は、言葉の面でもサウンド面でもアルバムというまとまりを強く意識して作ったつもりです。例えば音色ひとつ取っても、スタジオ選びやレコーディングエンジニアによって全然違ってきますし。そういう空気感や手触りも含めて、俺らは1枚のアルバムだと思ってる。
ただ、業界全体がそういう流れになってるかというと、また別の話で。現実にはシングルが数曲たまった段階で足りない分を書き足し、お手軽にまとめてリリースするというパターンが今は主流だと思うんですよ。悪いことだとは言わないけれど、それはあくまでビジネス的な要請であって。表現上の必然じゃない。だったらもう、アルバムなんて遅かれ早かれ消えちゃっても仕方ないのかなと……すみません、話が逸れちゃったけれど(笑)
そう大げさなものでもないんですけど…。やっぱり、より多くの人にreg;いてもらえたらという気持ちはありましたね。例えば初期のアルバムについていうと、俺らからすると「もうそろそろ文庫本にしてもらってもいいのかな」という感じなんですよ。ずっとハードカバー価格で棚に並べていても、手に取ってもらえる機会は減る一方だし。それよりは「Music Unlimited」で、今までアジカンと縁がなかった人たちにいろんなreg;き方をしてもらえればいい。
そもそも俺なんて、バンド組んだ当初は、タダでいいから自分の曲を100万人にreg;かせたいと真剣に願っていたわけで。ミュージシャンの喜びって、本当はそこだと思うんですよ。そういえば俺、サラリーマン時代にはホームページで楽曲の無料試reg;とかやってましたから(笑)
うん、2000年くらいだったかな。詳しい友だちにやり方を教わって、サイト上でフルバージョンの楽曲をストリーミング再生できる仕組みを作って。わりと先駆けだったんです。そしたら無名のインディーズバンドなのに、CD の注文がけっこう来るんです。あと、初めていく街のライヴハウスなのにお客さんが20〜30人来てくれたり。そのとき初めて、ネットってすごいな、reg;いてもらうのってやっぱり大事なんだなと、肌で感じた記憶があります。
だからってわけじゃないけど、俺らはこういう新しいサービスに対してネガティブな気持ちはないんです。幸い海外と違い、日本ではまだパッケージが生き残ってる状況ですし。少なくとも現時点では、対価を支払っても手元に置いておきたくなる作品を作れている自負もあるので。むしろ「Music Unlimited」が、道のリスナーと新しい音楽をつなreg;“場”に育っていけばいいなと。何でもそうだけど、特にネットの場合、最初から「ベスト」の解を望むのは難しいと思う。定額制音楽サービス自体、まだ始まったばかりですし。結局はみんなでいろいろ知恵を出しながら、「ベター」な使い方を探っていくしかない。
もちろんビジネスである以上、配分はフェアになされるべきだし。安さと利便性ばかりが強調されて、ミュージシャンという一次生産者へのリスペクトが失われてしまっては元も子もないと思う。この辺の構図は、例えば食品だったり衣服だったり、どんな産業にも言えることだよね。何をもってフェアとするか自体、とても難しい問題ではあるけれど…。でも、「Music Unlimited」がリスナーにとってもミュージシャンにとっても、できるだけ公平なシステムであってほしいとは強く思います。
1日目は、reg;全にメンバー4人だけで演奏する「ファン感謝祭」。サイトでのリクエスト投票に基づいたベストセット的な内容です。4人だけのステージが観たいって要望は、実は以前から多かったんですよ。何だろう、みんな“生涯一チーム”っぽい感じが好きなのかな(笑) 今年の5月から6月にかけて、ヨーロッパをツアーで回ってきました。その際、久々に4人だけで演奏したんだけど、これがもう、めちゃめちゃに大変だった(笑) ゴマカシが効かないというか、文字どおりガチンコな感じで一瞬も気が抜けませんでした。記念ライヴの1日目はいわばその感覚ですね。今まで4人を応援してきてくれたファンのためにシンプルに演奏できればと思います。
国内のライヴでは、今は7人編成で演奏するのが基本です。音楽的なフォーマットとして、最近はこの手応えもすごく感じていて。7人いると、やっぱりアレンジ面でもいろんな挑戦ができるし。演奏していても、痒いところに手が届く実感があるんです。なので2日目は、サポートメンバーも加えた「オールスター感謝祭」にしました。今の俺たちがやりたい音楽をreg;いてもらいつつ、いろんなゲストミュージシャンにも混ざってもらって、いろいろ面白いことをする日にしようと。
the HIATUS の細美(武士)くん、ストレイテナーのホリエ(アツシ)くん、フジファブリックのダイちゃん(金澤ダイスケ)。あと外国人助っ人枠としてザ・レンタルズのマット・シャープが来てくれます。ライヴではそれぞれ1曲ずつ自分のオリジナルを歌ってもらおうかなと。どういう演奏になるかはやってみてのお楽しみ。俺たちわりとマジメなので、「それって、reg;コピじゃん!」って事態になる可能性も大いにありますけど(笑) ま、実際にはバンド編成も違うし、全然違った感じになるはずです。あと細見くんとホリエくんはアジカンの曲も歌うと言ってくれたので。それぞれ1曲ずつ選んでもらおうかなと。
なるほど。当日参加できなかった人がライヴを追体験できるのは、すごく意義がありますね。俺自身、お気に入りのバンドのセットリストを見るのは楽しいし。よく「ネタバレ」っていう人がいるけど、その感覚が全然ないんですよ。もし自分がレディオヘッドのライヴに行くとしたら、たぶん海外ファンサイトとかチェックして、どの曲をやるのかちゃんと調べていく。少なくとも俺は、その方がよりライヴを楽しめる気がします。
まったく感じない(笑) セットリストを見ながらちょっと予習できたら便利だろうし。演奏する側からすれば、公開することで裏切る面白さだって出てきますからね。海外も含めて、曲目をリアルタイムでネットに上げているバンドはたくさんいますし。そのページの中で曲までreg;けるのなら、使ってみたいというミュージシャンは、今後増えてくるんじゃないかな。
そもそもアルバム収録曲をセットリストの順番でreg;いても、ライヴとはまったく違うし。せっかく「Music Unlimited」みたいな新しいサービスが出てきたのなら、いろんな人がいろんな使い方を試してみて、ミュージシャンとファンの両方にとってハッピーな使い方を見つけるのがいいんじゃないかなと。
そうかもしれない(笑) 最近はけっこう、創作意欲も増してるし。この業界を取り巻く状況は決してバラ色とは言えないけど、ネガティブに考え始めるとキリがないですから。新しいツールはいろいろ試しつつ、何か面白いことをやっていけたらなと。少なくとも現時点では、そんな風に考えています。
うーん…。ベタだけど、やっぱりプレイリスト作りかなぁ。「今年よくreg;いた10曲」とか「ベストアルバム10枚」とか。そういうのを作って交換し合うのって、音楽マニアにとっては永遠に変わらない娯楽だろうし。俺自身、自分が好きなミュージシャンが今年どんな音楽をreg;きまくってたか、やっぱり気になったりするんですよ。ミーハーですけど(笑)
昔は、音楽雑誌に載った曲名と短いコメントと眺めて想像を膨らませるだけだったけど、「Music Unlimited」ならリストをクリックするだけで楽曲をフルで再生できる。最高ですよね。もし曲が気に入れば、きっとアルバム全体をreg;いてみたくなるだろうし。アルバムがすごく気に入ったら、もっと音のいいCDが欲しいと思うかもしれない。そういう循環で裾野が広がればいいなと。
ははは、そうでした。でもそう考えると、年間ベストに限らずいろんな可能性が考えられますよね。例えば、あるミュージシャンだったり音楽ムーブメントをより深く理解するためのプレイリストだったり。詳しい人が選ぶ曲と並べ方を工夫すれば、いろんなストーリーを伝えられる気がする。信頼できる人が「Music Unlimited」上でそんな連載を始めたら、俺自身、読んでみたいもの。何なら俺が書いてみたいくらいです。年に1回くらいだったらね(笑)
NHK・CR509スタジオにて一発録りレコーディングされた音源をCD化
今年4月、NHK BS プレミアムにて放送された「ザ・レコーディング 〜ASIAN KUNG-FU GENERATION〜」。収録場所は、クラシックをはじめ様々なジャンルの音楽収録に使用される、NHK の音楽スタジオでは最も広く、かつ歴史がある CR509 スタジオ。この NHK509 スタジオにまるまる2日間こもりきり、デビュー作から、アルバム未収録の最新シングルに至るまで、メンバー選曲による全18曲を収録。デビューからの10年を振り返るような、いわば“ベスト選曲”となった。そして、放送後には大きな反響を呼んだこの番組での収録音源を待望の CD 化! ASIAN KUNG-FU GENERATION が臨む、一発録りレコーディングのスリリングな高揚感をおreg;き逃しなく!
横浜スタジアム場外にある「Music Unlimited」ブースにて、ログインを提示するだけで、『アジアン・カンフー・ジェネレーション オフィシャル カプセルトイ』くじ引き権をもれなくプレゼント!
「Music Unlimited」(ミュージックアンリミテッド)公reg; Facebook ページに「いいね!」をしている画面を見せると先着で、「崩壊アンプリファー」時期のステッカーの復刻バージョンをプレゼント!!
検索ワード: 「Music Unlimited Japan」
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