AIBO History
耳や尻尾を製作したときのエピソード
ー耳ー
デザイン、見てくれはAIBOにとって命。
AIBO ERS-110/111のちょっとたれた左右の耳ができるまでには、実は数々の変遷と製作者たちの苦労があった。

AIBOのデザインをされたクリエイター空山基氏のこだわりのファーストスケッチによると、耳は、それぞれ異なるパーツのたくさんの組み合わせでできるとても凝ったデザインであった。
しかし、長い耳と複雑なパーツ構成は具現化が難しく、ここから、空山氏とメカ設計チームとの果てしないバトルが始まった。

プラスチック・パーツでやわらかに揺れる耳をいかに実現するのか?
固い素材で柔らかさを表現すること。
金属やプラスチックの塊で生き物としてのやわらかな動きを表現すること。
この一見矛盾したような空山氏の要求にメカ設計者達は悩んだ。
しかし、彼等のAIBOへの愛情は空山氏のこだわりにも負けじと大きかった。

空山氏とメカ設計チームの熱い討論や試行錯誤の末、ついに、ボディや手足と同じ素材でできた4つつのパーツをエラストマ(ゴムのような素材)で裏打ちした、あのゆらゆら揺れる耳が誕生したのである。

ー尻尾ー
時に誇らしげにピンと立っていたり、しゅんとした表情を見せたり、うれしそうにゆらゆら振ってみたりするERS-110/111の尻尾の動き。
実はAIBOをデザインした空山氏の「縦だけでなく、横にも振れる、感情に基づいて尻尾が上下するだけにとどまらずゆらっと曲がるようにしたい」といったイメージから生まれたもの。

この尻尾の実現にも、耳の設計に負けず劣らず、メカ設計チームの汗と苦労がたっぷりと染み込んでいる。 まず、尻尾を縦にも横にも振れるようにするために、なんとモーターを2個も使った。
また、動きの繊細さを表現するために、尻尾自体にメガネフレームや携帯電話のアンテナなどに使われている超弾性のワイヤーを採用。
横に尻尾が振れるときには、尻尾がたわむようにある程度の重量を尻尾の先にもたせてあげるのがミソ。

更に縦に振らせるためには、もっといろいろな工夫が凝らされているのだ。
AIBOの尻尾は水平状態からある角度まではまっすぐに上がる。
しかし、そこから上にあげるには、なんと2本のワイヤーを引っ張ることでゆるやかに尻尾が曲がるようになるなどなど。
よく動く部分だから、ワイヤーの耐久性にも配慮した。 犬や猫だけでなく、AIBOの尻尾も大変デリケートなのです。
尻尾は大事に扱いましょう。
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