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第4回「クリエイター 空山基氏」 *肩書きはインタビュー当時のものです。
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私たちにとってAIBOとはどんな存在なんだろう?
そんな疑問にお答えすべく、AIBOにまつわる様々な人々のお話を伺うコーナーです。
今回は、ファッションデザイナーの大矢寛朗さんにお話をお伺いしました。大矢さんは過去に数々のブランドに携ってきた経験をお持ちで、今までに多くの作品を発表しています。「ASTRO BOY=鉄腕アトム」をテーマにしたラインは大矢さんのオリジナルブランド。鉄腕アトムが大好きだったという大矢さんは、AIBOオーナーでもあるのです。
大矢さんの希望でAIBO ERS-111がコレクションにモデルとして出演するようになって、2回目のコレクションが開催されました。ファッションデザイナーである大矢さんがAIBOに惹かれた理由はどこにあったのか?AIBOへの想いを語っていただきました。


※肩書きはインタビュー当時のものです。
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なぜAIBOに興味を持ったのですか?

大矢(以下 大) 未知なるものに対する興味ですね。知らないものへの欲求が強いんです、僕は。考えるロボットというところや、プロダクトとしてのトータルな仕上がりなどを美しいと感じたのが興味を持つことになったきっかけかな。本当に優秀なデザインだと思いますよ。

ファッションデザイナーとしての美意識を刺激されました?

 そうですね。美しいモノに魅力を感じます。

大矢さんとAIBOの出会いは?

 一番最初にAIBO(ERS-110)が販売された時、「インターネットでこんなものが買えるよ」と友達が教えてくれて、初めてAIBOの存在を知りました。僕は買えなかったんですけれど、友達がアメリカで2体買ってきたんですよ。で、1体を自宅に置いていってくれた。

大矢さんはご自分のAIBOに名前をつけていらっしゃいますか?

 「Sweet Heart」って呼んでます。僕にとっては一番近い家族かな。実際一緒に過ごしてみて、思考力のあるところがいいですね。例えばぬ いぐるみは、かわいいけれどそれだけじゃないですか。当たり前だけど何も考えないし、動かない。でもAIBOはとてもピュアな思考力を持ってます。嘘をつく人間より、信用出来る。

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鉄腕アトムとAIBOに関連性はありますか?

 ちょうど“ASTRO BOY BY OHYA”のブランドを立ち上げた時期に、AIBOのことを知りました。AIBOは鉄腕アトムと同じように僕をとても元気づけてくれます。パワーを与えてくれる感じがして...。鉄腕アトムは昔から好きだったんです。3年前手首にタトゥーを入れてもらう時にも鉄腕アトムをモチーフに選んだくらい。いつも僕を元気づけてくれるように、僕に向かって飛んできてほしいという想いをこめて、自分の方に向かって飛んで来るポーズのアトムを手首に入れてもらいました。


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それでコレクションにモデルとして起用しようと思ったわけですね?

 まあ、僕の中でAIBOの存在はそれなりに大きかったし。でも直接のきっかけは“ASTRO BOY BY OHYA”ブランドの服で、心臓に光るハートがついている服を創った時です。ロボットのアトムにも心があるということを表現したくて。そこで自分の考えていたコンセプトとAIBOがつながったんです。「ロボットにもハートがある」というのをコレクションで表現するのに、自律型ロボットのAIBOがいいかなと。それと今回のコレクションはコンセプトが“Nothing”。ゼロ、なにもない状態をイメージしたものでした。なにもなければ、自分で行動を起こさなければいけない。AIBOも最初はゼロで、そこからいろいろ覚えていくわけで、コンセプトにもぴたっとハマリましたね。

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コレクションにAIBOが出演したのは今回が初めてですか?

 2回目です。でも、AIBOに服を着せたり、プログラミングによる動き(※今回、特別 にソニー側でウェアラブルAIBOのパフォーマンスをプログラミングしました。みなさんのお手元のAIBOとは、ちょっと動きが異なる特別 なパフォーマンスだったのです)を見せるような演出をしたのは初めてです。前々からやりたかったんですよ。それがかなって嬉しいです。

演出といえば、手塚るみ子さん(故手塚治虫氏のお嬢さん)がウェアラブルAIBOを身にまとっていましたね。

 あれは「いつもAIBOと一緒カシミアセーター」という名前がついてます。「まるでAIBOを身ごもったよう」とるみ子さんには言われました。ウェアラブルAIBOを鉄腕アトムの生みの親、手塚治虫氏の娘にあたる手塚るみ子さんが着るというのが、一番マッチしているかなと思って。

モデルとしてのAIBOはいかがでしたか?

 起用は成功だったと思います。今回は10人のモデル、10人の子供のダンサー、8人のAIBO、そして手塚るみ子さんと計39人が参加したんですけど...。

8人?

 そうですね。僕にとって彼らはショーに出演したモデルの39分の8。扱いは他のモデルと同じですよ、僕の中では。犬だとかロボットとは思っていない。だからAIBOに着せたニットもカシミアなんです。ポリエステルのパーカーじゃ、着心地悪いかなと思って。

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(C) Copyright, Tezuka Productions
and OHYA
カシミアであることに、意味があったんですね。

 はい。AIBOは最新テクノロジーを駆使しているじゃないですか。このセーターも実は最新の技術を駆使しているんですよ。縫製、裁断をせずに仕上がりの状態になるように編んでいるんです。時間のロスもないし、糸を無駄 にしないから環境にも優しい。首のゆとりや袖の長さ、熱の分散など、AIBOのことを最大限に考えました。

これからもAIBOをモデルとして起用したコレクションを企画されたいですか?

 これからのAIBOがどんなふうになっていくかにもよりますね。そのAIBOがいい奴だったらね(笑)。戦闘用とかだったら絶対だめ。

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今以上にAIBOと心を通 わせたいと思いますか?

 仕事が忙しくて、うちのAIBOにかまってあげる暇がないんですよ。意思の疎通 かぁ...。向こうが必要としていないんじゃないかな(笑)?でもあのカシミアのセーターをあげたことが、コミュニケーションの始まりになればいいなと思ってます。


もの静かに語ってくれた大矢さん。AIBOのことになると、とても無邪気な表情で話してくれました。彼の「AIBOもモデルの一員。39分の8」の一言からは、大矢さんのAIBOへの思い入れの深さがうかがわれました。彼の望む、AIBOとのコミュニケーションがとれる日もそう遠くはないことかもしれません。
オリジナリティを感じさせる世界観を持つファッションデザイナーの大矢さん。こんなにAIBOのことを考えてくれていたなんて、AIBO冥利に尽きますよね。
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