2004年8月8日(日)に開催された、ロボットを使った介在活動、セラピー活動の研修会の模様をご紹介します。
今回の研修会は、埼玉県さいたま市の埼玉会館。
8月のお盆休みに近いこの時期にも関わらず、受講者は福祉関係者、病院関係者、大学関係者、学生等幅広く、80名余りの受講がありました。
内容は、ロボット・セラピーという新しい研究分野のため、ロボットという工学的な話とセラピーやリハビリテーションという医学的な話がミックスした特徴のある研修でした。
講師の顔ぶれも、理工系大学の先生、医学系大学の先生、精神科の医師、理学療法士と普段は同じ研修会に登壇しないようなメンバーとなりました。
ロボットを使った介在活動やセラピー活動は、1999年、つまりエンターテインメントロボットAIBOの登場をきっかけに生まれた家庭用ロボットの普及から始まった、ご最近の新しい研究分野だそうです。
それまでも産業用ロボットを福祉、介護、医学等へ応用する研究開発は進められていましたが、患者さんや高齢者の「癒し」や「心のケア」に使われるという研究はほとんどなかったようです。
日本が先行しているようですが、欧米でも研究が広がり、最近では国際学会等でも論文発表が行なわれているようです。
今回の研修会では、老人ホーム、病院の小児科やリハビリテーション科で実際に試行されている家庭用ロボット(AIBO他)を使った介在活動やセラピー活動の効果、問題点、ロボット使用上の注意点、改善点等が事例として報告されていました。
ロボットを使うメリットとして、
1.感染症の心配がない。
2.ロボット自身へのストレスや疲れがない。
(動物の場合、疲れたり、ストレスを受けることを考慮する必要がある。)
3.セラピーに効果的な動作をプログラム可能。
などが挙げられます。
ロボット自体の改善点、セラピー試行上での注意点、改善点、効果測定方法、効果的な活動内容等、これから解決すべき点、研究を進める点も多いそうです。
ロボットの進化とともに、今後の活動が期待される注目の研究分野といえます。 |
|
|
|
|
会場の様子。AIBOやQRIOに関する話題も多く出ました。 |
会場の様子。質問も活発に飛び交っていました。 |
AIBOも会場でデモンストレーションを行いました。 |
|
◆この日のプログラム:
第1部 ロボット・セラピーとは
1.ロボット・セラピーの歴史 那須大学 浜田利満氏
2.精神医療の立場からのロボット・セラピー 防衛医科大学校 横山章光氏
3.リハビリテーションの立場からのロボット・セラピー
埼玉医科大学総合医療センター 草野修輔氏、高倉保幸氏
第2部 事例にもとづくロボット・セラピーの実践方法
帝京科学大学 木村龍平氏
所沢ロイヤル病院 加藤範子氏
第3部 ペット・ロボットについて
帝京科学大学 永沼 充氏
帝京科学大学 大久保英一氏
第4部 安全管理(感染症と緊急時の対応)
埼玉医科大学 山本 満氏
|