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導入事例 |
2007.9.18掲載 |
■学校法人立教学院 立教大学
現代心理学部 映像身体学科 様 [業種:教育]
「見る力」を養い、十数年後にも通用する知識を身につけるための有効なシステムとして、高輝度・高精細のデジタルシネマプロジェクターを選択 |
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お客様のニーズ・課題 |
映像身体学科の第1期生が30歳を迎える時代に活用できる知識を磨き、映像本来の美しさを「見る力」を養える、最先端のシステムが欲しい。 |
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導入効果 |
自作品を高精細大画面に投影し、HD映像を学生が肉眼で確認。大学施設の有効利用として、他学部にも考慮した各種映像と簡易な操作性も実現。 |
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導入背景 |
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映像身体学科が新設。十数年後を見据えたシステムが必要。 |
選定理由 |
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映像本来の美しさを理解するのに4K“SXRD”は最適。 |
システム内容 |
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他学部の利用も考慮し、各種映像と簡易な操作性に対応。 |
導入効果 |
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HD映像本来の画質を肉眼で確認。「見る力」をつけるには有意義。 |
今後の展望 |
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日本の映像文化の発展につながる活動をソニーに期待。 |
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立教大学 現代心理学部 映像身体学科 教授
佐藤 一彦様にお話を伺いました。 |
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映像身体学科が新設。十数年後を見据えたシステムが必要。
映像身体学科のある6号館
(写真提供:立教大学様)
2006年度より新たに「現代心理学部 映像身体学科」が新設されることになり、その前年に大学側から、映像身体学科のカリキュラムや映像系システムの機材選定について相談を受けました。私は長年、ドキュメンタリーなどのテレビ番組や各種映像作品のプロデュースを手がけており、映像や放送・映画系システムが、現在大きな変化の節目を迎えていることを理解していました。現在の最新映像システムを導入し、現在の映像業界について学んでも、学生が社会で活躍するころには時代遅れになっているであろうことは、容易に予測がつきました。そこで、映像身体学科の第1期生が卒業する2010年ではなく、彼らが30歳を迎える2018年頃を想定し、その時代でも通用する知識を身につけるための機材選択を行うことにしました。
映像本来の美しさを理解するのに4K“SXRD”は最適。
4K“SXRD”が設置された教室(写真提供:立教大学様)
映像身体学科は、エンジニアを育てるための学科ではありません。哲学や社会学、心理学、美術史など、映像と身体にかかわる理論や技法を総合的に身につけた表現者・アーティストを送り出し、次世代の映像文化を創ることが目的です。そのためには、学生に「見る力」をつけさせたいと考えました。現代の若者達は、映像について目が肥えていると思われがちですが、実はテレビやパソコンの小さな画面でしか映像に触れる機会がありません。映画館に頻繁に足を運ぶ学生はごく少数で、これでは「見る力」は養えないと、学部長とも意見が合致しました。
ソニーのデジタルシネマプロジェクターは、私自身が撮影した映像を何種類か用意し、何度もデモを繰り返して画質を確認しました。大学側から、4K対応プロジェクターはオーバースペックではないかという意見も出たのですが、他社の1.3K対応や2K対応のプロジェクターと比較すると格段に高精細であり、映像本来の美しさを学生に理解してもらうには最適であると判断し、導入を決定しました。
他学部の利用も考慮し、各種映像と簡易な操作性に対応。
2006年2月に、デジタルシネマプロジェクターSRX-R110を1台導入し、新座キャンパスの多機能複合棟内にある多目的教室に設置しています。約180席の多目的教室は他学部の授業でも利用されるため、4KやHD映像だけでなく、ビデオテープやパソコン画面、DVDなどのSD映像も投影できるように汎用性を高くし、システムに詳しくない教員など、誰もが簡単に使用できる操作性を実現しました。スクリーンサイズは230インチあり、ミニシアターと認識している他学部の学生もいるようです。
HD映像本来の画質を肉眼で確認。「見る力」をつけるには有意義。
230インチの大スクリーンで映像を投影(写真提供:立教大学様)
演壇横の操作卓(ワンタッチで切り替え可能
送出源
現在は、まだ4Kデジタル映像を手軽に撮影できる機材がありませんので、学生たちは授業の一環として、HD映像やSD映像などの過去の映像作品や、自分達がデジタルビデオカメラで撮ってきた映像を投影しています。SRX-R110ならば、HDデジタルビデオカメラで撮影した映像を圧縮なしで投影できますので、HD映像本来の画質を初めて自分の肉眼で確認し、驚いているようです。
また、高精細かつ大きな画面に投影すると、自作品の手ブレやボケなどの失敗が明確に分かります。小さい画面では気づかなかったり、ごまかせていた部分が浮き彫りになるのです。デジタルビデオカメラで無造作に撮ったものを230インチの大スクリーンで確認できるというのは、実はすごい体験であり、「見る力」を養うには非常に有意義です。
テレビや映画の制作会社でも、新人や若いディレクターが撮った映像を大画面・高画質で見ることはできません。ここでは1年生からそれが可能です。最初はただ自作品がスクリーンに投影されるだけで喜んでいた学生達も、次第に映像作品を創ることの難しさや大切さに気づいてきた様子です。操作卓にも工夫をこらし、誰もが簡単に使える操作性と、プロユースにも応える機能性を両立しました。
日本の映像文化の発展につながる活動をソニーに期待。
今後は、4K対応再生サーバの導入と高速ネットワーク環境の構築によって、4Kデジタル映像の再生環境を完成させる予定です。ネットワーク環境が整えば、他の大学とネットワークを通じたコンテンツのやりとりが可能となり、4Kデジタルコンテンツの教材が増えます。
ソニーさんには、日本の主要都市にデジタルシネマプロジェクターを活用した4K/ハイビジョンシアターの設置を希望します。テレビ業界で生きてきた人間として、私はハイビジョンが放送でしか使用されないことをずっと残念に思ってきました。各テレビ局や制作会社は、ハイビジョンコンテンツを数多く所有しています。しかし、本放送後に活用する場がないのです。欧州のように、大人が気負いなく立ち寄れるシアターを作り、そこでコンテンツを再利用することが、日本の映像文化の発展につながると思います。さらに、4Kデジタル映像の制作機材の開発も期待しています。