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正ちゃんの即効!カメラテクニック講座
ビデオ機材といってもいろいろありますが、初回は撮影にとって重要な記録メディア"ビデオテープ"を取り上げます。最近のビデオテープは記録情報を守るさまざまな工夫が施されていますが、扱い方次第では記録面の傷・変形・劣化やゴミの付着などでコンディションを崩し、記録・再生トラブルを招きかねません。
そこで、トラブルを防ぐことにもつながるビデオテープの特徴や扱い方のコツをご紹介します。
あれっ、映像の一部分が乱れている!
タクが3年前に撮影したテープ素材を利用するため、映像を確認しています。
大切な場面だったのに、映像が乱れていて困ったなあ。
ダメージを受けたテープ
(ドロップアウトの例)
正常な映像
【テープダメージの例】
●
スクラッチ傷
VTR固定ガイドに付着した磁性粉やゴミが原因で、テープ走行方向平行に付く傷。
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ヘッドスキャン傷
回転ヘッドとテープの間にはいりこんだ異物のためにスキャン方向に付く傷。
●
ニップシワ
ピンチローラーの硬質化などの劣化により、テープ走行の不具合が原因で発生するしわ。
ニップシワが発生したテープ
ニップシワ部分の磁化パターン
【テープダメージによる記録・再生トラブルの例】
●
ドロップアウト
テープ表面の付着物、傷、しわなどによりヘッドと記録面の空間距離が変化するなど、十分な磁界が確保できずに記録や再生ができなくなる現象。
●
ヘッドクロッグ
ヘッドギャップが詰まることで、出力が低下し、信号の書き込みや読み取りができなくなる現象。
ビデオテープは結構デリケートだから、きちんとした使い方や保管方法を教えておいたほうが良さそうだな。
テープ使用上の注意点
高温、熱
高温になるとテープは軟化し、その結果ヘッドとの接触が不均等になることで記録ミスや再生ミスというトラブルにつながる。したがって、高温になる場所、例えば車のダッシュボードや暖房器具の近くに置くことはよくないんだ。
結露
結露もまずいぞ。冬場に外から暖かい屋内に入ってすぐに撮影する場合は、カセットケースに露がついていなくても、ビデオテープの窓から内部を見て、結露がないことの確認が必要だな。
テープは熱や結露で、ヘッドドラムにテープが貼り付いてしまうんだ。その場合、貼り付きを起こした状態でテープを無理に取り出そうとすると、テープガイドの位置ずれやニップシワがテープに発生する。こうなると正常な記録・再生ができなくなる場合もあるんだよ。
結露が発生したテープによってドラムへの貼り付きが起きた状態
チリ・ホコリ・煙
編集室などテープを扱う場所はきれいにして、チリやホコリを出さないようにする。さらに、粘性のあるタバコの煙は無いことが望ましいな。チリやホコリはドロップアウトの大きな原因となるし、煙はカビの元になったり、ホコリをテープに付着させる"のり"の役目もするんだ。
途中巻き放置・保管
テープを途中巻きの状態で放置している場面を編集室ではよく見かけるが、これもテープにとっては良くない。その部分だけが、常にホコリなどを含んだ外気に触れることでダメージを受けるからだ。
業務用DVCAMテープケースの構造
正ちゃん先生、注意点は分かりました。ところで、僕が使っている業務用のDVCAMテープ(PDVシリーズ)のケースは、民生用のDVテープのものとだいぶ違うんですけれど、これも理由があるんですか?
よく気がついたね。
例えば、このDVCAMテープのケースは取材などで持ち運ぶときや、激しいショックがあってもしっかりテープを保護するようになっているんだ。それと、外部からのゴミやホコリも入りにくくなっているから、テープを持ち運ぶときは必ずこのケースに入れることだね。
それから、テープは必ず縦置きだぞ。横置きは良くないし、さかさまの横置きはもっと良くないぞ。テープの巻きがずれてエッジを傷つけてしまう可能性があるんだ。特に持ち運ぶ時は振動があるから要注意なんだ。
テープの保管
保管に関しても注意事項をここで教えておこう。
保管場所の近くに磁気、ホコリがないこと、ケースに入れること、温度が適温15〜25℃で湿度は適度40〜60%の条件下というのは一般的だよね。それから巻き途中での放置や保管は良くないんだ。
もう一つ、テープの巻き始めと終わりの部分はダメージを受けやすいから、DVCAMテープの場合は始めの1〜2分はカラーバーなどを記録するなどして、本番記録はその後からにしたほうがより安全だな。
クリーニングテープについて
正ちゃん先生、クリーニングテープってありますよね。これは、どのくらいの頻度で使うのがいいんですか?
およその目安だけれど、VTRのテープ走行時間が50時間程になったらクリーニングテープを使用する。走行はRECでもPLAYでもOKだよ。走行時間はクリーニングテープの使用方法に書かれているけれど、5秒間くらい。注意点は、一度走行したところは研磨性能が薄れているから終わりまで使ったら、巻き戻さずに交換すること。
正ちゃん先生、ありがとうございました。普段あまり気にしないでテープを使っていましたが、大切な映像が再生できなかった体験をしたので、とても勉強になりました。
テープは、貴重な映像が収められている大切なものです。適切に扱ってトラブルを回避するのがカメラマンの常識と心得ましょう。
HVR-V1J
HDVサイトはこちら
今回のカメラテクニック講座は初めての機材編でした。先生には内緒ですけれど、
放送・業務用レコーディングメディアサイト
に詳しく解説されていますので、そちらもご参照ください。
次回の講座は番外編で、HDVカムコーダー HVR-V1Jの実力をご紹介します。
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