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ディテール信号をマスターしよう(応用編)
正ちゃん 今回は、デイテール信号の応用編です。
ディテール信号の少し高度な使いこなしについて、勉強しましょう。

ディテールメニューは、奥が深そうです。

正ちゃん タク、ディテール信号のレベルと幅で画が大きく変わることは理解できたかな?
タク 僕なりに、ディテールをコントロールしてみて、以下のことがわかりました。

 (1) レベルを大きくすると、イメージが硬くなり、輝きも増す。
 (2) レベルを小さくすると、イメージがやわらかくなる。
 (3) 幅を太くすると、イメージが硬くなり、重い感じになる。
 (4) 幅を細くすると、透明感が増した感じになり、
       特に大画面映像で見たときに自然な感じになりやすい。
正ちゃん 人によって表現の仕方は違うけど、だいたいそんなところだね。
今回は、もっと、高度なディテール設定を経験してみよう。
タク
 
正ちゃん先生、XDCAM EXカムコーダーのピクチャープロファイルメニューにある、これらの項目ですよね・・・・・実は・・・・これらの言葉の意味がわからないので、その辺からお願いします。
正ちゃん それでは、まずはディテール信号には黒のディテールと白のディテールがあることを覚えよう。 下の画を見てみると、白の輪郭と黒の輪郭があるのがわかるはずだよ。

この黒と白のディテール信号はエッジを強調するものだけれど、それぞれ異なったイメージを作り出すんだ。 タクの手にしているカメラ(PMW-EX3)は、黒と白のディテールをそれぞれコントロールできるから、試してみよう。

ここでは勉強ということで、ディテールレベルを高めて幅も太くした状態で試すことにしよう。
 
 
(1) 黒のディテールのリミッターをつけていない(B.LIM-99)   (2) 黒のディテールのリミッターを強くかけている(B.LIM+99)
 
(3) 白のディテールのリミッターをつけていない(W.LIM-99)   (4) 白のディテールのリミッターを強くかけている(W.LIM+99)

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タク、上の画を良く見るとその違いがわかるはずだよ。
タク (1)は結果的に黒のディテールが強くついているんですよね。なんだか金属が黒ずんでるし、トマトがプラスチックみたいに見えますね。

(2)は黒のディテールがまったくついていない状態ですね。金属は輝いていて見えるし、なんだか肌が滑らかな質感になったような気がします。全体的にシャッキリ感が少なくなった気がします。

(3)は白のディテールが通常より多いんですよね。通常の映像に比べると少しイメージが明るい気がします。

(4)は白のディテールがほとんどついていない状態ですよね。金属の輝きがまったくなくなっていて、全体的に硬いイメージになっていますね。
正ちゃん タクの感じ方は、なかなかたいしたものだぞ。黒のディテールはエッジの強調。白のディテールは輝き強調と覚えてもいいかもしれないね。

次に、明るい部分の輪郭強調について勉強してみよう。

明るい部分は白つぶれを抑制するためにニーがかけられているんだ。簡単に言うと、明るいレベルの信号レベルはかなり小さくなっているんだ。だから、ディテール信号も小さくなってしまい、輪郭が薄くなってしまうんだ。それを補うのがKNEE APT(ニーアパチャー)だ。
ニーアパチャーが少ないと、明るい部分の輪郭がはっきりしないけど(5)、ニーアパチャーを多くつけると、明るい部分の輪郭がしっかりしてくるぞ(6)。
 
 
(5)(K.APT-99)   (6)(K.APT+99)

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タク にんにくの白い部分の筋や、ジャガイモの筋など違いがはっきりわかりますね。
正ちゃん 全体に明るい、たとえば雲の輪郭をしっかり出したり、雪のゲレンデを撮影するときなどは、このニーアパチャーを強めにつけると表現力が増すことがわかるよ。
正ちゃん 次はディテール信号(正確にはVDTL)の元になる信号を何にするかで、また表現に違いが出てくるんだ。

下の画はそれぞれ、(7)Y(明るさ)信号、(8)NAM(R,G,Bの信号成分のうち一番レベルの高い)信号、(9)G(グリーン成分だけ)信号、でディテールを作った場合のイメージだよ。違いがわかるかな。
 
 
(7) Y(明るさ)信号   (8) NAM(R,G,Bの信号成分のうち一番レベルの高い)信号
 
(9) G(グリーン成分だけ)信号   (10) G+R(グリーンとレッド信号をミックスした)信号

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タク (8)のNAM信号の場合は、全体が硬いですね。じゃがいものしわもしっかりついている気がします。また、青色が強いテーブルクロスがノイジーに見えます。
正ちゃん 通常はY信号を元に作ったディテールが使われることが多いよ。でも、青い照明を多用するような舞台で、しっかり輪郭を出したい場合はNAM、ノイズを抑えたい場合はG、ノイズを抑えてなおかつディテールのバランスも大切にしたい場合はG+Rなど、自分が作りたいイメージにあわせて選択するといいんだ。
正ちゃん 今回はすこし難しかったかもしれないけれど、このディテール信号を適度に設定することで、人の肌の質感だけじゃなく、さまざまな質感を作り上げることができるから、何度も何度も試して、その違いを使いこなすことができるようになることが肝心だよ。

それじゃ、ここで、タクに問題だ。
以下の条件で質感を豊かに出すためのディテール設定を考えてみなさい。

 
題材:
今日はブライダルの撮影です。白いウェディングドレスに品の良い宝飾品を身につけています。近くにはきれいな花束。お色直しは青のドレスです。この撮影映像は、披露宴で大型映像に映し出されます。

考え方は、イメージを言葉で表すところから初めるんだ。後は機能の特長を思い出して、当てはめていけばいい。
タク (・・・しばらく考えて)

ヴェールをかぶることも考えて、透明感がほしいですよね。まして大型映像に移すのですから、ディテールの幅は細くします。

口紅とか宝飾品の輝きはほしいですから、ディテールレベルは少し高めにして、肌の質感を出すために黒のディテールのリミッターを少し効かせぎみにして、青っぽい照明が使われやすい場所ですし、お色直しが青のドレスですから、ノイズを抑えることも考えて、ディテールの元信号をG+Rに選びます。

スポットがあたった場合のウェディングドレスや、新婦の表情を豊かにするためにニーアパチャーを少し強めたほうがいいですよね。
正ちゃん タク、だいぶわかってきたみたいだな。実際には、しっかりしたモニターを見ながら、自分の目を信じて経験をつむことが大切なんだ。今日はよく、がんばったな。
タク ディテールの奥深さが少しだけ判った気がします。
同じ被写体でもここまで違う表現ができるのにはびっくりしました。
まとめ
ディテールは画の硬さ/やわらかさ、透明感、シャッキリ感、肌の質感などの表現を変える力があるんだ。使いこなせば、豊かな表現力で映像を作り上げることができるから、何度も試すことが大切なんだ。

昨今のデジタルビデオカメラは設定がすぐに元に戻せるから、怖がらずに試すといいぞ。
正ちゃん
今回と前回でディテールの基本、応用について勉強しました。
次回は久しぶりに周辺機器の話をご紹介する予定です。
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