映像制作機材
カメラ機能活用集
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第10回 映像の暗い部分の色合いを豊かに表現する(Low Key Saturation 機能) PDFダウンロード
■はじめに
室内など被写体に充分な光が当たらない環境で撮影を行うと、映像の黒部分や黒に近い(暗い)部分の色合いが充分に表現されないことがあります。例えば、 "設定前"の映像では、キャンディーやチョコレートの色合いなどが充分に表現されていないため、キャンディーなどが実物よりも魅力的ではなく見えます。これは、被写体の色合い(色相)に影響する色差信号が、カメラから充分に出力されていないために起こる現象です。
したがって、"設定前"のように色合いが充分でない場合は、色差信号を調整する必要があります。
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■ソニーのカメラの特長
ソニーのカメラは、映像の色合い、特に"設定前"のように暗い部分の色合いを調整する機能として、LOW KEY SATURATION(ローキーサチュレーション)機能を搭載しています。この機能を使うと、被写体の黒や黒に近い部分の色合いを調整することができます。例えば"設定後"の映像のようにキャンディーの赤やオレンジ、チョコレートの茶色などを"設定前"よりも鮮やかに、豊かに表現することができます。
他にも、特に色の濃い(暗い)赤やオレンジなどの野菜、真紅のドレスなどの撮影で、被写体が黒っぽくなり鮮やかさが失われることがありますが、LOW KEY SATURATION機能を使うと鮮やかな色合いを保つことができます。

LOW KEY SATURATION 機能を搭載している主なソニーのカメラ
HDW-900シリーズ、HDW-750/730シリーズ、
DVW-970シリーズ、PDW-530/510シリーズ、
DSR-450/400シリーズ、MSW-970シリーズ
■カメラの設定方法
LOW KEY SATURATION(ローキーサチュレーション)は、PAINT メニューのLOW KEY SATページで設定できます。

1) PAINT メニューのLOW KEY SAT を開きます。
2) LOW KEY SAT を ON に設定し、L.KEY SAT RAHIGH/HMID/L.MID/LOWから選択します。
どのレベルNGE をの信号までLOW LEY SATURATION機能を有効にするかを決めます。
3) L.KEY SAT LEVEL を-99 から+99の範囲で設定します。
L.KEY SAT LEVEL を+側に設定すると暗い部分の色合いが鮮やかに、−側に設定すると暗い部分の色合いが薄くなります。
"設定後"の映像では、L.KEY SAT RANGEがH.MID、L.KEY SAT LEVEL が+75 に設定されています。
設定値はDSR-450WSL の場合です。お使いのカメラやライティング環境によって、同じ設定でも映像の色合いなどが変わることがありますので、必ず映像を確認しながら設定を行ってください。
お使いのカメラに付属の取扱説明書などもあわせてご覧ください。
お使いのカメラによって、メニューの構成が変わることがあります。
■技術情報
LOW KEY SATURATION(ローキーサチュレーション)機能の仕組み
LOW KEY SATURATION機能で色相のみの調整が可能なのは、マトリクス回路から出力される色差信号だけがLOY KEY SATURATION回路で増幅され、その増幅された色差信号が最終的に出力される信号に再び混ざるためです。
LOW KEY SATURATION機能で低輝度部分の色差信号のみが増幅されるのは、映像の中のどの程度まで暗い(または明るい)範囲の色差信号を調整するかが、マトリクス回路から出力される輝度信号が基準となって決定されるためです。
BLACK GAMMA 機能との違い
LOW KEY SATURATION機能がマトリクス回路の後のLOW KEY SATURATION回路で信号を処理しているのに対し、 GAMMA機能(第4回参照)は、マトリクス回路の前のBLACK GAMMA回路で信号を処理しています。BLACK GAMMA回路では、色差信号と同時に輝度信号そのものも変化させるため、色相だけが調整されるLOWKEY SATURATION機能と異なり、色相と色度(色の濃さ、薄さ)そのものも変化します。これらの機能を使うとより豊かな黒や色合いを表現できます。設定の際は必ずモニターなどを参照しながら設定をおこなってください。