■世界のどこかで……あるロック少年の体験

　「海外は電圧やプラグの形が違う？　そんなのジョーシキだよっ！」 　そういって自信満々にロンドンへ旅立ったミツオ君。なんでも彼はロックが大好きで、現地のFMを録音するんだとか言って、いつも使っているラジオ付きヘッドフォンステレオを持っていったっけ。それが帰国したら浮かない顔してるの。 「いやあ、それがバッチリ録音、ってわけにはいかなかったんだよ、トホホ」 　で、なにがあったわけ？
「トランス（変圧器）持っていったのはいいんだけど、それが220ボルト対応じゃなくて……。で、仕方なく乾電池を何度も買いに走るハメになってさ。でも電池だとすぐなくなっちゃうから、曲の途中で切れたりして」
でも、ある程度は録音できたんだ。
「まあね。でもイギリスのFMって、日本より広い周波数を使ってんの。で、ゴキゲンな局ほど、日本のラジオではカバーできない高い周波数を使ってたりするワケよ」 それは心残りだねぇ。それでホテルで悶々としてたんだ。
「いや、それで途中で予定を変更して、パリにも行くことにしたの。ロックはロンドンだけじゃない、と。ところが忘れてたっ！　フランスはプラグの形状がまた違うんだった！　それでまた電池を買いに行ったんだけど、フランス語しか通じなくってさぁ。もうオレ、ボロボロだったの……」
ふーん、そりゃ悲惨だったわねぇ。でも、世界のどんな国でも使えるラジオって、ないの？

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