2023年9月8日
新商品
ソニーは、自由なサイズと形状で大画面を構築でき、臨場感のある高精細な映像を映し出す高画質LEDディスプレイのCrystal(クリスタル)LEDに、バーチャルプロダクションによる映像制作向けに最適化したVERONA(ベローナ)計4機種を発売します。
バーチャルプロダクションとは、大画面LEDディスプレイに映し出した3D背景映像でスタジオ内に仮想空間を創り出し、その中で人物など実在の被写体の撮影と合成を同時に行う映像制作技術です。今回新開発したディープブラック&低反射コーティング技術は、独自の表面処理を施すことで深く引き締まった黒の映像表現を実現しています。併せて、隣接するLEDディスプレイやスタジオ用照明機材からの光の影響によるコントラスト低下も大幅に低減します。これらの深い黒の映像表現と低反射性能の二つを同時に実現することで、ディスプレイに映し出される映像とディスプレイの前で演じる俳優や撮影セットとのコントラストの差異を軽減でき、仮想空間と現実が自然に融合した映像制作が可能なほか、撮影後の調整にかかる時間とコストも大幅に低減します。
また、バーチャルプロダクションでは作品や撮影シーン合わせて、ステージの大きさや構成を変更することが多く、ディスプレイの組み立てや解体の速さや、カーブや天吊りなど多様な設置形態への対応が求められます。本シリーズは、多くのお客様からの要望に応え、ディスプレイキャビネットの機構の工夫などにより映像制作の効率化に貢献する簡単、迅速、高精度な設置性能も実現しています。
商品名 | 型名 | ピッチサイズ | 発売時期 | 価格 |
---|---|---|---|---|
Crystal LED ディスプレイキャビネット VERONA | 『ZRD-VP15EB』 | 1.56mm | 2024年春 | オープン価格 |
『ZRD-VP23EB』 | 2.31mm | |||
『ZRD-VP15EM』 | 1.56mm | |||
『ZRD-VP23EM』 | 2.31mm |
当社は、デジタルシネマカメラや大型LEDディスプレイなどのプロダクトや映像制作ワークフローの知見をいかしたソリューションである「Virtual Production Tool Set(バーチャルプロダクションツールセット)」を提供し、クリエイターの新しい映像表現と映像制作の効率化に貢献します。バーチャルプロダクションは現在、映画やテレビ、CMなどの撮影に加えて、イベントや企業のプレゼンテーションなどの多様な用途に広がりつつあり、高画質性能と設置性が向上したVERONAは、このような幅広い用途に対応します。
新開発した独自のディープブラック&低反射コーティング技術により、深く引き締まった黒の表現と隣接するLEDディスプレイやスタジオ用照明機材からの外光によるコントラスト低下を大幅に低減しています。同時に、内側からのLED素子の光もその特性を損ねることなく透過することで、1,500cd/m2※1の高輝度を実現しているほか、デジタルシネマ向け規格DCI-P3を97%以上※1をカバーする広色域に対応しており、臨場感と没入感のある映像でリアルな仮想空間を創り出すことが可能です。
また、高性能ドライバーICの採用により、業界最高水準の7,680Hzのリフレッシュレートを実現しています。これにより、スキャンライン(水平方向の黒い線)を低減し、高品質なバーチャルプロダクションを撮影することができます。
数多くの撮影現場からの要望に応え新設計したディスプレイキャビネットは、特別な工具を使わなくてもディスプレイキャビネット同士をロックできるレバー式ロック機構や、正確な位置合わせが容易にできる位置決めピンなどの新しい機構を採用しています。作品や撮影シーン合わせて、ステージの大きさや構成を変更する際に、簡単、迅速、高精度な組み立てを可能にしています。また、LEDモジュールの表面はコーティングにより保護されており、かつ設置時に隣接するディスプレイキャビネットがぶつかることによる破損を保護するエッジプロテクションやスライドイン機構を搭載しているため、一般的なLEDと比較して、設置時のLEDモジュールの破損リスクを大幅に低減します。
バーチャルプロダクション用途では、ディスプレイキャビネットを積み上げた際の耐久性やカーブ/オーバル設置、撮影シーンに応じたLED壁の位置を変更できる吊り下げ設置など、高度な設置が必要とされます。VERONAでは、最大14台(高さ7m=キャビネット0.5m×14台)までスタッキングできるキャビネットの強度を高めています。また、専用の角度調整ブロックを使用した機構を新たに採用し、高精度なカーブ設置が可能です。
VERONAは、これまで培った知見を生かした高度な機構設計により、LEDモジュール間の隙間を最小限に抑えています。加えて、新たにZ軸調整機構を搭載しており、LEDモジュール間の段差が気になる部分を簡単に修正できます。高精度に調整されたフラットなディスプレイ表面により、リアルで美しい映像を映し出します。
ディスプレイを組み上げた状態のまま、全てのLEDモジュールを裏側から交換することができ、突発的なトラブルにも迅速に対応でき、撮影スケジュールへの影響を最小限に抑えます。
映像ソースを受信し複数のディスプレイキャビネットに映像を分配するディスプレイコントローラーには、バーチャルプロダクション業界で広く使われているBrompton Technology社製のTessera SX40(『ZRD-VP 15EB』『ZRD-VP23EB』用)と、Megapixel社のHELIOS (『ZRD-VP15EM』『ZRD-VP23EM』用)を使用可能です。
使い慣れた操作性により、追加のトレーニングなども不要なため、作業効率の維持にもつながります。
高効率の超微細LEDチップとソニーの電力制御技術を組み合わせることで、低消費電力化を実現しています。Bシリーズ『ZRD-B15A』とVERONA『ZRD-VP15EB』(キャリブレーション機能オン時)を比較した場合で、それぞれ最大輝度で算出した単位輝度当たりの電力効率※2を約27%向上させています。