2025年3月19日
新商品
ソニーは、In-Camera VFXなどのバーチャルプロダクションやAR(Augmented Reality:拡張現実)などでの制作を効率化する、当社初のカメラトラッキングシステム『OCELLUS』(オセラス)を発売します。カメラトラッキングシステムは撮影時のカメラの位置や向き、情報などを取得する機器で、バーチャルプロダクションなどの空間コンテンツ制作に必要不可欠です。
本システムは、センサーユニットとプロセッシングボックス、レンズエンコーダーで構成されており、これらはソニー製シネマカメラ、システムカメラはもちろん、ソニー製以外のカメラとも組み合わせて使用することができます。5つのソニー製イメージセンサーを搭載したセンサーユニットとソニーのVisual SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)技術を用いることで、屋内外を問わず安定したマーカーレストラッキングを実現します。マーカーレスであるため、事前のマップ作成※1時のマーカー設置の工数を削減可能です。
ソニー製のカメラと組み合わせて使用する場合、カメラのSDI出力のみで、カメラ※2やレンズ※3のメタデータをリアルタイムにプロセッシングボックスで取得し、外部機器への伝送が可能です。レンズがカメラを介したメタデータ取得に対応しない場合は、レンズエンコーダーを使用することでフォーカスやズーム、アイリスの値を取得できます。取得したカメラやレンズのメタデータは、In-Camera VFXなどのバーチャルプロダクションやARに使用可能です。トラッキングデータとカメラやレンズのメタデータの記録にも対応し、ポストプロダクションなどの制作に活用が可能です。
商品名 | 型名 | 発売日 | 価格 |
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カメラトラッキングシステム『OCELLUS』 | ASR-CT1 | 2025年秋 | オープン価格 |
昨今、映画や放送業界において多様な制作への需要が高まっており、バーチャルプロダクションやARなどを用いた映像制作の市場が成長を続けています。ソニーの制作ソリューションは、シネマカメラ、システムカメラなどのイメージング商品群やCrystal LED VERONA、Virtual Production Tool Setなど多岐にわたります。ソニーは、『OCELLUS』とこれらのソリューションの連携によって、多様な制作ワークフローの効率化や新たなコンテンツ制作を支援します。
外形寸法は約86mm×60mm×43mm(幅×高さ×奥行き)、重量は約250g※4で、小型軽量です。また、NATOレール方式の取り付け部品(同梱)を使用することで容易に設置および位置の調整が可能です。センサーユニットは、ロック機構付きUSB Type-C™ケーブル1本でプロセッシングボックスと接続し、プロセッシングボックスから電源を供給します。
センサーユニット内部には、5つのソニー製イメージセンサーを搭載しています。ユーザーが周囲の環境に合わせて任意の4つを選択して同時に使用することで、複数のイメージセンサーによる安定したマーカーレストラッキングが屋内外で可能です。使用している4つのイメージセンサーのうち1つでも有効な特徴点を捉えているイメージセンサーがあれば、トラッキングデータの取得が可能で、高い遮蔽耐性を備えています。
また、5つのイメージセンサーそれぞれの両側にIR(赤外線) LEDを搭載しており、暗所での運用をサポートします。音楽ライブ会場など照明が頻繁に切り替わる環境では、可視光カットユニット(同梱)を装着して赤外線以外の可視光を遮断し、安定したトラッキングを行うことができます。
プロセッシングボックスは、センサーユニットで取得した情報からトラッキングデータを計算します。トラッキングデータとカメラやレンズのメタデータは、Ethernetケーブル※5を介して、free-dフォーマットでUnreal EngineなどのCGレンダリングソフトへリアルタイムに送信可能です。
プロセッシングボックスには、Genlock入力やタイムコード入力、SDI入出力端子、レンズエンコーダーとの接続端子などを搭載しています。
ソニー製のカメラ※2と組み合わせて使用する場合は、カメラのSDI出力のみで、同期信号やタイムコード、ファイル名、RECトリガの取得が可能です。さらに、ソニー製カメラ※2と情報取得に対応するレンズ※3を組み合わせることで、カメラのSDI出力を通じたレンズメタデータの取得が可能です。トラッキングデータやカメラやレンズのメタデータは、映像ファイルと同期したFBXファイルとしてSDXCメモリーカードUHS-II/UHS-Iに記録できます。
また、側面には有機ELディスプレイを備えており、IPアドレスやトラッキング情報、レンズデータ等の状態を確認することができます。
レンズエンコーダーは、レンズのフォーカスやズーム、アイリスの精密な回転角度や位置を物理的に検出します。検出したデータは、プロセッシングボックスにLEMO 7ピンケーブルを介して伝送します。これによって、カメラのSDI出力によるレンズのメタデータ取得ができない場合でも、レンズのメタデータ取得ができます。装着するレンズに合わせたギアを同梱の5種類のギアから選択し、レンズエンコーダーに装着することができます。
カメラトラッキングシステム『OCELLUS』はアメリカ・ラスベガスで現地時間2025年4月6日(日)から展示が公開される※6国際放送機器展「NAB(National Associations of Broadcasters) Show 2025」での展示を予定しています。
『OCELLUS』 5,600,000円前後