2022年2月25日
−MBS開局70周年ドラマ『インバージョン』にて、映像制作のDX推進を支援−
ソニーマーケティング株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:粂川滋、以下、ソニーマーケティング)は、株式会社毎日放送(本社:大阪市北区、代表取締役社長:虫明洋一、以下、MBS)と、独自のAIおよびクラウドソリューションを活用した、新たな映像制作ワークフローの実証実験を実施しました。
実証実験は、2022年3月18、19日に関西地区で放送されるMBS開局70周年ドラマ『インバージョン』の制作過程において、1月〜2月に実施されました。実証実験において、ソニーマーケティングは独自開発の電子ボールド(カチンコ)アプリと、アマゾン ウェブ サービス(AWS)上に構築された映像認識AIシステム、クラウドコンテンツ/ワークフロー管理ソリューション「Media Solutions Toolkit(メディアソリューションズツールキット)」「Ci Media Cloud Services (シー メディア・クラウド・サービス) 」を活用した撮影・編集システムと、映像制作用Cinema Lineカメラ、Xperia™スマートフォンを提供しています。
本作品の制作では、シーンやカット、テイク数、撮影後のOK/NGなどの情報を入力した電子ボールドアプリをスマートフォンやタブレットに入れた状態で、そのQRコード画面を読み取ったうえで各シーンの撮影を行いました。撮影された素材をクラウド上にアップロードすることで、映像認識AIが自動的に電子ボールドの情報を認識します。認識された情報は「Media Solutions Toolkit」により、話数やシーンごとに自動的にフォルダ分けされるほか、メタデータも自動で付与されます。また、映像と別に収録されたマイクの音声素材についてもAIによる音声認識により、自動で映像素材と紐づけられて格納が可能です。
ドラマ制作においてはロケ地や役者のスケジュールなどの事情から撮影時と編集・放送される順番が異なることが多くあります。従来のワークフローでは、映像に写ったボールドの情報や音声素材のタイムスタンプ、内容などを人の目で読み取り、手動でシーン分けやフォルダ分けなどの編集作業を行う必要がありましたが、今回のワークフローではその作業を自動化し、効率的な映像制作を実現しました。
さらに、今回の実証実験では、撮影後の編集にもクラウドソリューションが活用されています。「Media Solutions Toolkit」でフォルダ分けやメタデータ付与されたデータは、クラウド上に構築されたノンリニア編集機にプラグイン経由でシームレスに連携されます。また、同時にコンテンツ管理プラットフォーム「Ci Media Cloud Services」に自動的に同期されます。「Ci Media Cloud Services」では、細かなアクセス管理のもと外部の関係者とデータを共有し、プレビューやコメント付与を行うことが可能なため、リモートワークで離れた場所にいる場合でも、映像の修正依頼や作りこみの議論などを、同じ場所にいるかのようにスムーズに行うことができました。
なお、撮影においてはCinema Lineカメラ『FX9』『FX3』に加え、劇中動画の撮影にソニーのスマートフォン『Xperia PRO-I(エクスペリア プロ アイ)』も活用されました。スマートフォンとして大型の1.0型イメージセンサーの採用により高クオリティで本格的な撮影ができることに加え、映画品質の映像撮影ができるシネマ撮影専用機能「Cinematography Pro(シネマトグラフィー プロ)」により、Cinema Lineカメラとルック(※)を合わせた、スマートフォン撮影でも違和感のない画作りを実現しました。さらに、撮影からグレーディングや編集まで、Cinema Lineカメラと統一したワークフローを実現しています。
※ルックとは、映像の色やトーン、シャープネスなど含む映像表現のことです。
『インバージョン』は、MBSの開局70周年を記念して、“新感覚”ミステリードラマとして制作されており、SHOWROOM株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:前田裕二)が運営するバーティカルシアターアプリ「smash.(スマッシュ)」でも、別視点のドラマを地上波放送と同時刻に配信します。
撮影や制作ワークフローにおいて、AI・クラウドやモバイルを活用し「デジタルトランスフォーメーション(DX)」を推進するというMBSの制作方針のもと、ソニーの統合的なAI・クラウドソリューションを評価いただき、今回の実証実験に至りました。今後は、本実証実験の結果をふまえ、映像認識AIや電子ボールドアプリと既存サービスの連携などを含めた、新たな映像制作クラウドサービスの提供を進めていきます。
MBSでは、効率的で働きやすい環境作りを目的として、番組制作のDX化を進めてきました。今回のソニーマーケティングとの実証実験では、ドラマ制作において新たにAIやクラウド技術を活用することで、従来であれば膨大な時間を費やしていた作業が効率化され、新たな視聴体験の創出への取り組みが活発になったことに大きな意義を感じています。ソニーマーケティングには今後も放送業界をより進展させる、商品やソリューションの提供を期待しています。
・電子ボールドアプリ
・映像認識AI
・クラウドワークフロー管理ソリューション「Media Solutions Toolkit」
・クラウドコンテンツ管理ソリューション「Ci Media Cloud Services」
・Cinema Lineカメラ『FX9』
・Cinema Lineカメラ『FX3』
・スマートフォン『Xperia PRO-I』
クラウド報道制作ソリューション
https://www.sony.jp/professional/solution/cloud_pp/
ラージセンサーカメラ
https://www.sony.jp/ls-camera/
Xperia PRO-I
https://xperia.sony.jp/xperia/xperiapro-i/
※「Xperia」は、ソニー株式会社の商標または登録商標です。
※記載されている会社及び商品名は、各社の商標または登録商標です。