新局舎に整備した2つの4K HDRサイマル対応サブ、柔軟性を重視した設計で多様な形の運用を可能に
讀賣テレビ放送株式会社様は、新局舎への移転に伴い、4つの制作サブのうち3サブと4サブに、ソニーのSR Live for HDRワークフローによる4K HDR対応システムを新規導入され、2019年9月より運用を開始されました。
讀賣テレビ放送株式会社 兼
株式会社ytv Nextry
技術センター
シニアエキスパート
菊地 健様
讀賣テレビ放送株式会社
技術局
窪内 誠様
讀賣テレビ放送株式会社 兼
株式会社ytv Nextry
技術センター 制作技術部
エキスパート
坂口 裕一様
讀賣テレビ放送株式会社
技術局
制作技術担当
池見 憲一様
讀賣テレビ放送株式会社
技術局
制作技術部
井ノ口 鉱三様
讀賣テレビ放送株式会社
技術局
制作技術部
米田 忠義様
今回新設した3サブと4サブは、局舎の新築移転に伴い導入をした4K HDR制作に対応したサブです。1〜3サブはスタジオ付随のサブ、4サブは主に受けサブ用途を主としつつ、1〜3サブの代理機能を持ちます。新局舎での3・4サブの順次稼働を皮切りに、HD・4K(3G)対応の1〜2サブを順次旧局舎から移設しました。
3・4サブは、4K HDRへの対応のほかに、4つのサブで共通化されたオペレーションが行えるようにすることが目標でした。旧局舎では、それぞれのサブの更新時期がまちまちでした。それ故に、その時々の最良の機器を導入してきましたが、結果としてメーカー含めて統一感を持てていませんでした。今回は、ソニーのシステムを移設した1・2サブにも改修を加え、卓上レイアウトから系統数に至るまで、すべてを極力揃えて、どこでも誰でも同じように使えるようにしました。
また、今後どのような展開にも備えられるよう、HDも4Kもベストクオリティーで作れるように、スイッチャープロセッサーを2式備えるサイマル構成としました。映像信号についてはHDはこれまで導入した1、2サブに準じて構成され、4K HDRは12G-SDIをベースにそれぞれ構築しています。
スイッチャーはコントロールパネルも2式備えました。2枚のパネルと2つのプロセッサーがすべて同期する本線・予備という冗長構成や、2式を独立したスイッチャーとして使い、別プログラムの制作に使うなど、多様な形での活用ができるようにしています。このほかに、4KとHDのサイマル制作の場合には、1つのパネルから4KとHDの2つのプロセッサーを制御します。2つ目のパネルを使わないときには、電動で卓内に落とし込んで収納し、卓面をフラットにして、スペースを他の用途に活用できるようにしてもらいました。これは5年前の1・2サブの更新の時には実現できず、ソニーに5年がかりで叶えてもらった機能です。
机下のスイッチでパネルを昇降
パネルが卓内に落ち込んだ状態
カメラには“バーチャルアイリス”という機能をytvから提案し、ソニーに実現していただきました。現在は標準機能となりましたが、先行して搭載しました。リモートコントロールパネルのアイリスダイヤルを回していっても、任意設定したアイリス値以上にはレンズ絞りを開放せず、そこから先はアイリスダイヤルがゲイン調整に自動で切り替わり、明るさの調整を行います。レンズが開放近くになると画質が落ちてきますので、それを避けるための仕組みです。例えば、F5.6前後の絞りで撮影中に、カメラマンがズームで寄ってさらにエクステンダーを入れると光量が落ち、アイリスは開放近くに取らざるを得なくなります。そういった場面で有効な機能になります。ゲインアップすれば当然S/Nは影響を受けますが、VEの判断で開放側での画質低下防止と、S/Nとのバランスを考慮する事ができ、そのシーンにおける最良の画質をアイリスダイヤルだけで瞬時に調整できます。ソニーのカメラのイメージセンサーをはじめとした性能の高さや、ユーザーの意見も積極的に取り入れてくれるエンジニアの存在があって実現できた機能です。
4K HDR制作については、対応する3・4サブともにサイマルトライアル収録を何度か行っています。HDR制作に不可欠なHDRプロダクションコンバーターユニットHDRC-4000についても、バージョンアップを重ねて完成の域に入った印象があります。各社のコンバーターも比較しましたが、現実的にはHDR・SDRサイマル制作にはSR Live for HDRしか選択肢はないと実感しています。HDRC-4000とカメラシステムと一体化した設定・運用なども良く考えられていると思います。
一方、HDRC-4000はHDR制作で随所に必要となる機材ですので、棚板方式などによる一層のコンパクト化や、電源の二重化にも期待しています。このほかにも、HDと4Kを1台で扱えるマルチフォーマットレコーダーの実現など、これからもソニーには期待を寄せています。
“バーチャルアイリス”機能を備えたVE卓
マルチフォーマットプロダクションスイッチャー
XVS-9000、XVS-7000
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