ご担当者の紹介
株式会社テレビ東京
技術局
コンテンツ技術センター
田尾 温子 様
2013年に入社。5年ほど、CG、編集設備などを担当。2018年から制作技術VEを担当。
株式会社テレビ東京
技術局
コンテンツ技術センター
三浦 宏一 様
2003年に入社。7年半ほど、データ放送、株価データ、編集設備などを担当。2010年から制作技術 VEを担当。
株式会社テレビ東京
技術局
コンテンツ技術センター
木塚 裕紀 様
2013年に入社。4年ほど、マスターに従事。2017年から制作技術にてカメラ・スイッチャーを担当。
オンサイトの機材が減る、ケーブルでの接続が減らせるという観点で、機材セッティングの時間短縮や機材購入費用の削減といったメリットがあると考えています。一方で、放送本線での運用を想定した場合、インターネット回線の脆弱さ、不確実性、遅延といった課題も多いと感じています。そのため現段階は、映像の遅延や劣化の許容範囲が広い配信など、媒体によって使い分ける必要があると認識しています。
弊社では、魅力的な番組を視聴者へ届けるため、さまざまなチャレンジを行っています。特に新たな映像表現への対応や、制作工程のさらなる効率化のため、新たなソリューションを探していました。ソニーよりC3 Portalの紹介を受け、素材伝送のDXを実現できる可能性を感じました。まずは現場での運用の中で試してみたいと考えて、PoC 環境を提供してもらい、実証実験を行いました。
スマートフォンを中継カメラとして活用し、XDCAM pocketアプリでOA用途を想定したストリーミング伝送やファイル転送を行える点はとても魅力的でした。従来のカメラでは難しかった観客席からのアングルや、選手へスマートフォンを渡して自撮りしてもらうといった、スマートフォンという身近さを生かした表現もできるのではと考えました。
また、スマートフォンやモバイルWi-Fiなどのインターネット環境があれば、取材カメラ単体でファイル転送ができるため、カメラマンがホテルなどのインターネット環境に移動せずともサブ側と素材共有ができることから、素材利用の即時性の向上を図れるのでは、との期待もありました。
通常の中継現場では、中継車と中継カメラは伝送用ケーブルで接続されています。中継カメラはOA用途では欠かせない存在ですが、ケーブルの敷設や機材セッティングに十分な時間が必要なうえに、カメラマンが動ける範囲に制限があります。C3 Portalはそれらを軽減し、カメラマンが自由に動き回ることで新しいアングルでの映像表現を実現しました。
弊社では、他社製の素材伝送ソリューションも使用していますが、カメラへ装着する外付けエンコーダーのスタイルなので機材量が増えてしまっています。C3 Portalはスマートフォンを活用したパッケージソリューションなので、スマートフォンをジンバルに装着するだけで運用することができました。別途、伝送拠点で機材を準備する必要がないため、機材量の削減の効果が見込めると思います。
また、今回の現場では、スマートフォンの内蔵カメラで撮影・ストリーミング伝送した素材をOAでテイクできること、および、取材カメラから直接素材をアップロードし、本社スタッフのPCで直接ダウンロードするという方法で、ハイレゾ素材をファイル転送できることが確認できました。
これにより、カメラマンが撮影後、伝送拠点に素材を持ち込み、ファイルを伝送するといった時間の短縮が期待できます。たとえば、2時間の撮影の場合、撮影終了後、伝送拠点に戻った後にしか素材ファイルを伝送できないが、C3 Portalを利用すれば、その2時間分と伝送拠点に移動するまでの時間を短縮することができます。
今回の実証実験では、映像のライブ伝送、および、取材映像の即時アップロードについて、一定の成果を得ることができました。一方で、ライブ伝送・ライブテイクにおいて、希望する伝送速度が出ていないときの映像の粗さ、受信状況がスイッチャーやカメラマン本人に分かりづらい、といったインターネット回線ならではの課題を見つけることもできました。
今後のC3 Portalのアップデートで、不安定なインターネット回線を使う場合の時の伝送速度や受信状況などが使う人に分かりやすい表示になれば、劣化の著しい映像は放送に乗せない、といった対応が取りやすくなり、さらに活用の幅を広げられると考えています。