スポーツファンエンゲージメント×Creators’ Cloud
映像制作の効率化でコンテンツの質と量の向上を目指す

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ご担当者の紹介

株式会社 鹿島アントラーズFC
コミュニケーションチーム

(写真左から)
横溝 様、神戸 様、小形 様、倉林 様、佐藤 様、内藤 様

鹿島アントラーズFC様とソニーマーケティングは、映像制作業務フローの改善や、いち早くコンテンツをファンに届けるためのDX施策として、2024シーズン開幕前のプレシーズンマッチにおいて*、ソニーのクラウド映像制作ソリューション Creators’ Cloudのサービス群を用いたワークフローのテストを実施しました。

* いばらきサッカーフェスティバル2024 鹿島アントラーズ vs 水戸ホーリーホック(2024年2月10日)

テストをした背景を教えてください。

鹿島アントラーズFCコミュニケーションチームは、プロフットボールクラブ「鹿島アントラーズ」に関連するさまざまな情報の発信業務を行っています。撮影場所はクラブハウスや茨城県立カシマサッカースタジアム(以下、カシマスタジアム)などで、内容はトップチームの練習や公式戦、チケット、グッズ、ファン・サポーター向け企画のほか、アカデミーに至るまで数多くあり、頻度高く発信しています。これらの情報は、タイムリーなほどファンの反応が良い傾向があり、そのニーズの高さを実感していました。一方で、運用の人員は限られているため改善が必要でした。

新しいコンテンツ制作の試みを実現するM2 Live

鹿島アントラーズ・クラブハウスは、練習グラウンドやトレーニングルームのほか、カフェやショップもあり、全国のサポーターへ向けて発信するための拠点ともいえる場所です。ここでは、XDCAMメモリーカムコーダーPXW-Z280、PXW-Z150、スマホXperia PROを用いて、クラウドスイッチャーM2 Liveのテストを行いました。

クラウドスイッチャーをテストした理由を教えてください。

普段、クラブハウスでは、主にトップチームのトレーニング模様を撮影し、短尺のコンテンツをXやYouTubeなどのSNSに投稿しています。ただ、ライブ配信に関してはこれまでは制作環境の構築が難しく、企画時点で断念することが多かったのが実情です。今後、クラウドスイッチャーがうまく活用できれば、ライブ配信を活用してより多様なコンテンツが発信できる可能性があると考え、検証のためにM2 Liveのテストを実施しました。

M2 Liveを使ってみていかがでしたか?

普段利用しているPXW-Z150はXperia PROを使うことで、クラウドに映像伝送が可能だと分かりました。カメラは普段から使い慣れていて操作性の安心感があり、スマホ側の設定も簡単だったので時間がかかることなく利用できました。 Xperiaで撮影した映像の伝送もテストし、簡単に行うことができました。

ネットワーク環境は、グラウンドなどのクラブハウス建物外では低遅延で運用できることが確認できました。一方、建物内は映像制作専用のネットワーク環境を構築していないため、ライブ配信においては有線環境の準備が必要だと思いました。

システム概念図

将来どのような使い方が期待できますか?

ストリーミング用の通信環境が整えば、これまでになかったようなコンテンツの配信が可能になると思います。新しいコンテンツができれば、またファン・サポーターの満足度が高まることも期待できます。

また、M2 Liveはカメラの近くに設置する必要がないため、その遠隔操作のメリットを生かして、キャンプ地など遠方からの配信を東京でスイッチングするなど、現地スタッフを最小限に抑えた配信体制が実現できるかもしれません。それが結果的に出張費などのコスト抑制にもなり、抑制したコストをコンテンツの増加に充てるなど有効活用もできると思います。今回のテストを踏まえて、良質のコンテンツを少人数で多く制作できる体制を検討していきたいと思います。

スピードでコンテンツの価値を高めるC3 PortalとA2 Production

カシマスタジアムは、ANTLARS Wi-Fi、5Gなどを導入し、最先端の“スマートスタジアム“を目指しています。ここでのテスト内容は、クラウド素材伝送を実現するC3 PortalおよびAI映像解析サービスA2 ProductionカスタマイズソリューションのAI自動編集でした。A2 Productionでは、実際に行われた試合を撮影し、AIエンジンで音声が盛り上がったシーンを切り出し、ハイライト映像にするテストを実施しました。撮影〜編集〜配信までの運用フローについて、どのような変化が生まれるかを検証しました。

伝送と自動編集をテストした理由を教えください。

カシマスタジアムでは鹿島アントラーズのホームスタジアムがあり、公式戦のみならず今日のようなプレシーズンマッチなど多くの試合を実施しています。クラブで試合中継の放映権を保有している試合では、好プレーをハイライト映像にして鮮度高くSNSに投稿できれば、それだけでコンテンツの価値が向上すると考えていました。また、イベントなども実施しているため、投稿できる情報が多くあります。そこで、スタジアム内で伝送と自動編集という2つのサービスを試すことにしました。

C3 Portalでの伝送テストはいかがでしたか?

現在は、スタジアム場内外各所で撮影後に編集拠点に素材を運び、取り込んでから編集しています。C3 Portalはその運搬の労力を省力化し、スマホで撮影した映像素材をストレスなく伝送できました。コンテンツの鮮度が高いうちに発信できるメリットをすぐに実感できました。実際テストでは、伝送という手段を用いただけで、撮影からSNS投稿までの時間を体感で30分ほど短縮できたと思います。スマホの縦型映像にも対応している点はメンバー内で好評でした。スタジアム内で行われているイベントや飲食、グッズなどのホットなコンテンツをスマホで撮影し、タイムリーに投稿できれば、ファンがスタジアム内で過ごす時間が今以上に楽しめるようになるのではと考えています。

Creators’ App for Enterprise

また、C3 Portalは、ホームスタジアムのみならずアウェイのスタジアムにおいても効果を発揮するサービスだと思いました。たとえば、取材者1名だけが現地に出張して撮影を行い、編集業務は鹿嶋から支援するといった体制を組むことができます。さらに、伝送サービスに留まらず、スマホで撮影した縦型を含めて映像を切り抜きできる機能があるため、簡易的な編集にも利便性を感じました。

アウェイスタジアムでの試合の映像は発信までにどうしても時間がかかってしまうのが現状ですが、これがほぼタイムリーになると、コンテンツの価値が大きく高まるものと思います。加えて、それらを少人数で行うことができるため、業務効率において多くの可能性を秘めています。

A2 ProductionのAI自動編集はいかがでしたか?

PCにて映像素材確認とストーリーボード編集

音声による検知によってゴールシーンなどが自動抽出できたときは驚きました。前半45分間の試合のハイライト映像を約20分で作成でき、手軽に作成することができました。一方、自動検出した映像には、ハイライトから外したいものが入ってしまうこともありました。ただその点は大きな問題とはならず、複数のカットシーンが同時に生成されるため、使いたいシーンを選択して編集すれば解決します。AI自動編集は編集業務の事前準備にも役立つものと思いました。また、今回は試していませんが、ライブ映像をリアルタイムに編集できるようにサービスのカスタマイズもできると聞き、今回のようにクラブが試合映像の権利を保有する試合であれば、ハイライト映像制作の速度向上にも期待が持てました。

クラウドサービスを活用した新しいコンテンツ企画を検討

今回のテストを通じて感じたことを教えてください。

Creators’ Cloudのサービスを活用して動画・写真を送れるようになれば、ホーム・アウェイ問わず全国で行われる試合の映像制作を遠隔で編集支援をする体制が可能なため、時間や距離の制約で難しかった施策も実現でき、クラブ発の映像コンテンツはさらに増やせるようになるでしょう。また、作業時間の短縮も期待でき、今より早く発信できると、より価値が向上すると思います。また、テストでは使用しませんでしたが、今後発売予定だという新商品の通信機器(ポータブルデータトランスミッター PDT-FP1)を使えば、配信や伝送の安定性向上にも期待ができます。

今回のテストを通じて、ファン・サポーターとのコミュニケーションの質向上を実現できそうなコンテンツのアイデアが多く生まれました。今後、さらにエンゲージメントの向上につながる企画を前向きに検討していきたいと思います。