没入感が“住宅の見方”を変える(前編)\

Chamber 14
2018.04.13

没入感が“住宅の見方”を変える(前編)

映画館で導入が進む体感型上映システム「MX4D」。この技術を映画業界以外のビジネスシーンでいち早く導入した事例が、2018年1月に一般公開を開始した「セキスイハイムミュージアム」です。バーチャル体験によって、住宅の捉え方を変え、それを自社製品への関心に繋げる。未来的であり、エモーショナルでもある、そのプロジェクトを紹介しましょう。

没入感が“住宅の見方”を変える(前編)\

栃木県宇都宮市に誕生した栃木セキスイハイムが手がける「セキスイハイムミュージアム」。当施設では、家づくりのためのさまざまな自社製品やサービスを、CGやプロジェクションマッピングを使って紹介。従来の住宅展示場とは一線を画す体験型施設となっています。当ミュージアムを企画・設計した栃木セキスイハイム株式会社 取締役・荒井浩さんにお話を伺いました。

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「これまで住宅メーカーというのは、基本的に住宅展示場しかお客さまとの接点がありませんでした。そこでショールームを作ろうということになったのですが、単純な展示物の羅列では見る人も面白味がなく、住宅に何を求めたらいいのかがわからないのではないか、と。そこで、“見る人の五感に訴えかけるショールーム”というコンセプトのもと、当施設を立ち上げました」

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こちらのセキスイハイムミュージアムの中で大きな目玉といえるのが、地震や津波、製造工程などを疑似体験できるMX4Dシアターです。
「実はこれまでも住宅展示場には、地震を疑似体験できる“起震車”を設置していました。でも起震車だと確かに揺れはリアルなのですが、体験した方々は『すごい揺れですね』と言いながらも笑っていらっしゃるんです。それで、もっと臨場感をもって災害の恐怖を体感できるものはないかと探し続け、行き着いたのがMX4Dでした。実は私、映画が好きでして。映画館でMX4Dの映画を観ている時にこのアイデアが閃きました(笑)」

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こうして荒井さんはソニービジネスソリューションの技術チームと共に、MX4Dを採用した“体験型シアター空間”の開発を始めます。綿密な打合せや試作を重ねた末に、プロジェクトは2年がかりで完成しました。

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五感に訴えかけることで“感情”が動く

「地震、津波、台風、火事という我々日本人にとっては“すぐ傍ら”にある自然災害。これらを映像で伝えるだけでは危機感が起きず、本当の意味で住宅の安全性を考えてもらえないのではないかと思いました」という荒井さん。
そこで技術チームが考えたのが、体験者へ重層的な感覚刺激を行うことで生まれる、イマーシブ(没入型)体験。具体的には、特殊メガネを使った3D(立体)映像、映像とリンクする座席の大きな揺れ、座席のアームから噴射される風や水、煙の匂い、といった感覚刺激です。そのひとつひとつには、映像領域を超えたこだわりがあります。

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例えば、座席の動きは実際の大地震のように前後・左右・上下にわたる揺れを細密に再現。風の強さもそよ風から強風までさまざまで、台風による強烈な風を再現するため、シアター片側の壁には強力なサーキュレーターも設置しています。映像に合わせて噴射されるエアや水飛沫に関しても、座席と貯水タンク等を繋ぐ配管設備まで緻密に設計。また、映像自体もMX4Dを前提とした臨場感のあるアングルやコマ割りで撮られ、目から入る刺激をより際立たせています。

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住宅で“一番大切なこと”がわかる場所

荒井さんがもうひとつこだわったのが、“流れ”です。
「体験者にはまず、家族の大切さを実感させるショートムービーを観ていただきます。その後、MX4Dシアターへと移り、先ほど説明した災害の疑似体験を実施。そしてさらに、別の部屋でセキスイハイム住宅がどのように作られるのかがわかる工場内の施工映像を観ていただきます。この映像にもモーション(動き)が付いていて、まるで実際に工場内にいるかのような体感を得られるのです。ムービーが終わるとスクリーンの裏から実物の鉄骨ユニットが現れるので、実際に目で見て確かめていただく。こうした“流れ”を踏まえた映像での没入体験と製品紹介の組み合わせにより、製品に対する“すごさ”や“ありがたみ”を感じていただく仕掛けになっています」

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そこには、会社として最も伝えたいメッセージも込められていると言います。
「住宅というのは、もちろんデザインや設備も大事ですが、何よりも“愛する家族を守る”というのが原点にあると思います。手前味噌ながら、このミュージアムはそうした“絶対に外してはいけないもの”を来場者に理解していただける施設になったのではないかと自負しています。実際に、他社の住宅に99%決めていたお客さまがシアター体験された後に、“やっぱりセキスイハイムにします”と言っていただくケースが既に出ています」

MX4Dへの没入を高めるためのショートムービー。そして、没入体験後に実物を見せることで製品への関心度や付加価値を高める流れ。そこには、仮想体験を介することで“現実世界の捉え方を変える”という試みがあります。イマーシブな超臨場ソリューションをビジネスへ活かすヒントとなりそうです。

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MX4Dを活用した超臨場ソリューションをいち早くビジネスの現場に導入し、既に成果も出始めている「セキスイハイム ミュージアム」。後編では、MX4Dシアターの体験レポートをお届けします。

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体感型4Dシアター MediaMation MX4D™システム\

体感型4Dシアター
MediaMation MX4D™システム

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※SRX-R515Pは輝度15,000/11,000ルーメン、コントラスト比 8000:1(平均値)

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